へいわ法務司法書士事務所

※初回相談無料です。お気軽にご連絡ください。匿名での問い合わせは対応いたしかねますので、予めご了承ください。

根抵当権の債務者の住所氏名変更更正は登記原因証明情報のPDF不要?

おはようございます!

いきなりですが…
長年このお仕事をしていると、
司法書士の友人から質問や相談を受けることが多くなってきました。
「アイツなら何でも答えてくれるぞ。」みたいな噂が広がっているのか、
年々、相談件数が増えているような気が…

これまでは只々優しく答えていただけだったのですが、
せっかくなので、今後、よくある相談内容をこのブログに掲載していこうかと思います。

もちろん、個人情報やプライバシーに関する情報は完全に伏せております。


今回のテーマは、オンライン申請時に添付するPDFについてです。

最近は、オンライン申請を推進するため、
法務局も対応を少し柔軟にしてくださっているようで、
PDFの添付漏れや軽微な誤記などについては、
それのみで却下の対象とすることはないそうです。

しかしながら、
登記原因証明情報のPDFの添付が必要なのか否か?
また、何を添付すべきなのか?
については、司法書士であれば全員が気になるところではないでしょうか?

先日、司法書士の友人から質問があったのは、
所有権や(根)抵当権などの登記名義人住所氏名変更更正の登記については、
登記原因証明情報のPDF添付が不要なのは知っているけど、
(根)抵当権の債務者の変更更正登記についても、同様なのだろうか?
という内容でした。

答えは、
(根)抵当権の債務者の変更更正登記についても、
登記原因証明情報のPDF添付が不要です。

まずは、条文を確認してみましょう。

登記原因証明情報のPDFの添付を要求する根拠条文は
不動産登記令附則5条4項です。
内容を要約すると、
5条1項の規定によるいわゆる特例方式による添付書面の提供方法を採用する場合、
法務省令で定めるところにより、
申請情報とあわせて電磁的記録(PDF)を提供しなければならない。
ということになっています。

そして、
法務省令(不動産登記規則附則22条2項)では、
不動産登記法64条の登記以外の登記について、
電磁的記録(PDF)の提供は、登記原因の内容を明らかにする部分についてすれば足りる。
とされています。

不動産登記法64条の登記とは、
いわゆる名変・名更登記(登記名義人の住所氏名の変更更正登記)と
抵当証券が発行されている場合の債務者の住所氏名の変更更正登記のことですね。

したがって、条文を見る限りは
登記名義人住所氏名変更更正の登記については、
登記原因証明情報のPDF添付が不要なのは明らかだけど、
(根)抵当権の債務者の変更更正登記については、
不要かどうか分からないというところです。

そこで、先例の調査です。
「平成20・3・19民二950」で同様の事案についての先例があります。
要旨としては、
不動産登記令附則5条1項の規定による
(根)抵当権の債務者の氏名もしくは名称または住所についての
変更の登記または更正の登記の申請において、
市長村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報を
登記原因を証する情報とする場合には、
同条4項の規定に基づく書面に記載された登記原因を証する情報を記録した
電磁的記録の提供がないときであっても、
不動産登記規則附則22条2項に規定する不動産登記法64条の登記に準じて
受理して差し支えない。
とされています。

その結果、
(根)抵当権の債務者の変更更正登記についても、
登記原因証明情報のPDF添付が不要です。
となるわけですね。


余談ですが、
私の事務所のある周辺の法務局では、
上記のような登記申請を行う際、
法人の本店や商号等の変更更正を証する登記原因証明情報として
会社法人等番号を提供することで、
履歴事項証明書の添付は不要とされています。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
 明るく穏やかな雰囲気の事務所です。
 まずは一度無料相談をご利用ください。

上申書ってなに?(住民票、戸籍の附票の保存期間と絡めて)

おはようございます!
司法書士としてお仕事をしていますと
様々な書類を作成し、依頼者の皆さまにご説明することが非常に多いです。

その中でも1つ。
依頼者の皆さまが「?」となってしまう書類として、
「上申書」はその代表ではないかなと思います。

そこで今日は、この「上申書」について、説明させていただこうかと思います。

上申書とは、読んで字のごとく「上」に「申す」書類です。
司法書士として関与する手続において「上」とは、
「法務局」や「裁判所」が多いです。

では、何を「申す」のか?と言いますと、
手続上、要求されている書類が何らかの事情により提出できなかったり、
それらの書類だけでは証明が必要な事項を証明できないようなときに、
その事情であったり、証明が必要な事項について、書面上で説明していくことになります。


