へいわ法務司法書士事務所

※初回相談無料です。お気軽にご連絡ください。匿名での問い合わせは対応いたしかねますので、予めご了承ください。

機械設備や在庫などの動産に対する担保権を創設する動きが出てきました

おはようございます!

弊所の取扱い業務でもある「動産譲渡登記」について
先日、日本経済新聞に気になる記事が掲載されました。

日本経済新聞電子版記事(9月6日付)
(担保権を動産にも設定 法務省、機械・在庫対象に)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49481830V00C19A9MM8000/


動産を担保として取得する方法として、
不動産に対する抵当権、根抵当権、質権などのように
法律上認められた新たな担保権(物権)を創設しよう
と検討しているとのことです。

現在、融資の担保として動産を差し入れる方法として一般的なものとして、
「質権」や「譲渡担保」という方法があります。

まずは、質権ですが
これは質屋さんをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。
融資を受ける人が所有するモノ(動産)を質屋に引き渡す代わりに融資を受け、
もし返済がされない場合には、そのモノ(動産)を売却して返済を受けたり、
そのモノ(動産)の所有権を質屋がもらい受ける(いわゆる質流れ)
というような方法です。

しかしながら、質屋で取り扱うような物品であればまだしも
事業者の保有する機械設備や大量の在庫となると異なる手法が必要です。
なぜなら、これらのモノ(動産)は普段の事業経営に必要なモノですので、
誰かに引き渡してしまうと事業経営ができなくなるからです。

そんなときには
譲渡担保という方法を取ることになります。
譲渡担保というのは、事業者が保有する機械設備や在庫などの所有権だけを
融資を行う金融機関に移す方法のことをいいます。
この譲渡担保を使えば、
融資を受けた後も、事業者は機械設備等を手元に置いて使い続けることができますし、
万が一返済が滞ったときには、
融資を行う金融機関も、機械設備等を売却して返済を受けることができます。

ただこの場合、担保に差し入れた事実が第三者から分かりにくい点が問題で、
ある機械設備を担保に融資したはずが
別の金融機関がすでにその機械を担保に融資していて
2つの金融機関同士で譲渡担保が成立した時期をめぐって争うといった
事態が生じることを恐れ、融資に二の足を踏むことが想定されたため、
現行法「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」において
機械設備などの動産の譲渡担保について登記をすることで、
担保に差し入れた事実やその時期を第三者に明確に知らしめることを可能にしています。

この動産の譲渡担保を活用した融資方法(ABL)は
2000年代から利用は増加してきましたが、近年は件数が2年連続で減少し
利用が伸び悩んでいる状況にあります。
金融緩和でカネ余りが続き、
金融機関が機械や在庫をあえて担保にする必要性が薄れていたり
現行の動産譲渡登記制度のもとでは
不動産抵当権のように第1、第2順位といった担保の優先順位のルールが不明確だったり
登記制度以外の方法をとる優先者が存在する可能性についても注意か必要だったりと
使いづらい点が普及を妨げているともいわれています。

一方で、将来、景気が悪化するなどして融資が受けにくい市況となれば、
ふたたび企業がABLを利用するニーズもふくらむことが予想されます。

そのため、法務省は今年3月に研究会を立ち上げ、
動産を対象にした担保権を法制化する議論を始めています。
法務省は早ければ2020年秋に民法などの改正を法制審議会に諮問する見通しです。
法務省の研究会では、機械や在庫などを対象とした担保権を法制化すると同時に
新たに登記制度を設ける案などを検討しているようです。

在庫など担保の対象となるものが入れ替わり、量も変動するモノを
担保の対象としてどのように特定して登記を可能とする仕組みとするのか
担保に差し入れた事業者が倒産した時の新たな担保権の取り扱いなども含めて
検討されるようです。

金融機関のご担当者よりご相談いただくことも多い
動産の譲渡担保に関する仕組みについては、
個人的には、以下の仕組みを含んだ制度としてくれることを期待したいですね。
1、一定の動産の担保取得については、その優先順位の決定基準を登記に一本化
2、工場抵当法には存在するような不動産担保と連動させる仕組み
3、大量の動産を一括して担保権設定できる仕組み


良ければ、動産譲渡について書いた関連記事もご覧ください。
「2019.3.9付-動産譲渡登記に関する証明書について」


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
 明るく穏やかな雰囲気の事務所です。
 まずは一度無料相談をご利用ください。

お仕事には欠かせないアレ

おはようございます!

