へいわ法務司法書士事務所

※初回相談無料です。お気軽にご連絡ください。匿名での問い合わせは対応いたしかねますので、予めご了承ください。

相続登記は早くしないと危険?!(相続させる遺言等の効力と対抗要件について)

おはようございます!
いよいよ夏ですね~。
私の自宅のまわりでも蝉の鳴き声が聞こえてきて、夏の訪れを感じさせてくれます。

このブログを見てくださっている皆さまの地域ではいかがでしょうか?
最近は夜でもかなり暑くなってきていますので、
夏バテしないように、体調管理に気をつけてくださいね。

さて、少し相続に関する話題から逸れていたんですが、
もうひとつ、7月1日に改正施行された相続法について、
お伝えさせていただければと思います。

今回は「相続登記は早くしないと危ないですよ。」という話題です。

今回の法改正により、
相続による不動産所有権の承継は
遺産分割、遺贈、相続させる旨の遺言のいずれによるかどうかにかかわらず、
法定相続分を超える部分については、
登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。
ということになりました。

特に今回の法改正で変化があったのが、
「相続させる旨の遺言」です。

いわゆる「相続させる旨の遺言」について、ざっくりと説明すると、
遺言書に「相続させる」という文言が記載がされていて、
相続人に対して、全遺産に関して指定した相続分割合を与えたり(相続分の指定)、
相続人に対して、特定の財産の分け方を指定して与えたり(遺産分割方法の指定)
する内容の遺言のことを言います。

改正前は、
「相続させる旨の遺言」によって権利を取得した場合、
判例は、登記をしなくてもその権利を第三者に対抗できるとしていました。
(最判平5.7.19裁判集民169・243,最判平14.6.10家月55・1・77)

判例では、相続させる旨の遺言の効力が「包括承継」であり、
相続人が相続の発生と同時に即時その権利を取得する点を重視して、
このような判断をしていましたが、
一方、相続債権者(被相続人に貸付などをしていた金融機関など)は、
遺言書の内容であったり、そもそも遺言の存在を知らないことが一般的ですので、
上記判例によって差押えが負けてしまう場面が発生してしまっていました。

上記のような結論が不平等であること、
遺産分割や遺贈によって、相続人が権利を取得した場合との結論のバランスから、
今回、改正により手当てがなされました。

改正後は、
先述のとおり、
「法定相続分を超える部分については、登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。」
となり、
例えば、被相続人の相続人として、長男と次男がいるケースで、
遺産分割や遺贈、あるいは、相続させる旨の遺言によって
被相続人名義の不動産を長男が100%、次男が0%の割合で取得したにもかかわらず、
登記をしないで放置しているうちに
被相続人に金銭を貸し付けた債権者(金融機関など)が、
この不動産を、長男50%、次男50%の法定相続分で取得したと考えて
差し押さえの登記をしたときは、
長男は、自らの法定相続分50%を超えて取得した残りの50%部分については、
第三者である債権者(金融機関など)に対抗できないことになります。

つまり、
法定相続分の割合以外で遺産を取得した相続人は、
急いで登記手続を完了しておかないと、
被相続人や他の相続人の債権者によって差押え等がなされてしまったり、
他の相続人が勝手にその不動産を売却して登記をしてしまったりして、
自らの権利が失われてしまう可能性があるということです。

私個人の印象としては、
相続に伴う登記手続を長く放置されている人が多いように感じています。
相続に伴う登記手続は面倒なことも多いかもしれませんが、
多くの場合、放置することで手続が簡単になることはなく、
相続人が認知症になってしまったり、
相続人が亡くなることで疎遠な相続人が増えてしまったり、
ますます複雑化していく一方です。

せっかく自身が権利を取得したのであれば、
その権利を失ってしまうことのないように、
早めに登記手続を行っておくことをおすすめいたします。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
 明るく穏やかな雰囲気の事務所です。
 まずは一度無料相談をご利用ください。

毎年していますか?資産の総額の変更登記について

おはようございます!