実際によくあるケースとしては、
法務局に対して、住所変更登記や相続登記を行う際に、
住所証明書(住民票や戸籍の附票)が提出できないことによって、
「上申書」を作成するケースです。

前提の知識として、
不動産の登記手続においては、
不動産の所有者は、「住所」と「氏名」だけで特定されているため、
引越し等で住所変更をしていたけれども、住所の変更登記手続をしていない場合には、
不動産の登記簿には「過去の住所」と「その人の氏名」が記載されていることになります。

そのため、住所変更登記を行う際には、
間違って、違う人を所有者として登記してしまわないように、
「登記簿に記載されているその人」と「登記申請を行うその人」が同一人かを確認するため、
過去の住所から現在の住所までの住所移転の経緯全てがつながる住所証明書が必要です。

また、相続登記を行う際には、
亡くなってもいない人の不動産の名義を、間違って変更してしまわないように、
「登記簿に記載されているその人」と「戸籍上亡くなったとされるその人」が同一人かを確認するため、
同様の住所証明書が必要になります。

それでは、なぜ、必要な住所証明書が提出できないのか?
と言いますと、
住民票や戸籍の附票は、法令(住民基本台帳法施行令第34条)で、
消除されて除票となってから5年間保存することを各市町村に義務付けていますが、
住民票については、引越しや死亡によって消除されて除票になりますし、
戸籍の附票については、転籍や戸籍に記載されている人が結婚、離婚、死亡等により
結果的に全員が戸籍から消除された場合に除票になります。

そして、除票になって5年後には、保存義務がなくなるので、
各市町村は条例等でさらに保存しておこうとしない限りは、
いわゆる廃棄処分をすることになります。

その結果、
転勤族の人など、過去に数回住所を変更されていたりすると、
公的な証明書では、過去の住所を証明することができなくなります。

そういった場合において、
「上申書」を作成し、その人の過去の住所について説明を行っていくことになります。
しかしながら、上申書のみでは当事者が自ら証明しただけに過ぎませんので、
上申書作成者の印鑑証明書や不動産の権利証、固定資産税都市計画税納税通知書の原本など、
通常、所有者本人でなければ所持していないものの提供を求められることが一般的です。

こうして、なりすまし等による間違った登記のリスクを低減したうえで、
法務局は登記手続を行うことになっています。

ちなみに、
住所証明書については、2019.8.10付「戸籍の附票ってなに?」
上申書の作成者については、2019.8.3付「上申書の作成者は未成年者?親権者?特別代理人?」
で関連記事を掲載していますので、良ければご覧ください。


※補足説明
令和1年5月24日、「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上
並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利
用に関する法律等の一部を改正する法律」(「デジタル手続法」という。)が成立しました。
これにより、住民基本台帳法施行令の一部も改正され、市町村長が、住民票や戸籍の附票
の除票を、これらに係る住民票又は戸籍の附票を消除し、又は改製した日から「150年間」
保存することを定めることになりました。
なお、デジタル手続法のうち住民基本台帳法の一部改正に関する部分の一部については、
デジタル手続法の公布の日から起算して20日を経過した日から施行することとされており、
将来的には住所証明書が提供できないケースも少なくなるものと思われます。
しかしながら、これまでに廃棄処分されたものは対象外ですので、当面は上申書による対応
が続くことになるでしょう。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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 まずは一度無料相談をご利用ください。

墓参り

おはようございます!