9月も終わりに近づき
夏から秋へ
すっかり涼しくなってきましたね!

今日は私が日々お仕事に取り組む中で
欠かせないアレについて書いてみようかと思います。

アレとはコーヒーのことなんですが、
毎朝出社前に
お仕事の途中に
夕食後にと
コーヒーを良く飲みます。

20代の頃は、たまに缶コーヒーを飲むくらいだったんですが、
高校時代の友人が開店した珈琲店のコーヒーが美味しくて
以来すっかりコーヒーにハマってしまいました。

豆の種類や挽き方、焙煎方法によって異なるコーヒーの味に
コーヒーの世界はこんなに深いのかと思いつつ
季節や気分によって種類を変えながら、
コーヒーをいただいています。

手続書類のチェックなど、集中力が必要な仕事をするときや
依頼者の皆さまに喜んでいただける新サービスのアイデアを出すとき
一息ついて少しリラックスするとき
などなど、いつもコーヒーが欠かせません。


皆さんにも「お仕事には欠かせないアレ」ないでしょうか?
良いものがあれば、ぜひお聞かせいただきたいですね。


最後に、少し宣伝になってしまいますが、
とても美味しくてオススメなので
例の高校時代の友人の珈琲店の情報を貼っておきますね。

【cafe matin(カフェ マタン)】
(URL)http://matin-coffee.com/?mode=f2
(TEL) 072-726-2266
(OPEN) 8:00 ~ 19:00
(定休日) 第3木曜日
(アクセス)
〒562-0035 大阪府箕面市船場東1-2-20 ウォールマンビル3F
[ バスでお越しのお客様 ]
千里中央駅から阪急バスで10分(最寄りのバス停は新船場北橋になります。)
[ 車でお越しのお客様 ]
・提携駐車場 
当ビル・南側の「大和ハウスパーキング」、「セレパーク」、北側の「ザ・パーク」
をご利用頂いたお客様には駐車券のご提示で北摂焙煎所オリジナルドリップパックを
1組様につき1つサービスをさせて頂きます。

ご興味があれば、一度お試しください。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
 明るく穏やかな雰囲気の事務所です。
 まずは一度無料相談をご利用ください。

離婚等で姓が変わったら(子の氏の変更手続)

おはようございます!

先日、私の親族が住んでいる名古屋に行く機会がありまして
そこで弊所のホームページの話になりました。
私の母が、知人に「息子が司法書士をしている。」と話しているようで、
その知人の方が弊所のホームページを見てくださったようです。
中でもブログの記事の内容が役に立つと言ってくださっているようで
それを母を通じて知った私はとても嬉しくなってしまいました(笑)

弊所のホームページを見てくれている多くの方々の
お声をいただく機会はそれほど多くありませんので、
そういったお声が私の耳に入ってきたことは、非常に励みになります!

「豚もおだてりゃ木に登る」という言葉もありますが、
そういったお声を励みに、これからもブログ記事で有益な情報を
皆さんにお届けできればと思っていますので、
これからもどうぞ応援のほど宜しくお願いいたします!