今年は梅雨が遅れてやってきたと思ったら、突然数年に1度レベルの豪雨になったり、
日中の湿度・気温がもの凄く高くなったり、夜はひんやりしたりと…
変な天気が続いていますね。

そのせいもあってか?先日うっかり風邪をひいてしまいました。
鼻水が止まらなくなり、しばらく鼻声になっていましたが、
弊所の近くにはお医者さんがとても多いので、初期症状の段階でお薬をいただき、
すぐに回復しました!!

さて、そんな良くお世話になるお医者さんですが、
個人医院ではなく、医療法人として運営されていることが多いです。

そして、私たち司法書士は医療法人の登記手続も行っているのですが、
その中でも、毎年登記をしないといけない
「資産の総額の変更登記」について書かせていただきます。

「資産の総額」というのは、
医療法人をはじめ、社会福祉法人や学校法人など、
組合等登記令を根拠とする法人において登記することを求められている事項で、
貸借対照表上の資産(プラスの財産)から負債(マイナスの財産)を控除した
純資産の部に計上される金額のことを指しています。
(資産の総額をみると、法人の規模や業績が少し分かってきますね。)

そして、この資産の総額については、
組合等登記令第3条において
「毎事業年度の末日から3カ月以内に登記してください。」とされています。

多くの法人では、この事業年度を
4月1日から翌年3月31日までとしていることから、
多くの法人では、毎年、6月30日までに
資産の総額変更登記が必要ということになっています。

ちなみに、この期間を経過しても登記を怠っていると、
裁判所から法人代表者(理事長など)の住所地宛てに
「過料を支払いなさい。」という内容の書面が送付されることとなります。

ある日突然、裁判所から書類が送られてきたらビックリしますよね。
しかも、法人代表者(理事長など)は過料を払う義務があります。

役員変更の登記手続などをきっかけに
初めて弊所にご依頼いただいた法人様の登記簿を確認すると、
意外と、この資産の総額変更登記を1年分忘れているケースが多いように感じます。

毎年しなければならないことなので、忘れずに登記手続を行うようにしましょう。

なお、手続のために弊所がご用意をお願いしている書類は
「貸借対照表」のみです。

書籍などを見ても、財産目録を別途作成して登記手続を行う記載例が多いようなので、
もっとご負担を小さく、手続を行うことができる貸借対照表の書式サンプルを
今回は掲載させていただきます。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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老後2000万円問題

おはようございます!

最近よく耳にする話題といえば、「老後2000万円問題」ではないでしょうか?

報道では、これに対して「政治の怠慢だ!」とか、「支払った年金を返せ!」とか、
怒りや不安の声が良く取り上げられていますよね。

そして、来週は参院選挙です。
選挙の論戦でも年金問題は、1つの争点になるんでしょうね。


今、このタイミングを逃して、
自身の年金と老後に必要な資産について、考えるきっかけはないのでしょうか?

ちなみに、「老後に2000万円が不足」というのは、
「夫65歳以上、妻60歳以上の無職の夫婦の世帯」においての、
支出と年金収入の平均値から算出されたものですから、
個々人の老後の不足額を判断するうえで参考になるものではありません。

実際、私のような自営業者の場合、
そもそも年金が国民年金で、その分年金収入が小さくなるため、
「老後5000万円問題」といったところでしょうか?
(モデルケースよりもかなり深刻?ですね…。)


「老後2000万円問題」と言われ始めた当初は、感情的な議論が多かったのですが、
最近は少しずつ、丁寧な解説をした記事も増えてきている様子です。

自身の老後、
いつまで働き、
どんな生活をしたいのか、
それにはどれくらいのお金が必要で、
現状想定される収入額はいくらなのか…。

きちんと考えて、
資産形成の専門家のアドバイスも受けながら、
いわゆる自助努力といわれる対策(貯金、投資、保険、もっと働くなど)
を早めに取りたいところです。


そして、私はもっともっと働かないと!(笑)


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
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 まずは一度無料相談をご利用ください。