皆さんに夏バテ、熱中症に気を付けてくださいと言っておきながら
若干夏バテ気味でございます。

さて、今日は法律のお話ではなく、
私が友人のお墓参りに行ってきたお話です。

私は、大学時代の4年間、大阪市立大学の法学部に在学していたのですが、
当時、朝から夕方まで勉強や食事をともにし、
時には一緒に遊びに行ったりと、仲良くしている友人がいました。

まさにお人好しという言葉がピッタリで、
いつも私や周囲の人間の心配をして、自分のことは後回しにするような友人でした。

彼は私と同じく、司法書士を目指していていたので
「一緒に司法書士になろう!」と、お互い励まし合いながら、日々試験勉強をしていました。

ところが、大学4年生の夏、
司法書士試験の日を目前に、彼は亡くなってしまいました。
「自宅の火災に巻き込まれた。」と、友人から連絡を受けたときは
真実だと受け止められず、涙も言葉も出ませんでした。

その後、私は試験に合格し、
大阪の司法書士事務所で長く修行を積み、
ようやく、この事務所を上本町の地に開業することができました。

それだけで事務所の立地を選んだわけではありませんが、
この上本町の地は、亡くなった彼が眠るお墓のある場所でもあります。

そこで先日、
私と彼のほかに、いつも行動を共にしていた仲良しメンバーが帰阪する機会にあわせて
皆で彼のお墓参りに行ってきました。

真夏の日差しが、少し髪が薄くなった頭皮には痛いくらいで、
当時からの年月の経過を感じさせられましたが、
彼のお墓をきれいに磨き、各々が彼との久々の再会の時間を過ごすことができました。

私自身は、お人好し過ぎるくらい人のために尽くした彼の姿を思い出しつつ、
改めて「人のために尽くし、このお仕事を通じて人を幸せにしたい。」という
初心を大切にしていくことを彼に誓いました。


これからもこの上本町の地で
司法書士として、彼の思いとともに、依頼者ひとりひとりを幸せにできるよう
精一杯頑張っていきます。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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戸籍の附票ってなに?

先日、今年2回目のソフトボールの練習会に行ってきました!

前回は結局1週間近く筋肉痛になり、作った傷も3週間近く治らなかったので、
今回は同じ失敗は繰り返すまいと
「飛び込まない」、「滑り込まない」、「無理しない」の
3つの約束を自身に課して参加しました(笑)

高校まで野球をしていて、まだまだ身体が動くものだと頭が勘違いしているので、
気を抜くと、ついつい当時のようなプレーをしてしまうんですよね…。

8割くらいの感覚でプレーをすると
ケガもせず、意外と良いプレーもでき、
むしろ、こっちの方が良いのではないかと思うくらいでした。
何事も少し肩の力を抜いてやるくらいの方が、良いのかもしれませんね!

しかしながら、筋肉痛にはバッチリなってしまいました…。
今回も5日くらい続きまして、まだまだ運動不足ということでしょうか(笑)


さてさて、今回はお客さまから良くご質問をいただく
「戸籍の附票ってなに?」
について書いていこうかと思います。

名古屋市のホームページからですが、
非常にわかりやすい見本がありましたので、こちらをご覧ください。
戸籍の附票、今までに見たことはありましたか?
我々司法書士は良く使う証明書なのですが、
一般のお客さまからすると、あまり馴染みのない証明書かもしれません。

戸籍の附票は、
多くの場合、住所の変更を証明したいときに使う証明書です。

たくさんの会社や公的機関に対して、住所の登録をしているかと思いますが、
引越し等で、登録時の住所と現住所が異なっている場合に、
現住所に登録変更するために使う。といったイメージです。

その中でも司法書士が「戸籍の附票」のご用意をお願いする場面として多いのは
「住所変更登記」と「相続登記」です。

不動産の取得すると、
所有権移転登記(一般の方は、名義を入れると言うと分かりやすいかもしれません。)
を行い、登記簿に所有者の「住所・氏名」が登記(登録のことです。)されます。

そして、その後に名義人の住所に変更があった場合は、
(一部の例外を除いて)住所の変更登記をしないといけませんし、
名義人が亡くなって、相続登記をする場合には、
本当に名義人が亡くなったのか確認するために、(同姓同名の別人ではないかを確認するために、)
名義人の登記簿上の住所から現住所までの住所移転の経緯を証明する必要があります。

そこで、戸籍の附票によって、住所移転の経緯を証明するわけです。

ところで、住所移転の経緯を証明するものとしては、他にも住民票が有名です。
しかしながら、A市からB市へ、B市からC市へ…のように、
住居を転々と引越しされている方については、
住民票が該当の市区町村における住所しか証明できない関係上、
手間と時間がかかったり、場合によっては証明書が発行できないケースがあります。