さて、司法書士のオシゴトの中には
「裁判所へ提出する書類の作成」というものがあります。

同業者や他の士業などの間では、常識のように思われていますが、
一般のお客さまにおいては、意外と知らなかったという方もいるようです。

そこで、
今日は裁判所へ提出する申立書の作成に関連して
1つ記事を書かせていただきます。


今日のテーマは「子の氏の変更許可申立て」です。

どんなときに必要な手続なのか
少し分かりにくいかもしれませんので、
具体的なケースをあげてご説明しますね。


【1、父母が離婚して、母の姓(氏)が結婚前の姓(氏)に戻ったケース】

父母が離婚して、母の姓が結婚前の姓に戻ったとき(復氏)、
父母の間に生まれ、結婚時の姓を名乗っていた子が
母が親権者に定められたことに伴って、母に引き取られることになった場合でも
子の姓は、当然に母の姓にはならず、父の姓のままとなります。

そして、戸籍はどうなるかというと、
原則、母は復氏したことにより、結婚前の戸籍に戻る(復籍)ことになります。
一方、母の両親が亡くなっているなどして復籍する戸籍がなかったり
母自身が筆頭者となる新戸籍編成の申し出を行うと
母自身だけが入る新戸籍が編成されることになります。
ちなみに、子は父の戸籍に残ったままとなります。

戸籍は「夫婦および夫婦と氏を同じくする子」や
「配偶者がない者およびその者と氏を同じくする子」が編成単位ですので、
母とその子は親子であっても、
姓(氏)が異なっているままでは、同じ戸籍に入ることができません。

このままでは、母と一緒に生活するうえで支障が出てきてしまうので、
法律は、子の姓(氏)を変更する手続を用意しています。

(民法791条)
“子が父又は母と氏を異にする場合には、
子は、家庭裁判所の許可を得て、
戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、
その父又は母の氏を称することができる。”


つまり、このケースで、
母と子が同じ姓(氏)を名乗り、同じ戸籍に入るためには、
(1)母の新しい戸籍を作る(新戸籍編成)
(2)子の氏の変更について、家庭裁判所の許可を得る。(子の氏の変更許可申立て)
(3)戸籍法の定める届出をする。(市区町村役場への入籍届)
これら3つの手続を行う必要があるということになります。


続いて、具体的な手続の方法についても解説していこうと思います。

(1)母の新しい戸籍を作る(新戸籍編成)

離婚届の項目に「婚姻前の氏にもどる者の本籍」というものがありますが、
この中の「新しい戸籍をつくる」にチェックをして必要事項を記載すればOKです。
(これが、先ほど記述した新戸籍編成の申し出というものです。)

ちなみに、離婚後に旧姓を名乗ることとした場合、
両親の戸籍に戻ること(復籍)もできますが、
それでは、子は母と一緒の戸籍に入ることができません。
母の親、母、子の三世代が同じ戸籍に入ることは認められていないからです。

そのため、母と子が同じ戸籍に入ることを目指すのであれば、
最初から母の新しい戸籍を作る(新戸籍編成)をしておくことになります。


(2)子の氏の変更について、家庭裁判所の許可を得る。(子の氏の変更許可申立て)

子の姓(氏)は自動的に変わることはなく、
無許可で変更することもできないので、
家庭裁判所に申立てをして、子の氏の変更について、許可をもらうことになります。

1、申立てをする家庭裁判所(管轄裁判所)

「子」の住所地を管轄する家庭裁判所です。
多くの場合、母と同じ住所地だとは思いますが、
あくまでも「子」の住所地の家庭裁判所が管轄であることにご注意ください。


2、申立てをする人(申立権者)

子自身です。
(子が15歳未満のときは、法定代理人。つまり、親権者である母です。)
15歳未満の子の姓(氏)を変更するために、
親権者ではない方が代理人として申立てはできません。
この場合、親権者に協力してもらう、子が15歳になるのを待つ等の対応が必要です。


3、申立てに必要な費用

・収入印紙800円分(子1人につき)
・郵便切手(管轄の家庭裁判所に電話確認して、用意します。)
・(司法書士等の専門家に依頼する場合)その報酬


4、申立てに必要な書類

・申立書(申立人の印鑑を押印します。)
・申立人(子)の戸籍謄本(全部事項証明書)
・父母の戸籍謄本(全部事項証明書)
 ※父母の離婚の記載のあるものが必要です。
 ※戸籍謄本は一般的に発行後3ケ月以内のものが必要です。
 ※このケースでは、子の戸籍謄本と父の戸籍謄本は同じ書類になりますので、
  1通のみで足ります。