相続人でない親族の介護が報われる「特別寄与料」制度の創設について

いつも弊所のブログ記事を読んでいただき、ありがとうございます。

7月1日、大幅に改正された相続法の大部分が施行されることに伴い、
最近は相続に関する記事を重点的に書かせていただいております。

そして、今回も相続に関する話題を書かせていただこうと思います。


長男の配偶者が長男の父母(配偶者からみると義父母)を長年介護していますが、
長女、次男は遠方に暮らしていることもあり、介護には一切関与していません。
このようなケースは非常に良くあります。

このケースにおいて、長男が義父母より先に亡くなってしまい、
その後、義父母の相続が発生したような場合では、
長男の配偶者がどれほどその介護に時間や労力を費やしていたとしても、
義父母の相続に関して、
相続人ではない亡長男の配偶者が、遺産を受け取る権利は認められず、
相続人である長女と次男のみが、相続人として遺産を受け取ることになっていました。

これでは、親族間で不公平ではないかという問題意識から、
このたびの相続法改正で、
亡長男の配偶者をはじめとする親族が、一定の要件のもとで、その貢献に応じて、
被相続人の相続に関して、「特別寄与料」の請求ができることとなりました。
創設された規定は以下のような内容となっています。

被相続人に対して、
(1)無償で、
(2)療養看護その他の労務の提供をしたことにより、
(3)被相続人の財産の維持又は増加について、
(4)特別の寄与をした
(5)被相続人の親族(相続人や相続の放棄をした者等を除く。以下、「特別寄与者」という。)は、
相続の開始後、
(6)相続人に対し、
(7)寄与に応じた額の金銭の支払いを請求することができる。

以下、それぞれの要件について、さらに解説していきます。

(1)「無償で」とは、
特別寄与者が、被相続人から、労務の対価として、又は生前贈与や遺贈等によって、
労務の実質的な対価を受け取っていないことが要件となっています。

(2)「療養看護その他の労務の提供をしたことにより」とは、
特別の寄与の具体的行為は、「療養看護その他の労務の提供」に限定されています。
療養看護は例示なので、介護はもちろん、被相続人の事業の手伝いをすることも含まれます。
一方で、金銭の貸付などの財産上の給付については、本制度の対象外です。
※なお、貸付けた金銭については、被相続人の債務であるため、
 これを相続人に請求することで解決可能であると考えられます。

(3)「被相続人の財産の維持又は増加について」とは、
特別の寄与行為の結果、被相続人の財産を維持できたり、あるいは増加した。
というように、特別の寄与行為と財産の維持・増加の間に因果関係が認められることが必要です。
例えば、長男の配偶者が介護することで、介護サービスに支払う費用が節約できた。
というような事情が必要で、財産上の効果を伴わない精神的な援助等(付き添いなど)は、
特別の寄与に当たらないと考えられます。

(4)「特別の寄与をした」とは、
特別の寄与とは、被相続人との身分関係に基づいて通常期待されるような程度
を超える貢献をしたことを意味すると解釈されています。
本制度において、特別寄与料を請求できる人は、後述する「親族」であることや、
現行の寄与分制度における解釈との関係から、
「身分関係に基づいて通常期待されるような程度」は低いとも考えられますが、
実際どの程度の貢献がなされた場合に、認められるかの基準については、
今後の実務の積み重ねを注視していく必要があるものと思われます。

(5)「特別寄与者となりうる被相続人の親族」とは、
特別寄与者として認められる範囲として、改正法は広く「親族」としました。
「親族」というのは、配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族のことをいい、
子の配偶者もこの中に含まれます。
一方で、内縁関係や事実婚、同性婚のような場合は、この中に含まれないことになります。

(6)「相続人に対し」とは、
特別寄与料を負担するのは、特別の寄与として療養看護その他の労務の提供を受けた
被相続人についての相続における各相続人となります。
特別受益を受けている等によって、具体的相続分のない相続人についても、
法定相続分、あるいは指定相続分に応じて特別寄与料を負担することになります。
なお、特別寄与料は、被相続人の債務(相続債務)ではなく、相続人固有の債務です。