戸籍の附票というのは、その名前のとおり
「戸籍」に「附属」した帳票なので、
戸籍に記載されている人の住所を証明してくれます。

つまり、上記のようにA市からB市へ、B市からC市へ…のように、
住居を転々と引越しされている方であっても、
本籍がずっとA市であれば、
A市ですべての住所移転の経緯についての証明書を発行してもらえるわけです。

証明書を発行してくれる役所について、再度確認ですが、
住民票は「住所を置いている役所」で、
戸籍の附票は「本籍を置いている役所」です。

ただ、戸籍の附票にも弱点があります。
戸籍の附票は戸籍に連動して、住所を証明しているので、
転籍(本籍を変えること)や、結婚・離婚等で本籍が変わっている人については、
逆に、住所移転の経緯を証明しづらいことがあります。

住民票と戸籍の附票、どちらが自身の住所を証明しやすいのかを知っておくと
煩雑な住所変更の手続も少し便利になりますね。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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司法書士 山内勇輝

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上申書の作成者は未成年者?親権者?特別代理人?

こんにちは!
今日は司法書士ならではの専門的な話題です。

相続登記の際に、
被相続人の住所沿革がつかず、被相続人の同一性の証明ができないときの上申書ですが、
上申書の作成者の中に未成年者が含まれる場合、
署名・押印のうえ、印鑑証明書を添付すべき者は誰かというお話です。

まず相続関係ですが、
被相続人が甲、その相続人が長男の乙、長女の丙のところ、
長男の乙がその後に死去され、その相続人として、未成年のAとBがいました。
なお、未成年のAとBの親権者は、乙と離婚をしたXです。

遺産分割協議については、
丙、Aの親権者X、Bの特別代理人Yで行い、
遺産分割協議書に署名・押印・印鑑証明書を添付するのも
丙、X、Yの3名となります。

では、被相続人の住所沿革についての上申書についても、
同様に、丙、X、Yの3名となるのでしょうか?

結論からいいますと、
丙、X(未成年のAとBの両方を代理)で差し支えありません。

その理由としては、
特別受益証明書の作成について、
民法826条の利益相反行為に該当せず、親権者のみで作成可能とした
昭23.12.18民甲95号回答があるところ、

上申書の内容も「被相続人の住所の沿革という事実」に関する証明であるため、
利益相反は生じておらず、
遺産分割協議に関する特別代理人が関与する余地はないため。
ということになります。


いかがでしたでしょうか?
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今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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根抵当権の債務者の住所氏名変更更正は登記原因証明情報のPDF不要?

おはようございます!

いきなりですが…
長年このお仕事をしていると、
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「アイツなら何でも答えてくれるぞ。」みたいな噂が広がっているのか、
年々、相談件数が増えているような気が…

これまでは只々優しく答えていただけだったのですが、
せっかくなので、今後、よくある相談内容をこのブログに掲載していこうかと思います。

もちろん、個人情報やプライバシーに関する情報は完全に伏せております。


今回のテーマは、オンライン申請時に添付するPDFについてです。

最近は、オンライン申請を推進するため、
法務局も対応を少し柔軟にしてくださっているようで、
PDFの添付漏れや軽微な誤記などについては、
それのみで却下の対象とすることはないそうです。

しかしながら、
登記原因証明情報のPDFの添付が必要なのか否か?
また、何を添付すべきなのか?
については、司法書士であれば全員が気になるところではないでしょうか?

先日、司法書士の友人から質問があったのは、
所有権や(根)抵当権などの登記名義人住所氏名変更更正の登記については、
登記原因証明情報のPDF添付が不要なのは知っているけど、
(根)抵当権の債務者の変更更正登記についても、同様なのだろうか?
という内容でした。

答えは、
(根)抵当権の債務者の変更更正登記についても、
登記原因証明情報のPDF添付が不要です。

まずは、条文を確認してみましょう。

登記原因証明情報のPDFの添付を要求する根拠条文は
不動産登記令附則5条4項です。
内容を要約すると、
5条1項の規定によるいわゆる特例方式による添付書面の提供方法を採用する場合、
法務省令で定めるところにより、
申請情報とあわせて電磁的記録(PDF)を提供しなければならない。
ということになっています。

そして、
法務省令(不動産登記規則附則22条2項)では、
不動産登記法64条の登記以外の登記について、
電磁的記録(PDF)の提供は、登記原因の内容を明らかにする部分についてすれば足りる。
とされています。