5、申立て後の流れ

申立てがなされた後、
家庭裁判所では、子の氏の変更が「子の福祉や利益に適うのか」について審理します。
たとえば、親子の姓が異なることになった理由、申立ての動機、姓を変更する必要性
その他関係者の意向などを踏まえて、判断(審判)をすることになります。

ちなみに、今回のケースのように、父母の離婚が理由の場合には、
簡略な書面審理のみで、
即日~1週間程度で、許可する判断(審判)がなされることが一般的です。


(3)戸籍法の定める届出をする。(市区町村役場への入籍届)

子の氏の変更を許可する審判がされた場合、
家庭裁判所から「許可審判書の謄本」が郵送されてきますので、
これを添えて、市区町村役場へ入籍届を提出することになります。

1、届出をする市区町村役場(管轄)

子の住所地または本籍地の市区町村役場の戸籍担当です。


2、届出をする人

子自身です。
(子が15歳未満のときは、法定代理人。つまり、親権者である母です。)


3、届出に必要な書類

・入籍届(届出人の印鑑を押印します。)
・家庭裁判所から郵送された「許可審判書の謄本」
・子の戸籍謄本(全部事項証明書)
・子が入籍する母の戸籍謄本(全部事項証明書)
 ※提出先となる市区町村に本籍がある場合は、戸籍謄本は不要です。
  提出が必要な場合は、家庭裁判所への申立て用に取得する際に、
  余分に取得しておくと良いですね。


これで手続完了です!


【2、父母が離婚して、母が旧姓ではなく結婚時の姓をそのまま名乗るケース】

このように、結婚した際に姓(氏)を改めた母が
旧姓ではなく結婚時の姓をそのまま名乗ることを
「婚氏続称(こんしぞくしょう)」といいます。

離婚届の提出と同時、
あるいは離婚の日から3ケ月以内に市区町村役場に届け出ることで、
婚氏続称ができます。

婚氏続称をした場合、母の姓と子の姓は同じなので、
家庭裁判所の許可を得なくても、
母の戸籍に子を入れることができるように思われるかもしれませんが、
法律上、別の姓(氏)と解釈されているため、
【1】のケースと同様の手続が必要となります。
詳しい手続は、【1】の内容を見てくださいね。


その他、離婚によるケース以外にも、
いわゆる連れ子のある父母が再婚したケース
父母が養子縁組をしたり、養子縁組をやめたり(離縁)したケース
父に認知されたケース
父母の一方が死亡後、生存当事者が復氏したケース
などなど、子の姓(氏)が父母と異なってしまうケースがあり、
上記同様に子の氏の変更手続が必要となるので、注意が必要です。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
 明るく穏やかな雰囲気の事務所です。
 まずは一度無料相談をご利用ください。

銀行の休眠口座に口座管理手数料がかかる!?

おはようございます!

弊所の得意分野の1つである相続手続に関して
最近、お客さまより良くお問合せいただくご質問で
「残高の少ない預金口座を相続したんだけど、放置しておいても構わないですか?」
というのがあります。

これに関して、
下記のとおり、8月21日付日本経済新聞電子版に記事が掲載されました。

日本経済新聞電子版記事
(銀行、休眠口座に手数料案浮上 マイナス金利を転嫁)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48817210R20C19A8EE9000/

以下引用。

“個人の預金口座にマイナス金利を課す動きが欧州で広がり、
邦銀でも経営の検討課題として浮上してきた。
中央銀行のマイナス金利政策が長期化し、
収益の先細りが懸念される事態は日欧で変わらないためだ。
マネーロンダリング(資金洗浄)対策などで口座管理に要する負担も増す。
入出金が長く止まった休眠口座に一定の手数料を課す案が有力との見方もある。”

“そこで銀行業界が現実的な選択肢として注目するのは、
入出金が長期にわたって止まり、休眠状態にある預金口座から
口座管理手数料として毎年一定額を取る案だ。”


