へいわ法務司法書士事務所

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土地を共有者の一部だけで売却可能とする法改正へ! (所有者不明土地問題の対策として)

おはようございます!

今日は、最近とても話題になっている
「所有者不明土地問題」についてです。

この問題が起きてしまう原因には
我々司法書士の専門である「相続登記」が深く関わっており
相続分野を主に扱っている弊所としても
非常に関心を持っているテーマです。


ところで、
先日、日本経済新聞にこれに関する記事が掲載されました。

日本経済新聞電子版記事(11月18日付)
(土地、一部所有者で売却可能に 所有者不明地で対策)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52281220X11C19A1SHA000/

記事の内容は、上記をご覧いただければと思いますが、
記事内容を踏まえつつ、
この「所有者不明土地問題」について、
もう少し説明させていただければと思います。

いわゆる、所有者不明土地は、
相続時に名義変更(いわゆる相続登記)を放置してしまったことなどが原因で、
現在の所有者が誰か分からなくなってしまった土地のことで、
所有者不明土地問題研究会によると、
2016年時点で九州本島の面積に相当するほど拡大してしまっています。

震災復興などの公共事業を行うために
土地買収を行う必要があるにも関わらず
相続の末に約700人の共有となった土地で
一部の所有者の所在が分からなかったために、
公共事業が滞ってしまうといった事例も
各地で発生してしまっています。

また、
民法の定めによって、
土地を売却するには、所有者全員の承諾が必要となっています。

たとえば、
土地の所有者だった父が亡くなり、
母と2人の子どもが相続人である場合、
現状では3人全員が承諾しない限り売却はできないということになっています。
もちろん、
自分の持分だけであれば売却は可能ですが、
土地の持分のみに過ぎず
その利用価値が小さいために
買い手がつかなかったり、
売却金額が大幅に減額されるといったことになってしまうことが一般的です。

そこで、
国は、この所有者不明土地について、
共有者の一部だけでも、売却や賃貸ができるルールを作るべく
法改正に向けて動き始めているようです。

具体的には
国交省と法務省が
共有者の一部だけで、土地の売却や賃貸ができるように
2020年の通常国会に関連法改正案の提出を目指しているようです。

売却の場合は、
不明共有者の持分については金銭を法務局に供託することで、
不明共有者の持分を取得して、
共有関係を解消できるような仕組みが検討されています。
賃貸の場合は、
不明共有者以外の残りの共有者の承諾で
賃貸を行えるようにする仕組みが検討されているようです。

しかしながら、
これらの特例を利用するには
一定の条件が付けられる予定となっています。

登記簿や固定資産課税台帳などの調査、
行政機関・親族らへの聞き取りといった
不明者を見つけ出すための探索をすることが必要だったり、
この手続に反対する他の共有者がいる場合は、
異議を申し立てることができるように
公告をすることも必要とされる予定です。

法改正が実現すれば、
売却や賃貸による土地活用の道は
多少開かれることになることが予想されますが、
相続登記がキチンとされているケースに比べると、
まだまだ手続にかかる期間や費用の面で
ハードルが高いのではないかと思われます。

結局のところ
相続登記が放置されず
スムーズに行えるような支援が必要だろうと
個人的には思うところです。

ところが、
2019年7月27日付のブログ記事
「相続登記は早くしないと危険?!
(相続させる遺言等の効力と対抗要件について)」
でも詳しく書かせていただいていますが、
相続登記の手続を長く放置されている人が多いように感じています。

相続登記の手続を自分一人で行おうとすると
その負担も大きく
現在の法制度では
相続登記の期限も設けられていないために、
ついつい放置してしまい、そのまま忘れてしまうケースが多いようです。

しかしながら、
多くの場合、
相続登記を放置することで手続が簡単になることはなく、
数人いる相続人の1人が認知症になってしまったり、
相続人が亡くなることで疎遠な相続人が増えてしまったり、
口約束で遺産はいらないと言っていた相続人の経済状況が変わり
やはり遺産を欲しいと言ってくるなど…
時間の経過とともに、手続は複雑化していくことが一般的です。

2019年7月1日、
相続に関する法律が改正されたことによって
せっかく自身が権利を取得にもかかわらず、
その権利を失ってしまうケースも出てきていますので、
そのようなことにならないように、
早めに相続登記手続を行っておくことをおすすめいたします。

弊所を含め、
「相続登記」の専門家である司法書士にご相談いただければ、
そのご負担を軽減することも可能です。

ご自身のため
ご自身のお子様のため
所有する不動産のある地域社会
ひいては日本の国のため
ぜひ「相続登記」について考えるきっかけにしていただけたらと思います。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
 明るく穏やかな雰囲気の事務所です。
 まずは一度無料相談をご利用ください。

大阪司法書士会支部対抗ソフトボール大会

おはようございます!