不動産登記法64条の登記とは、
いわゆる名変・名更登記(登記名義人の住所氏名の変更更正登記)と
抵当証券が発行されている場合の債務者の住所氏名の変更更正登記のことですね。

したがって、条文を見る限りは
登記名義人住所氏名変更更正の登記については、
登記原因証明情報のPDF添付が不要なのは明らかだけど、
(根)抵当権の債務者の変更更正登記については、
不要かどうか分からないというところです。

そこで、先例の調査です。
「平成20・3・19民二950」で同様の事案についての先例があります。
要旨としては、
不動産登記令附則5条1項の規定による
(根)抵当権の債務者の氏名もしくは名称または住所についての
変更の登記または更正の登記の申請において、
市長村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報を
登記原因を証する情報とする場合には、
同条4項の規定に基づく書面に記載された登記原因を証する情報を記録した
電磁的記録の提供がないときであっても、
不動産登記規則附則22条2項に規定する不動産登記法64条の登記に準じて
受理して差し支えない。
とされています。

その結果、
(根)抵当権の債務者の変更更正登記についても、
登記原因証明情報のPDF添付が不要です。
となるわけですね。


余談ですが、
私の事務所のある周辺の法務局では、
上記のような登記申請を行う際、
法人の本店や商号等の変更更正を証する登記原因証明情報として
会社法人等番号を提供することで、
履歴事項証明書の添付は不要とされています。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

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上申書ってなに?(住民票、戸籍の附票の保存期間と絡めて)

おはようございます!
司法書士としてお仕事をしていますと
様々な書類を作成し、依頼者の皆さまにご説明することが非常に多いです。

その中でも1つ。
依頼者の皆さまが「?」となってしまう書類として、
「上申書」はその代表ではないかなと思います。

そこで今日は、この「上申書」について、説明させていただこうかと思います。

上申書とは、読んで字のごとく「上」に「申す」書類です。
司法書士として関与する手続において「上」とは、
「法務局」や「裁判所」が多いです。

では、何を「申す」のか?と言いますと、
手続上、要求されている書類が何らかの事情により提出できなかったり、
それらの書類だけでは証明が必要な事項を証明できないようなときに、
その事情であったり、証明が必要な事項について、書面上で説明していくことになります。


実際によくあるケースとしては、
法務局に対して、住所変更登記や相続登記を行う際に、
住所証明書(住民票や戸籍の附票)が提出できないことによって、
「上申書」を作成するケースです。

前提の知識として、
不動産の登記手続においては、
不動産の所有者は、「住所」と「氏名」だけで特定されているため、
引越し等で住所変更をしていたけれども、住所の変更登記手続をしていない場合には、
不動産の登記簿には「過去の住所」と「その人の氏名」が記載されていることになります。

そのため、住所変更登記を行う際には、
間違って、違う人を所有者として登記してしまわないように、
「登記簿に記載されているその人」と「登記申請を行うその人」が同一人かを確認するため、
過去の住所から現在の住所までの住所移転の経緯全てがつながる住所証明書が必要です。

また、相続登記を行う際には、
亡くなってもいない人の不動産の名義を、間違って変更してしまわないように、
「登記簿に記載されているその人」と「戸籍上亡くなったとされるその人」が同一人かを確認するため、
同様の住所証明書が必要になります。

それでは、なぜ、必要な住所証明書が提出できないのか?
と言いますと、
住民票や戸籍の附票は、法令(住民基本台帳法施行令第34条)で、
消除されて除票となってから5年間保存することを各市町村に義務付けていますが、
住民票については、引越しや死亡によって消除されて除票になりますし、
戸籍の附票については、転籍や戸籍に記載されている人が結婚、離婚、死亡等により
結果的に全員が戸籍から消除された場合に除票になります。

そして、除票になって5年後には、保存義務がなくなるので、
各市町村は条例等でさらに保存しておこうとしない限りは、
いわゆる廃棄処分をすることになります。

その結果、
転勤族の人など、過去に数回住所を変更されていたりすると、
公的な証明書では、過去の住所を証明することができなくなります。

そういった場合において、
「上申書」を作成し、その人の過去の住所について説明を行っていくことになります。
しかしながら、上申書のみでは当事者が自ら証明しただけに過ぎませんので、
上申書作成者の印鑑証明書や不動産の権利証、固定資産税都市計画税納税通知書の原本など、
通常、所有者本人でなければ所持していないものの提供を求められることが一般的です。