(7)「寄与に応じた額の金銭の支払いを請求」とは、
特別寄与料は、金銭での支払いを求める権利で、
まずは、相続人との間での協議によってその具体的金額を決定していくこととなります。
しかしながら、協議が調わないときや協議ができない場合には、
家庭裁判所に対して、特別寄与料を決定するよう請求することが可能になっています。
家庭裁判所における特別寄与料の算定は、
寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して定めることとされており、
現行の寄与分の算定と同様の基準・方法になると考えられています。
具体的には、
「療養看護を外注した場合の日当分×日数×(親族の相互扶助義務を考慮した減額割合)」
によって計算され、実際には数百万円程度になることが多くなるでしょう。
なお、家庭裁判所へ請求する場合には、期限があることに注意が必要です。
特別寄与者が相続の開始および相続人を知った時から6カ月、
または相続開始の時から1年経過した場合には、権利行使することができなくなります。


本制度によって、
先の亡長男の配偶者のような人の貢献に報いることができるようになりました。
その一方で、特別寄与分を請求される相続人としては、取り分が減ることに対して納得がいかず、
これまでよりも相続争いが複雑化する可能性もあります。


特別寄与分の請求による相続争いを防止するためには、

特別寄与分を請求する人においては、
被相続人とのメール等のやりとりを残しておく、
療養看護を行った記録を正確につけておく、
療養看護のために要した費用の領収書・レシートを残しておく等
の対応をしておく必要があります。

被相続人においては、
特別寄与者に対して、一定額の贈与を行っておく、
遺言書で財産を受け取れるようにしておく等
自らの死後、特別寄与者と相続人とが、争いにならぬように手当をしておく必要があります。

また、相続におけるトラブルは、当事者の人間関係の希薄さも一因です。
相続人においては、
特別寄与者とコミュニケーションを定期的にとり、
感謝の気持ちを伝えたり、費用の一部負担をする等
関係を良好に保っておく努力が必要です。


相続手続を円満かつスムーズに進めるには、
被相続人、相続人、その他親族それぞれの生前の準備・対策が非常に重要です。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
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 まずは一度無料相談をご利用ください。

相続登記は早くしないと危険?!(相続させる遺言等の効力と対抗要件について)

おはようございます!
いよいよ夏ですね~。
私の自宅のまわりでも蝉の鳴き声が聞こえてきて、夏の訪れを感じさせてくれます。

このブログを見てくださっている皆さまの地域ではいかがでしょうか?
最近は夜でもかなり暑くなってきていますので、
夏バテしないように、体調管理に気をつけてくださいね。

さて、少し相続に関する話題から逸れていたんですが、
もうひとつ、7月1日に改正施行された相続法について、
お伝えさせていただければと思います。

今回は「相続登記は早くしないと危ないですよ。」という話題です。

今回の法改正により、
相続による不動産所有権の承継は
遺産分割、遺贈、相続させる旨の遺言のいずれによるかどうかにかかわらず、
法定相続分を超える部分については、
登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。
ということになりました。

特に今回の法改正で変化があったのが、
「相続させる旨の遺言」です。

いわゆる「相続させる旨の遺言」について、ざっくりと説明すると、
遺言書に「相続させる」という文言が記載がされていて、
相続人に対して、全遺産に関して指定した相続分割合を与えたり(相続分の指定)、
相続人に対して、特定の財産の分け方を指定して与えたり(遺産分割方法の指定)
する内容の遺言のことを言います。

改正前は、
「相続させる旨の遺言」によって権利を取得した場合、
判例は、登記をしなくてもその権利を第三者に対抗できるとしていました。
(最判平5.7.19裁判集民169・243,最判平14.6.10家月55・1・77)

判例では、相続させる旨の遺言の効力が「包括承継」であり、
相続人が相続の発生と同時に即時その権利を取得する点を重視して、
このような判断をしていましたが、
一方、相続債権者(被相続人に貸付などをしていた金融機関など)は、
遺言書の内容であったり、そもそも遺言の存在を知らないことが一般的ですので、
上記判例によって差押えが負けてしまう場面が発生してしまっていました。