今日は久しぶりのゆるーい記事です。
最近は真面目な記事が続いていたので
たまには息抜きと言いますか、
そんな記事を書かせてもらおうと思います!

今回は、
以前もブログ記事でお話したことのある
大阪の司法書士が集まって毎年秋に行われるソフトボール大会の話題です。

大阪司法書士会は
地域ごとに12の支部に分かれていまして
弊所は大阪市中央区にあることから
「南支部」に所属しています。

このソフトボール大会は支部対抗ということなので
この支部ごとにチーム編成されることになっています。
ですので、私は南支部チームのメンバーとして戦うことになっています。

そして、
大会では12の支部チームを
3チームごとに1つのブロックとして
ソフトボールの強い順に
A・B・C・Dの4つのブロックに分けて
各ブロック内で試合をすることになっています。

そして
ブロック内での勝利数や得失点差によって
昇格、降格、残留が決まり
来年戦うことになるブロックが決定されることになっています。

南支部チームはBブロックで
今年は、
大阪東部エリアの司法書士さんを中心に編成された河内支部チーム
大阪北部エリアの司法書士さんを中心に編成された豊能支部チーム
と試合をしてきました!

Bブロックに入っているチームだけあって
どちらのチームも野球経験者や運動神経の高い人たちが多くいる
強豪チームです。

かつてはAブロックの常連チームだった
南支部チームとしては
Aブロック昇格は悲願!ということで
今年は6月頃から
大会に向けての練習をしていましたので
そりゃもう勝つ気満々で臨んだ大会でした!

私自身も野球経験者ということでしたので
少しでも貢献できればという思いもありつつ、
むしろ、
貢献をしなかった場合の責任追及も予想されましたので
そのプレッシャーも感じながら
色んな意味で、気合を入れて試合に臨んできました!(笑)

気合を入れ過ぎて
大会前日から体調を崩してしまうという失敗も犯してしまいましたが(汗)
結果的には2戦2勝、得失点差も10点以上、個人成績もまずまずと、
最高の結果で終えることができました!

来年は
念願のAブロックで
大阪司法書士会屈指の最強チームを戦うことになりますが
来年も良い結果が残せるように頑張っていきたいと思います!


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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2019年12月、あなたの会社がみなし解散されないようご注意ください!

こんにちは!

先日、2019年11月2日付のブログ記事
「住所変更の手続が遅れただけでも100万円の罰金!?」の中で
会社が強制的に解散されて、その登記がされてしまうことがある。
といったお話をさせていただきましたが、
今日はこれをテーマに詳しくお話をさせていただこうと思います。
(上記記事もこの記事の理解に役立ちますので、ぜひご覧ください。)

毎年、相当数の会社が対象となってしまっていますので、
このブログ記事を読まれている方の周囲では
そのようなことにないように、ぜひご注意くださいね。


【みなし解散とは?】
平成26年度以降、毎年、
一定期間登記手続を行っていない休眠状態の会社や法人を対象に
官報で法務大臣による公告を行い
管轄法務局からは、対象となる休眠会社等に対して通知文書を送り
それを受けた休眠会社等が一定期間内に対応をしなければ
強制的に解散したものとみなして
その登記をしてしまうという措置をとっています。
これを「みなし解散」といいます。


【対象となる休眠会社等とは?】
一定期間登記手続を行っていない休眠状態の会社や法人のことを
「休眠会社等」といいますが、
具体的には以下のような会社等のことをいいます。
・「最後の登記から12年を経過している株式会社」
・「最後の登記から5年を経過している一般社団法人または一般財団法人」

そのため、
役員は社長1人だけの会社であったり、
家族経営の会社であったり、
事実上、事業を休止している会社であって、
「実際は役員が変わっていない」会社であっても、
法律上は役員の任期が満了する都度、再任の登記手続をする必要があるため、
最初の就任時には登記手続をしたけれども、
その後、一定期間、再任の登記手続をせずに放置している場合には、
この「休眠会社等」に該当してしまうことがあります。

ちなみに、
一定期間、登記手続をする必要が発生しない可能性もある
有限会社や合同会社、合名会社、合資会社などは対象とされていません。


【みなし解散を行っている理由と対象となった休眠会社等の数】
それでは、
なぜ法務局はそのような「みなし解散」をするのでしょうか?