こうして、なりすまし等による間違った登記のリスクを低減したうえで、
法務局は登記手続を行うことになっています。

ちなみに、
住所証明書については、2019.8.10付「戸籍の附票ってなに?」
上申書の作成者については、2019.8.3付「上申書の作成者は未成年者?親権者?特別代理人?」
で関連記事を掲載していますので、良ければご覧ください。


※補足説明
令和1年5月24日、「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上
並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利
用に関する法律等の一部を改正する法律」(「デジタル手続法」という。)が成立しました。
これにより、住民基本台帳法施行令の一部も改正され、市町村長が、住民票や戸籍の附票
の除票を、これらに係る住民票又は戸籍の附票を消除し、又は改製した日から「150年間」
保存することを定めることになりました。
なお、デジタル手続法のうち住民基本台帳法の一部改正に関する部分の一部については、
デジタル手続法の公布の日から起算して20日を経過した日から施行することとされており、
将来的には住所証明書が提供できないケースも少なくなるものと思われます。
しかしながら、これまでに廃棄処分されたものは対象外ですので、当面は上申書による対応
が続くことになるでしょう。


いかがでしたでしょうか?
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今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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墓参り

おはようございます!

皆さんに夏バテ、熱中症に気を付けてくださいと言っておきながら
若干夏バテ気味でございます。

さて、今日は法律のお話ではなく、
私が友人のお墓参りに行ってきたお話です。

私は、大学時代の4年間、大阪市立大学の法学部に在学していたのですが、
当時、朝から夕方まで勉強や食事をともにし、
時には一緒に遊びに行ったりと、仲良くしている友人がいました。

まさにお人好しという言葉がピッタリで、
いつも私や周囲の人間の心配をして、自分のことは後回しにするような友人でした。

彼は私と同じく、司法書士を目指していていたので
「一緒に司法書士になろう!」と、お互い励まし合いながら、日々試験勉強をしていました。

ところが、大学4年生の夏、
司法書士試験の日を目前に、彼は亡くなってしまいました。
「自宅の火災に巻き込まれた。」と、友人から連絡を受けたときは
真実だと受け止められず、涙も言葉も出ませんでした。

その後、私は試験に合格し、
大阪の司法書士事務所で長く修行を積み、
ようやく、この事務所を上本町の地に開業することができました。

それだけで事務所の立地を選んだわけではありませんが、
この上本町の地は、亡くなった彼が眠るお墓のある場所でもあります。

そこで先日、
私と彼のほかに、いつも行動を共にしていた仲良しメンバーが帰阪する機会にあわせて
皆で彼のお墓参りに行ってきました。

真夏の日差しが、少し髪が薄くなった頭皮には痛いくらいで、
当時からの年月の経過を感じさせられましたが、
彼のお墓をきれいに磨き、各々が彼との久々の再会の時間を過ごすことができました。

私自身は、お人好し過ぎるくらい人のために尽くした彼の姿を思い出しつつ、
改めて「人のために尽くし、このお仕事を通じて人を幸せにしたい。」という
初心を大切にしていくことを彼に誓いました。


これからもこの上本町の地で
司法書士として、彼の思いとともに、依頼者ひとりひとりを幸せにできるよう
精一杯頑張っていきます。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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戸籍の附票ってなに?

先日、今年2回目のソフトボールの練習会に行ってきました!

前回は結局1週間近く筋肉痛になり、作った傷も3週間近く治らなかったので、
今回は同じ失敗は繰り返すまいと
「飛び込まない」、「滑り込まない」、「無理しない」の
3つの約束を自身に課して参加しました(笑)

高校まで野球をしていて、まだまだ身体が動くものだと頭が勘違いしているので、
気を抜くと、ついつい当時のようなプレーをしてしまうんですよね…。

8割くらいの感覚でプレーをすると
ケガもせず、意外と良いプレーもでき、
むしろ、こっちの方が良いのではないかと思うくらいでした。
何事も少し肩の力を抜いてやるくらいの方が、良いのかもしれませんね!