法律の専門家の目線から言いますと
残高の少ない預金口座であっても相続財産である以上、
相続人全員での遺産分割協議を経る必要があるところ、
相続発生から相当期間年月を経てから、相続人間で遺産分割協議を行うことは
相続人の高齢化、認知症、死亡による相続人の増加などにより
困難が伴う可能性があります。

したがって、少なくとも早い段階で、遺産分割協議によって
「誰がその預金を相続するか」までは決めておく必要があります。

また、相続に伴う預金の名義変更・解約払戻し手続について、
相続人の6カ月以内の印鑑証明書を提出するよう求める金融機関が一般的です。
そのため、協議成立後、速やかに手続を行わなければ
改めて、相続人へ印鑑証明書の再提出を求めたりする等
手間をかけてしまうことになります。

これに加えて上記の記事のような話も出てきたのであれば、
「残高の少ない預金口座であっても、放置することは望ましくない。」
ということになるかと思います。


もちろん、最終的にはお客さまご自身が判断することではありますが、
適切な情報のもとで、ご判断いただけるようアドバイスすることが
我々専門家の役割だと考えています。

少し宣伝になってしまいますが、
弊所では、一般的な司法書士事務所が行う不動産の相続登記以外にも
預貯金、株式、投資信託、保険、自動車、その他各種遺産について、
弁護士、行政書士、税理士等の専門家と連携しつつ
低価格で相続手続を行うサービスを提供しております。


ご自身で相続手続ができない場合は、こういったサービスも活用しつつ、
スムーズに相続手続を進めていきたいものですね。


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機械設備や在庫などの動産に対する担保権を創設する動きが出てきました

おはようございます!

弊所の取扱い業務でもある「動産譲渡登記」について
先日、日本経済新聞に気になる記事が掲載されました。

日本経済新聞電子版記事(9月6日付)
(担保権を動産にも設定 法務省、機械・在庫対象に)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49481830V00C19A9MM8000/


動産を担保として取得する方法として、
不動産に対する抵当権、根抵当権、質権などのように
法律上認められた新たな担保権(物権)を創設しよう
と検討しているとのことです。

現在、融資の担保として動産を差し入れる方法として一般的なものとして、
「質権」や「譲渡担保」という方法があります。

まずは、質権ですが
これは質屋さんをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。
融資を受ける人が所有するモノ(動産)を質屋に引き渡す代わりに融資を受け、
もし返済がされない場合には、そのモノ(動産)を売却して返済を受けたり、
そのモノ(動産)の所有権を質屋がもらい受ける(いわゆる質流れ)
というような方法です。

しかしながら、質屋で取り扱うような物品であればまだしも
事業者の保有する機械設備や大量の在庫となると異なる手法が必要です。
なぜなら、これらのモノ(動産)は普段の事業経営に必要なモノですので、
誰かに引き渡してしまうと事業経営ができなくなるからです。

そんなときには
譲渡担保という方法を取ることになります。
譲渡担保というのは、事業者が保有する機械設備や在庫などの所有権だけを
融資を行う金融機関に移す方法のことをいいます。
この譲渡担保を使えば、
融資を受けた後も、事業者は機械設備等を手元に置いて使い続けることができますし、
万が一返済が滞ったときには、
融資を行う金融機関も、機械設備等を売却して返済を受けることができます。

ただこの場合、担保に差し入れた事実が第三者から分かりにくい点が問題で、
ある機械設備を担保に融資したはずが
別の金融機関がすでにその機械を担保に融資していて
2つの金融機関同士で譲渡担保が成立した時期をめぐって争うといった
事態が生じることを恐れ、融資に二の足を踏むことが想定されたため、
現行法「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」において
機械設備などの動産の譲渡担保について登記をすることで、
担保に差し入れた事実やその時期を第三者に明確に知らしめることを可能にしています。

この動産の譲渡担保を活用した融資方法(ABL)は
2000年代から利用は増加してきましたが、近年は件数が2年連続で減少し
利用が伸び悩んでいる状況にあります。
金融緩和でカネ余りが続き、
金融機関が機械や在庫をあえて担保にする必要性が薄れていたり
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一方で、将来、景気が悪化するなどして融資が受けにくい市況となれば、
ふたたび企業がABLを利用するニーズもふくらむことが予想されます。