上記のような結論が不平等であること、
遺産分割や遺贈によって、相続人が権利を取得した場合との結論のバランスから、
今回、改正により手当てがなされました。

改正後は、
先述のとおり、
「法定相続分を超える部分については、登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。」
となり、
例えば、被相続人の相続人として、長男と次男がいるケースで、
遺産分割や遺贈、あるいは、相続させる旨の遺言によって
被相続人名義の不動産を長男が100%、次男が0%の割合で取得したにもかかわらず、
登記をしないで放置しているうちに
被相続人に金銭を貸し付けた債権者(金融機関など)が、
この不動産を、長男50%、次男50%の法定相続分で取得したと考えて
差し押さえの登記をしたときは、
長男は、自らの法定相続分50%を超えて取得した残りの50%部分については、
第三者である債権者(金融機関など)に対抗できないことになります。

つまり、
法定相続分の割合以外で遺産を取得した相続人は、
急いで登記手続を完了しておかないと、
被相続人や他の相続人の債権者によって差押え等がなされてしまったり、
他の相続人が勝手にその不動産を売却して登記をしてしまったりして、
自らの権利が失われてしまう可能性があるということです。

私個人の印象としては、
相続に伴う登記手続を長く放置されている人が多いように感じています。
相続に伴う登記手続は面倒なことも多いかもしれませんが、
多くの場合、放置することで手続が簡単になることはなく、
相続人が認知症になってしまったり、
相続人が亡くなることで疎遠な相続人が増えてしまったり、
ますます複雑化していく一方です。

せっかく自身が権利を取得したのであれば、
その権利を失ってしまうことのないように、
早めに登記手続を行っておくことをおすすめいたします。


いかがでしたでしょうか?
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今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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毎年していますか?資産の総額の変更登記について

おはようございます!

今年は梅雨が遅れてやってきたと思ったら、突然数年に1度レベルの豪雨になったり、
日中の湿度・気温がもの凄く高くなったり、夜はひんやりしたりと…
変な天気が続いていますね。

そのせいもあってか?先日うっかり風邪をひいてしまいました。
鼻水が止まらなくなり、しばらく鼻声になっていましたが、
弊所の近くにはお医者さんがとても多いので、初期症状の段階でお薬をいただき、
すぐに回復しました!!

さて、そんな良くお世話になるお医者さんですが、
個人医院ではなく、医療法人として運営されていることが多いです。

そして、私たち司法書士は医療法人の登記手続も行っているのですが、
その中でも、毎年登記をしないといけない
「資産の総額の変更登記」について書かせていただきます。

「資産の総額」というのは、
医療法人をはじめ、社会福祉法人や学校法人など、
組合等登記令を根拠とする法人において登記することを求められている事項で、
貸借対照表上の資産(プラスの財産)から負債(マイナスの財産)を控除した
純資産の部に計上される金額のことを指しています。
(資産の総額をみると、法人の規模や業績が少し分かってきますね。)

そして、この資産の総額については、
組合等登記令第3条において
「毎事業年度の末日から3カ月以内に登記してください。」とされています。

多くの法人では、この事業年度を
4月1日から翌年3月31日までとしていることから、
多くの法人では、毎年、6月30日までに
資産の総額変更登記が必要ということになっています。

ちなみに、この期間を経過しても登記を怠っていると、
裁判所から法人代表者(理事長など)の住所地宛てに
「過料を支払いなさい。」という内容の書面が送付されることとなります。

ある日突然、裁判所から書類が送られてきたらビックリしますよね。
しかも、法人代表者(理事長など)は過料を払う義務があります。

役員変更の登記手続などをきっかけに
初めて弊所にご依頼いただいた法人様の登記簿を確認すると、
意外と、この資産の総額変更登記を1年分忘れているケースが多いように感じます。

毎年しなければならないことなので、忘れずに登記手続を行うようにしましょう。

なお、手続のために弊所がご用意をお願いしている書類は
「貸借対照表」のみです。

書籍などを見ても、財産目録を別途作成して登記手続を行う記載例が多いようなので、
もっとご負担を小さく、手続を行うことができる貸借対照表の書式サンプルを
今回は掲載させていただきます。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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司法書士 山内勇輝

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 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
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老後2000万円問題

おはようございます!