本来、一定期間内に登記手続をすべきである会社等にもかかわらず
長期間登記がされていないということは
既に事業を廃止しているか、実態がない状態となっている可能性が高く
このような休眠状態の会社等の登記をそのままにしておくと
登記制度に対する国民の信頼が損なわれることになってしまうことや
休眠会社等が売買されて犯罪等に利用される可能性があること等
の理由から、このみなし解散を毎年実施しています。

そして、
実際に、毎年相当数の休眠会社等がみなし解散をされています。
平成26年は、株式会社…78,979社、その他…478社
平成27年は、株式会社…15,982社、その他…645社
平成28年は、株式会社…16,223社、その他…734社
平成29年は、株式会社…18,146社、その他…992社
平成30年は、株式会社…24,720社、その他…1,208社
(法務省開示資料より)

平成26年の数字が大きいのは、
その前に行われたのが平成14年だったこともあり
その間に対象会社等の数が増加したからだと思われます。

その後、毎年、対象会社等の数は増加傾向にありますが、
平成18年の会社法により、
役員の任期を最大10年にできるようになってからは
「前回の登記をしてから10年後に登記をしないといけないこと」を
「うっかり忘れてしまった。」ということが原因の会社も
相当数含まれていると思われます。
(10年後にしようと思っていたことを覚えている人の方が少ないですよね。)


【2019年10月10日、法務局より通知文書が送られました】
今年(2019年、令和元年)も
みなし解散の手続を実施するため、
2019年10月10日付で、
官報で法務大臣による公告を行い
管轄法務局からは、対象となる休眠会社等に対して通知文書を発送しました。

今年対象となる会社等は
例えば、以下のような会社等です。
・役員の任期を10年にしている。
・平成19年9月以前に役員の変更登記をしたのが最後となっている。


【どんな通知文書が届くの?】
法務局より届く通知文書は以下のようなものが届くことになっています。
「そういや、こんな書類が届いていたな。」という方は
放置せずにすぐに対応してください!


【通知文書が届かない会社等もあります。】
対象となる会社等であっても、
何らかの理由で通知文書が届かないことがあります。
その理由として考えられるのが次のようなものです。
「社名(商号・名称)を変更しているが、その登記もしていない。」
「本店(主たる事務所)を移転しているが、その登記もしていない。」
このような場合、
通知文書が届くことはありませんが、
みなし解散の対象となる会社等から免れるということはなく、
むしろ、なんの知らせもないまま「ある日突然、会社が解散していた。」
ということになりますので、注意が必要です。


【今年のみなし解散を回避する期限は、2019年12月10日(火)まで】
今年(2019年、令和元年)のみなし解散を回避する期限は、
「2019年(令和元年)12月10日(火)まで」となっています!

期限までに
「まだ事業を廃止していない旨の届出」を法務局に対してするか
「これまでしていなかった登記手続」を法務局で行うかしなければ、
対象となった会社等は
2019年(令和元年)12月11日(水)付で解散したものとみなされ、
法務局が職権で解散登記をすることになります。
つまり、
会社の登記簿(履歴事項全部証明書)にその記載がされてしまい、
誰でもその記載を確認できてしまうということです。


【心当たりのある会社さんは、まずは確認を!】
みなし解散がされてしまうと
事業継続するうえで、
会社の信用にも影響が出てきてしまいますし、
さらにそのまま放置すれば
事業継続が不可能になることもあります。

「法務局から通知書が届いた!」という方はもちろん、
「最近、法務局での登記手続をしていないな。」
「最近、司法書士と連絡していないな。」という方は、
ぜひ、会社の謄本(履歴事項全部証明書)を法務局で取得して
最後に登記をしたのがいつか確認してみてください。

そして、速やかに必要な登記手続を行ってください。


【みなし解散になっても、過料から逃れることはできない】
2019年11月2日付のブログ記事
「住所変更の手続が遅れただけでも100万円の罰金!?」の中でも
お話をしましたが、
一定期間内に必要な登記手続をしなければ
「過料(かりょう)」とよばれる、罰金・反則金のようなものの
支払いを裁判所から求められることがあります。