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動産を対象にした担保権を法制化する議論を始めています。
法務省は早ければ2020年秋に民法などの改正を法制審議会に諮問する見通しです。
法務省の研究会では、機械や在庫などを対象とした担保権を法制化すると同時に
新たに登記制度を設ける案などを検討しているようです。

在庫など担保の対象となるものが入れ替わり、量も変動するモノを
担保の対象としてどのように特定して登記を可能とする仕組みとするのか
担保に差し入れた事業者が倒産した時の新たな担保権の取り扱いなども含めて
検討されるようです。

金融機関のご担当者よりご相談いただくことも多い
動産の譲渡担保に関する仕組みについては、
個人的には、以下の仕組みを含んだ制度としてくれることを期待したいですね。
1、一定の動産の担保取得については、その優先順位の決定基準を登記に一本化
2、工場抵当法には存在するような不動産担保と連動させる仕組み
3、大量の動産を一括して担保権設定できる仕組み


良ければ、動産譲渡について書いた関連記事もご覧ください。
「2019.3.9付-動産譲渡登記に関する証明書について」


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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おはようございます!

先日、私の親族が住んでいる名古屋に行く機会がありまして
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私の母が、知人に「息子が司法書士をしている。」と話しているようで、
その知人の方が弊所のホームページを見てくださったようです。
中でもブログの記事の内容が役に立つと言ってくださっているようで
それを母を通じて知った私はとても嬉しくなってしまいました(笑)

弊所のホームページを見てくれている多くの方々の
お声をいただく機会はそれほど多くありませんので、
そういったお声が私の耳に入ってきたことは、非常に励みになります!

「豚もおだてりゃ木に登る」という言葉もありますが、
そういったお声を励みに、これからもブログ記事で有益な情報を
皆さんにお届けできればと思っていますので、
これからもどうぞ応援のほど宜しくお願いいたします!


さて、司法書士のオシゴトの中には
「裁判所へ提出する書類の作成」というものがあります。

同業者や他の士業などの間では、常識のように思われていますが、
一般のお客さまにおいては、意外と知らなかったという方もいるようです。

そこで、
今日は裁判所へ提出する申立書の作成に関連して
1つ記事を書かせていただきます。


今日のテーマは「子の氏の変更許可申立て」です。

どんなときに必要な手続なのか
少し分かりにくいかもしれませんので、
具体的なケースをあげてご説明しますね。


【1、父母が離婚して、母の姓(氏)が結婚前の姓(氏)に戻ったケース】

父母が離婚して、母の姓が結婚前の姓に戻ったとき(復氏)、
父母の間に生まれ、結婚時の姓を名乗っていた子が
母が親権者に定められたことに伴って、母に引き取られることになった場合でも
子の姓は、当然に母の姓にはならず、父の姓のままとなります。

そして、戸籍はどうなるかというと、
原則、母は復氏したことにより、結婚前の戸籍に戻る(復籍)ことになります。
一方、母の両親が亡くなっているなどして復籍する戸籍がなかったり
母自身が筆頭者となる新戸籍編成の申し出を行うと
母自身だけが入る新戸籍が編成されることになります。
ちなみに、子は父の戸籍に残ったままとなります。

戸籍は「夫婦および夫婦と氏を同じくする子」や
「配偶者がない者およびその者と氏を同じくする子」が編成単位ですので、
母とその子は親子であっても、
姓(氏)が異なっているままでは、同じ戸籍に入ることができません。

このままでは、母と一緒に生活するうえで支障が出てきてしまうので、
法律は、子の姓(氏)を変更する手続を用意しています。

(民法791条)
“子が父又は母と氏を異にする場合には、
子は、家庭裁判所の許可を得て、
戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、
その父又は母の氏を称することができる。”


