相談無料/相続・生前対策・登記のことなら/へいわ法務司法書士事務所

へいわ法務司法書士事務所

※初回相談無料です。お気軽にご連絡ください。匿名での問い合わせは対応いたしかねますので、予めご了承ください。

2019/07/27

相続登記は早くしないと危険?!(相続させる遺言等の効力と対抗要件について)

おはようございます!
いよいよ夏ですね~。
私の自宅のまわりでも蝉の鳴き声が聞こえてきて、夏の訪れを感じさせてくれます。

このブログを見てくださっている皆さまの地域ではいかがでしょうか?
最近は夜でもかなり暑くなってきていますので、
夏バテしないように、体調管理に気をつけてくださいね。

さて、少し相続に関する話題から逸れていたんですが、
もうひとつ、7月1日に改正施行された相続法について、
お伝えさせていただければと思います。

今回は「相続登記は早くしないと危ないですよ。」という話題です。

今回の法改正により、
相続による不動産所有権の承継は
遺産分割、遺贈、相続させる旨の遺言のいずれによるかどうかにかかわらず、
法定相続分を超える部分については、
登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。
ということになりました。

特に今回の法改正で変化があったのが、
「相続させる旨の遺言」です。

いわゆる「相続させる旨の遺言」について、ざっくりと説明すると、
遺言書に「相続させる」という文言が記載がされていて、
相続人に対して、全遺産に関して指定した相続分割合を与えたり(相続分の指定)、
相続人に対して、特定の財産の分け方を指定して与えたり(遺産分割方法の指定)
する内容の遺言のことを言います。

改正前は、
「相続させる旨の遺言」によって権利を取得した場合、
判例は、登記をしなくてもその権利を第三者に対抗できるとしていました。
(最判平5.7.19裁判集民169・243,最判平14.6.10家月55・1・77)

判例では、相続させる旨の遺言の効力が「包括承継」であり、
相続人が相続の発生と同時に即時その権利を取得する点を重視して、
このような判断をしていましたが、
一方、相続債権者(被相続人に貸付などをしていた金融機関など)は、
遺言書の内容であったり、そもそも遺言の存在を知らないことが一般的ですので、
上記判例によって差押えが負けてしまう場面が発生してしまっていました。

上記のような結論が不平等であること、
遺産分割や遺贈によって、相続人が権利を取得した場合との結論のバランスから、
今回、改正により手当てがなされました。

改正後は、
先述のとおり、
「法定相続分を超える部分については、登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。」
となり、
例えば、被相続人の相続人として、長男と次男がいるケースで、
遺産分割や遺贈、あるいは、相続させる旨の遺言によって
被相続人名義の不動産を長男が100%、次男が0%の割合で取得したにもかかわらず、
登記をしないで放置しているうちに
被相続人に金銭を貸し付けた債権者(金融機関など)が、
この不動産を、長男50%、次男50%の法定相続分で取得したと考えて
差し押さえの登記をしたときは、
長男は、自らの法定相続分50%を超えて取得した残りの50%部分については、
第三者である債権者(金融機関など)に対抗できないことになります。

つまり、
法定相続分の割合以外で遺産を取得した相続人は、
急いで登記手続を完了しておかないと、
被相続人や他の相続人の債権者によって差押え等がなされてしまったり、
他の相続人が勝手にその不動産を売却して登記をしてしまったりして、
自らの権利が失われてしまう可能性があるということです。

私個人の印象としては、
相続に伴う登記手続を長く放置されている人が多いように感じています。
相続に伴う登記手続は面倒なことも多いかもしれませんが、
多くの場合、放置することで手続が簡単になることはなく、
相続人が認知症になってしまったり、
相続人が亡くなることで疎遠な相続人が増えてしまったり、
ますます複雑化していく一方です。

せっかく自身が権利を取得したのであれば、
その権利を失ってしまうことのないように、
早めに登記手続を行っておくことをおすすめいたします。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
 明るく穏やかな雰囲気の事務所です。
 まずは一度無料相談をご利用ください。