最近よく耳にする話題といえば、「老後2000万円問題」ではないでしょうか?

報道では、これに対して「政治の怠慢だ!」とか、「支払った年金を返せ!」とか、
怒りや不安の声が良く取り上げられていますよね。

そして、来週は参院選挙です。
選挙の論戦でも年金問題は、1つの争点になるんでしょうね。


今、このタイミングを逃して、
自身の年金と老後に必要な資産について、考えるきっかけはないのでしょうか?

ちなみに、「老後に2000万円が不足」というのは、
「夫65歳以上、妻60歳以上の無職の夫婦の世帯」においての、
支出と年金収入の平均値から算出されたものですから、
個々人の老後の不足額を判断するうえで参考になるものではありません。

実際、私のような自営業者の場合、
そもそも年金が国民年金で、その分年金収入が小さくなるため、
「老後5000万円問題」といったところでしょうか?
(モデルケースよりもかなり深刻?ですね…。)


「老後2000万円問題」と言われ始めた当初は、感情的な議論が多かったのですが、
最近は少しずつ、丁寧な解説をした記事も増えてきている様子です。

自身の老後、
いつまで働き、
どんな生活をしたいのか、
それにはどれくらいのお金が必要で、
現状想定される収入額はいくらなのか…。

きちんと考えて、
資産形成の専門家のアドバイスも受けながら、
いわゆる自助努力といわれる対策(貯金、投資、保険、もっと働くなど)
を早めに取りたいところです。


そして、私はもっともっと働かないと!(笑)


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
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相続人でない親族の介護が報われる「特別寄与料」制度の創設について

いつも弊所のブログ記事を読んでいただき、ありがとうございます。

7月1日、大幅に改正された相続法の大部分が施行されることに伴い、
最近は相続に関する記事を重点的に書かせていただいております。

そして、今回も相続に関する話題を書かせていただこうと思います。


長男の配偶者が長男の父母(配偶者からみると義父母)を長年介護していますが、
長女、次男は遠方に暮らしていることもあり、介護には一切関与していません。
このようなケースは非常に良くあります。

このケースにおいて、長男が義父母より先に亡くなってしまい、
その後、義父母の相続が発生したような場合では、
長男の配偶者がどれほどその介護に時間や労力を費やしていたとしても、
義父母の相続に関して、
相続人ではない亡長男の配偶者が、遺産を受け取る権利は認められず、
相続人である長女と次男のみが、相続人として遺産を受け取ることになっていました。

これでは、親族間で不公平ではないかという問題意識から、
このたびの相続法改正で、
亡長男の配偶者をはじめとする親族が、一定の要件のもとで、その貢献に応じて、
被相続人の相続に関して、「特別寄与料」の請求ができることとなりました。
創設された規定は以下のような内容となっています。

被相続人に対して、
(1)無償で、
(2)療養看護その他の労務の提供をしたことにより、
(3)被相続人の財産の維持又は増加について、
(4)特別の寄与をした
(5)被相続人の親族(相続人や相続の放棄をした者等を除く。以下、「特別寄与者」という。)は、
相続の開始後、
(6)相続人に対し、
(7)寄与に応じた額の金銭の支払いを請求することができる。

以下、それぞれの要件について、さらに解説していきます。

(1)「無償で」とは、
特別寄与者が、被相続人から、労務の対価として、又は生前贈与や遺贈等によって、
労務の実質的な対価を受け取っていないことが要件となっています。

(2)「療養看護その他の労務の提供をしたことにより」とは、
特別の寄与の具体的行為は、「療養看護その他の労務の提供」に限定されています。
療養看護は例示なので、介護はもちろん、被相続人の事業の手伝いをすることも含まれます。
一方で、金銭の貸付などの財産上の給付については、本制度の対象外です。
※なお、貸付けた金銭については、被相続人の債務であるため、
 これを相続人に請求することで解決可能であると考えられます。