つまり、このケースで、
母と子が同じ姓(氏)を名乗り、同じ戸籍に入るためには、
(1)母の新しい戸籍を作る(新戸籍編成)
(2)子の氏の変更について、家庭裁判所の許可を得る。(子の氏の変更許可申立て)
(3)戸籍法の定める届出をする。(市区町村役場への入籍届)
これら3つの手続を行う必要があるということになります。


続いて、具体的な手続の方法についても解説していこうと思います。

(1)母の新しい戸籍を作る(新戸籍編成)

離婚届の項目に「婚姻前の氏にもどる者の本籍」というものがありますが、
この中の「新しい戸籍をつくる」にチェックをして必要事項を記載すればOKです。
(これが、先ほど記述した新戸籍編成の申し出というものです。)

ちなみに、離婚後に旧姓を名乗ることとした場合、
両親の戸籍に戻ること(復籍)もできますが、
それでは、子は母と一緒の戸籍に入ることができません。
母の親、母、子の三世代が同じ戸籍に入ることは認められていないからです。

そのため、母と子が同じ戸籍に入ることを目指すのであれば、
最初から母の新しい戸籍を作る(新戸籍編成)をしておくことになります。


(2)子の氏の変更について、家庭裁判所の許可を得る。(子の氏の変更許可申立て)

子の姓(氏)は自動的に変わることはなく、
無許可で変更することもできないので、
家庭裁判所に申立てをして、子の氏の変更について、許可をもらうことになります。

1、申立てをする家庭裁判所(管轄裁判所)

「子」の住所地を管轄する家庭裁判所です。
多くの場合、母と同じ住所地だとは思いますが、
あくまでも「子」の住所地の家庭裁判所が管轄であることにご注意ください。


2、申立てをする人(申立権者)

子自身です。
(子が15歳未満のときは、法定代理人。つまり、親権者である母です。)
15歳未満の子の姓(氏)を変更するために、
親権者ではない方が代理人として申立てはできません。
この場合、親権者に協力してもらう、子が15歳になるのを待つ等の対応が必要です。


3、申立てに必要な費用

・収入印紙800円分(子1人につき)
・郵便切手(管轄の家庭裁判所に電話確認して、用意します。)
・(司法書士等の専門家に依頼する場合)その報酬


4、申立てに必要な書類

・申立書(申立人の印鑑を押印します。)
・申立人(子)の戸籍謄本(全部事項証明書)
・父母の戸籍謄本(全部事項証明書)
 ※父母の離婚の記載のあるものが必要です。
 ※戸籍謄本は一般的に発行後3ケ月以内のものが必要です。
 ※このケースでは、子の戸籍謄本と父の戸籍謄本は同じ書類になりますので、
  1通のみで足ります。


5、申立て後の流れ

申立てがなされた後、
家庭裁判所では、子の氏の変更が「子の福祉や利益に適うのか」について審理します。
たとえば、親子の姓が異なることになった理由、申立ての動機、姓を変更する必要性
その他関係者の意向などを踏まえて、判断(審判)をすることになります。

ちなみに、今回のケースのように、父母の離婚が理由の場合には、
簡略な書面審理のみで、
即日~1週間程度で、許可する判断(審判)がなされることが一般的です。


(3)戸籍法の定める届出をする。(市区町村役場への入籍届)

子の氏の変更を許可する審判がされた場合、
家庭裁判所から「許可審判書の謄本」が郵送されてきますので、
これを添えて、市区町村役場へ入籍届を提出することになります。

1、届出をする市区町村役場(管轄)

子の住所地または本籍地の市区町村役場の戸籍担当です。


2、届出をする人

子自身です。
(子が15歳未満のときは、法定代理人。つまり、親権者である母です。)


3、届出に必要な書類

・入籍届(届出人の印鑑を押印します。)
・家庭裁判所から郵送された「許可審判書の謄本」
・子の戸籍謄本(全部事項証明書)
・子が入籍する母の戸籍謄本(全部事項証明書)
 ※提出先となる市区町村に本籍がある場合は、戸籍謄本は不要です。
  提出が必要な場合は、家庭裁判所への申立て用に取得する際に、
  余分に取得しておくと良いですね。


これで手続完了です!


