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2019/09/14

離婚等で姓が変わったら(子の氏の変更手続)

おはようございます!

先日、私の親族が住んでいる名古屋に行く機会がありまして
そこで弊所のホームページの話になりました。
私の母が、知人に「息子が司法書士をしている。」と話しているようで、
その知人の方が弊所のホームページを見てくださったようです。
中でもブログの記事の内容が役に立つと言ってくださっているようで
それを母を通じて知った私はとても嬉しくなってしまいました(笑)

弊所のホームページを見てくれている多くの方々の
お声をいただく機会はそれほど多くありませんので、
そういったお声が私の耳に入ってきたことは、非常に励みになります!

「豚もおだてりゃ木に登る」という言葉もありますが、
そういったお声を励みに、これからもブログ記事で有益な情報を
皆さんにお届けできればと思っていますので、
これからもどうぞ応援のほど宜しくお願いいたします!


さて、司法書士のオシゴトの中には
「裁判所へ提出する書類の作成」というものがあります。

同業者や他の士業などの間では、常識のように思われていますが、
一般のお客さまにおいては、意外と知らなかったという方もいるようです。

そこで、
今日は裁判所へ提出する申立書の作成に関連して
1つ記事を書かせていただきます。


今日のテーマは「子の氏の変更許可申立て」です。

どんなときに必要な手続なのか
少し分かりにくいかもしれませんので、
具体的なケースをあげてご説明しますね。


【1、父母が離婚して、母の姓(氏)が結婚前の姓(氏)に戻ったケース】

父母が離婚して、母の姓が結婚前の姓に戻ったとき(復氏)、
父母の間に生まれ、結婚時の姓を名乗っていた子が
母が親権者に定められたことに伴って、母に引き取られることになった場合でも
子の姓は、当然に母の姓にはならず、父の姓のままとなります。

そして、戸籍はどうなるかというと、
原則、母は復氏したことにより、結婚前の戸籍に戻る(復籍)ことになります。
一方、母の両親が亡くなっているなどして復籍する戸籍がなかったり
母自身が筆頭者となる新戸籍編成の申し出を行うと
母自身だけが入る新戸籍が編成されることになります。
ちなみに、子は父の戸籍に残ったままとなります。

戸籍は「夫婦および夫婦と氏を同じくする子」や
「配偶者がない者およびその者と氏を同じくする子」が編成単位ですので、
母とその子は親子であっても、
姓(氏)が異なっているままでは、同じ戸籍に入ることができません。

このままでは、母と一緒に生活するうえで支障が出てきてしまうので、
法律は、子の姓(氏)を変更する手続を用意しています。

(民法791条)
“子が父又は母と氏を異にする場合には、
子は、家庭裁判所の許可を得て、
戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、
その父又は母の氏を称することができる。”


つまり、このケースで、
母と子が同じ姓(氏)を名乗り、同じ戸籍に入るためには、
(1)母の新しい戸籍を作る(新戸籍編成)
(2)子の氏の変更について、家庭裁判所の許可を得る。(子の氏の変更許可申立て)
(3)戸籍法の定める届出をする。(市区町村役場への入籍届)
これら3つの手続を行う必要があるということになります。


続いて、具体的な手続の方法についても解説していこうと思います。

(1)母の新しい戸籍を作る(新戸籍編成)

離婚届の項目に「婚姻前の氏にもどる者の本籍」というものがありますが、
この中の「新しい戸籍をつくる」にチェックをして必要事項を記載すればOKです。
(これが、先ほど記述した新戸籍編成の申し出というものです。)

ちなみに、離婚後に旧姓を名乗ることとした場合、
両親の戸籍に戻ること(復籍)もできますが、
それでは、子は母と一緒の戸籍に入ることができません。
母の親、母、子の三世代が同じ戸籍に入ることは認められていないからです。

そのため、母と子が同じ戸籍に入ることを目指すのであれば、
最初から母の新しい戸籍を作る(新戸籍編成)をしておくことになります。


(2)子の氏の変更について、家庭裁判所の許可を得る。(子の氏の変更許可申立て)