(3)「被相続人の財産の維持又は増加について」とは、
特別の寄与行為の結果、被相続人の財産を維持できたり、あるいは増加した。
というように、特別の寄与行為と財産の維持・増加の間に因果関係が認められることが必要です。
例えば、長男の配偶者が介護することで、介護サービスに支払う費用が節約できた。
というような事情が必要で、財産上の効果を伴わない精神的な援助等(付き添いなど)は、
特別の寄与に当たらないと考えられます。

(4)「特別の寄与をした」とは、
特別の寄与とは、被相続人との身分関係に基づいて通常期待されるような程度
を超える貢献をしたことを意味すると解釈されています。
本制度において、特別寄与料を請求できる人は、後述する「親族」であることや、
現行の寄与分制度における解釈との関係から、
「身分関係に基づいて通常期待されるような程度」は低いとも考えられますが、
実際どの程度の貢献がなされた場合に、認められるかの基準については、
今後の実務の積み重ねを注視していく必要があるものと思われます。

(5)「特別寄与者となりうる被相続人の親族」とは、
特別寄与者として認められる範囲として、改正法は広く「親族」としました。
「親族」というのは、配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族のことをいい、
子の配偶者もこの中に含まれます。
一方で、内縁関係や事実婚、同性婚のような場合は、この中に含まれないことになります。

(6)「相続人に対し」とは、
特別寄与料を負担するのは、特別の寄与として療養看護その他の労務の提供を受けた
被相続人についての相続における各相続人となります。
特別受益を受けている等によって、具体的相続分のない相続人についても、
法定相続分、あるいは指定相続分に応じて特別寄与料を負担することになります。
なお、特別寄与料は、被相続人の債務(相続債務)ではなく、相続人固有の債務です。

(7)「寄与に応じた額の金銭の支払いを請求」とは、
特別寄与料は、金銭での支払いを求める権利で、
まずは、相続人との間での協議によってその具体的金額を決定していくこととなります。
しかしながら、協議が調わないときや協議ができない場合には、
家庭裁判所に対して、特別寄与料を決定するよう請求することが可能になっています。
家庭裁判所における特別寄与料の算定は、
寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して定めることとされており、
現行の寄与分の算定と同様の基準・方法になると考えられています。
具体的には、
「療養看護を外注した場合の日当分×日数×(親族の相互扶助義務を考慮した減額割合)」
によって計算され、実際には数百万円程度になることが多くなるでしょう。
なお、家庭裁判所へ請求する場合には、期限があることに注意が必要です。
特別寄与者が相続の開始および相続人を知った時から6カ月、
または相続開始の時から1年経過した場合には、権利行使することができなくなります。


本制度によって、
先の亡長男の配偶者のような人の貢献に報いることができるようになりました。
その一方で、特別寄与分を請求される相続人としては、取り分が減ることに対して納得がいかず、
これまでよりも相続争いが複雑化する可能性もあります。


特別寄与分の請求による相続争いを防止するためには、

特別寄与分を請求する人においては、
被相続人とのメール等のやりとりを残しておく、
療養看護を行った記録を正確につけておく、
療養看護のために要した費用の領収書・レシートを残しておく等
の対応をしておく必要があります。

被相続人においては、
特別寄与者に対して、一定額の贈与を行っておく、
遺言書で財産を受け取れるようにしておく等
自らの死後、特別寄与者と相続人とが、争いにならぬように手当をしておく必要があります。

また、相続におけるトラブルは、当事者の人間関係の希薄さも一因です。
相続人においては、
特別寄与者とコミュニケーションを定期的にとり、
感謝の気持ちを伝えたり、費用の一部負担をする等
関係を良好に保っておく努力が必要です。


相続手続を円満かつスムーズに進めるには、
被相続人、相続人、その他親族それぞれの生前の準備・対策が非常に重要です。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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