【2、父母が離婚して、母が旧姓ではなく結婚時の姓をそのまま名乗るケース】

このように、結婚した際に姓(氏)を改めた母が
旧姓ではなく結婚時の姓をそのまま名乗ることを
「婚氏続称(こんしぞくしょう)」といいます。

離婚届の提出と同時、
あるいは離婚の日から3ケ月以内に市区町村役場に届け出ることで、
婚氏続称ができます。

婚氏続称をした場合、母の姓と子の姓は同じなので、
家庭裁判所の許可を得なくても、
母の戸籍に子を入れることができるように思われるかもしれませんが、
法律上、別の姓(氏)と解釈されているため、
【1】のケースと同様の手続が必要となります。
詳しい手続は、【1】の内容を見てくださいね。


その他、離婚によるケース以外にも、
いわゆる連れ子のある父母が再婚したケース
父母が養子縁組をしたり、養子縁組をやめたり(離縁)したケース
父に認知されたケース
父母の一方が死亡後、生存当事者が復氏したケース
などなど、子の姓(氏)が父母と異なってしまうケースがあり、
上記同様に子の氏の変更手続が必要となるので、注意が必要です。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
 明るく穏やかな雰囲気の事務所です。
 まずは一度無料相談をご利用ください。

銀行の休眠口座に口座管理手数料がかかる!?

おはようございます!

弊所の得意分野の1つである相続手続に関して
最近、お客さまより良くお問合せいただくご質問で
「残高の少ない預金口座を相続したんだけど、放置しておいても構わないですか?」
というのがあります。

これに関して、
下記のとおり、8月21日付日本経済新聞電子版に記事が掲載されました。

日本経済新聞電子版記事
(銀行、休眠口座に手数料案浮上 マイナス金利を転嫁)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48817210R20C19A8EE9000/

以下引用。

“個人の預金口座にマイナス金利を課す動きが欧州で広がり、
邦銀でも経営の検討課題として浮上してきた。
中央銀行のマイナス金利政策が長期化し、
収益の先細りが懸念される事態は日欧で変わらないためだ。
マネーロンダリング(資金洗浄)対策などで口座管理に要する負担も増す。
入出金が長く止まった休眠口座に一定の手数料を課す案が有力との見方もある。”

“そこで銀行業界が現実的な選択肢として注目するのは、
入出金が長期にわたって止まり、休眠状態にある預金口座から
口座管理手数料として毎年一定額を取る案だ。”


法律の専門家の目線から言いますと
残高の少ない預金口座であっても相続財産である以上、
相続人全員での遺産分割協議を経る必要があるところ、
相続発生から相当期間年月を経てから、相続人間で遺産分割協議を行うことは
相続人の高齢化、認知症、死亡による相続人の増加などにより
困難が伴う可能性があります。

したがって、少なくとも早い段階で、遺産分割協議によって
「誰がその預金を相続するか」までは決めておく必要があります。

また、相続に伴う預金の名義変更・解約払戻し手続について、
相続人の6カ月以内の印鑑証明書を提出するよう求める金融機関が一般的です。
そのため、協議成立後、速やかに手続を行わなければ
改めて、相続人へ印鑑証明書の再提出を求めたりする等
手間をかけてしまうことになります。

これに加えて上記の記事のような話も出てきたのであれば、
「残高の少ない預金口座であっても、放置することは望ましくない。」
ということになるかと思います。


もちろん、最終的にはお客さまご自身が判断することではありますが、
適切な情報のもとで、ご判断いただけるようアドバイスすることが
我々専門家の役割だと考えています。

少し宣伝になってしまいますが、
弊所では、一般的な司法書士事務所が行う不動産の相続登記以外にも
預貯金、株式、投資信託、保険、自動車、その他各種遺産について、
弁護士、行政書士、税理士等の専門家と連携しつつ
低価格で相続手続を行うサービスを提供しております。


ご自身で相続手続ができない場合は、こういったサービスも活用しつつ、
スムーズに相続手続を進めていきたいものですね。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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