子の姓(氏)は自動的に変わることはなく、
無許可で変更することもできないので、
家庭裁判所に申立てをして、子の氏の変更について、許可をもらうことになります。

1、申立てをする家庭裁判所(管轄裁判所)

「子」の住所地を管轄する家庭裁判所です。
多くの場合、母と同じ住所地だとは思いますが、
あくまでも「子」の住所地の家庭裁判所が管轄であることにご注意ください。


2、申立てをする人(申立権者)

子自身です。
(子が15歳未満のときは、法定代理人。つまり、親権者である母です。)
15歳未満の子の姓(氏)を変更するために、
親権者ではない方が代理人として申立てはできません。
この場合、親権者に協力してもらう、子が15歳になるのを待つ等の対応が必要です。


3、申立てに必要な費用

・収入印紙800円分(子1人につき)
・郵便切手(管轄の家庭裁判所に電話確認して、用意します。)
・(司法書士等の専門家に依頼する場合)その報酬


4、申立てに必要な書類

・申立書(申立人の印鑑を押印します。)
・申立人(子)の戸籍謄本(全部事項証明書)
・父母の戸籍謄本(全部事項証明書)
 ※父母の離婚の記載のあるものが必要です。
 ※戸籍謄本は一般的に発行後3ケ月以内のものが必要です。
 ※このケースでは、子の戸籍謄本と父の戸籍謄本は同じ書類になりますので、
  1通のみで足ります。


5、申立て後の流れ

申立てがなされた後、
家庭裁判所では、子の氏の変更が「子の福祉や利益に適うのか」について審理します。
たとえば、親子の姓が異なることになった理由、申立ての動機、姓を変更する必要性
その他関係者の意向などを踏まえて、判断(審判)をすることになります。

ちなみに、今回のケースのように、父母の離婚が理由の場合には、
簡略な書面審理のみで、
即日~1週間程度で、許可する判断(審判)がなされることが一般的です。


(3)戸籍法の定める届出をする。(市区町村役場への入籍届)

子の氏の変更を許可する審判がされた場合、
家庭裁判所から「許可審判書の謄本」が郵送されてきますので、
これを添えて、市区町村役場へ入籍届を提出することになります。

1、届出をする市区町村役場(管轄)

子の住所地または本籍地の市区町村役場の戸籍担当です。


2、届出をする人

子自身です。
(子が15歳未満のときは、法定代理人。つまり、親権者である母です。)


3、届出に必要な書類

・入籍届(届出人の印鑑を押印します。)
・家庭裁判所から郵送された「許可審判書の謄本」
・子の戸籍謄本(全部事項証明書)
・子が入籍する母の戸籍謄本(全部事項証明書)
 ※提出先となる市区町村に本籍がある場合は、戸籍謄本は不要です。
  提出が必要な場合は、家庭裁判所への申立て用に取得する際に、
  余分に取得しておくと良いですね。


これで手続完了です!


【2、父母が離婚して、母が旧姓ではなく結婚時の姓をそのまま名乗るケース】

このように、結婚した際に姓(氏)を改めた母が
旧姓ではなく結婚時の姓をそのまま名乗ることを
「婚氏続称(こんしぞくしょう)」といいます。

離婚届の提出と同時、
あるいは離婚の日から3ケ月以内に市区町村役場に届け出ることで、
婚氏続称ができます。

婚氏続称をした場合、母の姓と子の姓は同じなので、
家庭裁判所の許可を得なくても、
母の戸籍に子を入れることができるように思われるかもしれませんが、
法律上、別の姓(氏)と解釈されているため、
【1】のケースと同様の手続が必要となります。
詳しい手続は、【1】の内容を見てくださいね。


その他、離婚によるケース以外にも、
いわゆる連れ子のある父母が再婚したケース
父母が養子縁組をしたり、養子縁組をやめたり(離縁)したケース
父に認知されたケース
父母の一方が死亡後、生存当事者が復氏したケース
などなど、子の姓(氏)が父母と異なってしまうケースがあり、
上記同様に子の氏の変更手続が必要となるので、注意が必要です。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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