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2019/05/04

(根)抵当権者の取扱店の表示の登記について

ついに「令和元年」になりましたね!
少し油断すると、書類に「平成31年」と書いてしまいそうになりますが…
早くこの響きに慣れていきたいと思います!

余談ですが、弊所の名前は「へいわ」で、新元号にかけているように思われますが、
新元号発表前の命名でしたので、これはまったくの偶然です(笑)


さて、今回は少しだけ専門的な話題を書いてみようかと思います。
普段司法書士がこんなことを考えながら仕事をしているのか
という一面を知っていただけましたら幸いです。

我々司法書士は、普段、相続・贈与・売買・抵当権設定など様々な登記業務を行う上で、
法律、法務省令等の法令を詳しく知っていなければいけないのはもちろんですが、
実際に発生する事案に法令を当てはめて処理する際に、解釈上の問題が発生することが良くあります。

その際に、さらに知っていなければならないのが「先例」というものです。
裁判所が出す具体的な事件においての判断を「判例」といいますが、
これの登記手続版と考えていただくと分かりやすいかと思います。

実際の登記実務は法令とあわせて、この「先例」に基づいて運用処理をされていますので、
登記手続のプロである司法書士は、この「先例」にも詳しくなければいけないということになります。

今回は、その「先例」から1つ。
金融機関は融資をする際の担保として、抵当権や根抵当権を設定するんですが、
その際の「取扱店の表示」は登記できるのか否かというお話です。
司法書士からすると「基本のキ」といった内容ですが、
知識の整理も兼ねて書かせていただきます。

そもそもですが、取扱店の表示は抵当権、根抵当権の登記事項とはされていません。
(不動産登記法第59条、第83条、第88条)

しかしながら、先例(昭和36.5.17民甲1134)において、
抵当権、根抵当権設定の登記申請の場合、取扱店の表示があれば、
これを登記して差し支えないとしています。(不動産登記記録例377)

もし、取扱店の表示の登記がないと、
金融機関が抵当権、根抵当権設定の登記をした物件について、差押、競売等があった場合、
差押、競売等の通知書はすべて本店に送達されてしまうことになりますが、
全国に支店展開する金融機関にとって、
全国各地の支店でなされた登記をすべて把握することが困難であることや、
本店に送達されてしまった通知書を、実際の取扱支店を探し出して渡すために相当時間を要し、
最悪の場合、債権届出期日に間に合わない等、不測の損害を受けることも想定されることから、
この先例が出されました。

取扱店の表示のない抵当権、根抵当権設定の登記に対して、取扱店を追加する変更登記もできますし、
その変更更正は、登記名義人の氏名等の変更更正に準じます。
(昭和36.9.14民甲2277、昭和36.11.30民甲2983、他)

ただし、抵当権者が国の場合を除いて、
先例がなければ、金融機関でないものについて取扱店の表示は認められません。
さらに金融機関の中でも、取扱店の表示の登記ができるのは、
銀行、●●公庫、●●機構など規模の大きな金融機関に限定されており、
信用金庫、信用組合、信用保証協会など、展開する地域が限定される金融機関については、
取扱店の表示が認められていません。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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司法書士 山内勇輝

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