しかしながら、筋肉痛にはバッチリなってしまいました…。
今回も5日くらい続きまして、まだまだ運動不足ということでしょうか(笑)


さてさて、今回はお客さまから良くご質問をいただく
「戸籍の附票ってなに?」
について書いていこうかと思います。

名古屋市のホームページからですが、
非常にわかりやすい見本がありましたので、こちらをご覧ください。
戸籍の附票、今までに見たことはありましたか?
我々司法書士は良く使う証明書なのですが、
一般のお客さまからすると、あまり馴染みのない証明書かもしれません。

戸籍の附票は、
多くの場合、住所の変更を証明したいときに使う証明書です。

たくさんの会社や公的機関に対して、住所の登録をしているかと思いますが、
引越し等で、登録時の住所と現住所が異なっている場合に、
現住所に登録変更するために使う。といったイメージです。

その中でも司法書士が「戸籍の附票」のご用意をお願いする場面として多いのは
「住所変更登記」と「相続登記」です。

不動産の取得すると、
所有権移転登記(一般の方は、名義を入れると言うと分かりやすいかもしれません。)
を行い、登記簿に所有者の「住所・氏名」が登記(登録のことです。)されます。

そして、その後に名義人の住所に変更があった場合は、
(一部の例外を除いて)住所の変更登記をしないといけませんし、
名義人が亡くなって、相続登記をする場合には、
本当に名義人が亡くなったのか確認するために、(同姓同名の別人ではないかを確認するために、)
名義人の登記簿上の住所から現住所までの住所移転の経緯を証明する必要があります。

そこで、戸籍の附票によって、住所移転の経緯を証明するわけです。

ところで、住所移転の経緯を証明するものとしては、他にも住民票が有名です。
しかしながら、A市からB市へ、B市からC市へ…のように、
住居を転々と引越しされている方については、
住民票が該当の市区町村における住所しか証明できない関係上、
手間と時間がかかったり、場合によっては証明書が発行できないケースがあります。

戸籍の附票というのは、その名前のとおり
「戸籍」に「附属」した帳票なので、
戸籍に記載されている人の住所を証明してくれます。

つまり、上記のようにA市からB市へ、B市からC市へ…のように、
住居を転々と引越しされている方であっても、
本籍がずっとA市であれば、
A市ですべての住所移転の経緯についての証明書を発行してもらえるわけです。

証明書を発行してくれる役所について、再度確認ですが、
住民票は「住所を置いている役所」で、
戸籍の附票は「本籍を置いている役所」です。

ただ、戸籍の附票にも弱点があります。
戸籍の附票は戸籍に連動して、住所を証明しているので、
転籍(本籍を変えること)や、結婚・離婚等で本籍が変わっている人については、
逆に、住所移転の経緯を証明しづらいことがあります。

住民票と戸籍の附票、どちらが自身の住所を証明しやすいのかを知っておくと
煩雑な住所変更の手続も少し便利になりますね。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
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上申書の作成者は未成年者?親権者?特別代理人?

こんにちは!
今日は司法書士ならではの専門的な話題です。

相続登記の際に、
被相続人の住所沿革がつかず、被相続人の同一性の証明ができないときの上申書ですが、
上申書の作成者の中に未成年者が含まれる場合、
署名・押印のうえ、印鑑証明書を添付すべき者は誰かというお話です。

まず相続関係ですが、
被相続人が甲、その相続人が長男の乙、長女の丙のところ、
長男の乙がその後に死去され、その相続人として、未成年のAとBがいました。
なお、未成年のAとBの親権者は、乙と離婚をしたXです。

遺産分割協議については、
丙、Aの親権者X、Bの特別代理人Yで行い、
遺産分割協議書に署名・押印・印鑑証明書を添付するのも
丙、X、Yの3名となります。

では、被相続人の住所沿革についての上申書についても、
同様に、丙、X、Yの3名となるのでしょうか?

結論からいいますと、
丙、X(未成年のAとBの両方を代理)で差し支えありません。

その理由としては、
特別受益証明書の作成について、
民法826条の利益相反行為に該当せず、親権者のみで作成可能とした
昭23.12.18民甲95号回答があるところ、

上申書の内容も「被相続人の住所の沿革という事実」に関する証明であるため、
利益相反は生じておらず、
遺産分割協議に関する特別代理人が関与する余地はないため。
ということになります。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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