これは、
ずっと登記手続を放置し続けて
みなし解散となった場合であっても逃れることはできないことになっています。
むしろ、
みなし解散となる会社等は
そのこと自体で、登記手続を怠っていたことが明らかになるわけですから
みなし解散にあわせて、過料の支払いを求められることもあるようです。

そして、
放置した期間が長くなればなるほど
過料の金額は大きくなる傾向がありますので、注意が必要です。


【放置し続けても、会社が消滅することはありません】
会社等は、解散した後は
資産を売却等して金銭に変えて、負債を返済し
残りがあれば株主に分配する。
いわゆる「清算事務」を行う必要があります。
この清算事務を完了することを「清算結了」といって、
清算結了すると、会社の法人格が消滅し、その登記をすることが可能になります。

そして、この清算事務は
みなし解散がされた後も
国等が代わって行ってくれることはありません。
各種法令上、
いわゆる「みなし清算結了」という制度も用意されていません。

そのため
みなし解散がされた場合であっても、
自身で清算事務を行わない限りは
会社等は消滅しないということになります。
【みなし解散されてしまった場合はどうしたらいいの?】
それでも
「みなし解散をされてしまった!」というご相談をいただくことがあります。
その場合、
その会社を「継続させて、事業を行いたいか?」
それとも「このまま清算結了させて、事業を閉じたいか?」
によって、行うべき手続が変わってきます。

もし、
「会社を継続させたい!」とお考えの場合は、
早めに対応をする必要があります。
みなし解散がされてしまった会社等の場合、
会社を継続するためには期限があって、
「解散したとみなされた日から3年以内」が期限とされているからです。

記事が長くなってしまいましたので、
詳しい手続については、
また別の記事でご説明させていただこうと思いますので
ぜひご覧ください。


【最後に】
最後に、もう一度お伝えさせていただきます。
今年のみなし解散を回避する期限は、
「2019年12月10日(火)まで」です。

改めて、自社の会社の謄本(履歴事項全部証明書)を法務局で取得して
最後に登記をしたのがいつか確認してみてください。

そして、速やかに必要な登記手続を行ってください。

もし、分からないことがあるようであれば、
ぜひ司法書士にご相談してくださいね。

ある日突然、会社がみなし解散されていた…。
そんなことにならないよう、この記事がお役に立ったのであれば幸いです。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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空き家問題を防ぐには?勝負の決め手は「家族信託や遺言などの相続対策」

おはようございます!

先日、多くの司法書士が参加するゴルフ大会に参加してきました!
実力不足はもちろんですが
ものすごく久しぶりにコースを回ったこともあり
結果は散々でした!
おかげさま?で、ブービー賞をいただくことができました(笑)

しかしながら、
同じグループで回った
先輩司法書士の皆さんの優しさと
キレイな景色に癒されながらプレーができ
日頃の疲れが吹き飛びました!

初心者ですが、
すっかりゴルフの楽しさに魅了されている
司法書士の山内です。


さて、今日のテーマは「空き家問題」です!

先日、日本経済新聞に気になる記事が掲載されました。

日本経済新聞電子版記事(10月31日付)
(家族信託や遺言、相続こそ空き家予防の要 空き家と向き合う(4))
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51656350R31C19A0EA1000/


「おやじは俺に任せると言っていた」
「そんなはずはない。長男面するな」
「毎週通って面倒みていたのは私よ」――。
ひとり暮らしの父親が亡くなって約1年。
30~40代の3きょうだいは、
空き家状態になった東京都内の実家を巡ってぎくしゃくしている。
父から「家は好きにしろ」と言われていたが、
売るか建て替えるか、
実家を出て家庭を持つ3人の意見はまとまらない。
固定資産税、管理の手間、近所からの苦情。
悩みもあるが、関係を修復する大変さを思うと、
腰を上げる気にはならない。

こんなケースを挙げて記事は展開されていますが、
対立の深さの差こそあれ、
こういったケースは、ごく普通のご家庭でも起こっていることだと感じています。

自身や家族の死後のことを考えることは
楽しいことではないかもしれませんが、
「いつか必ずやってくるそのとき」に備えて
正面から向き合って対策することを避け続けてきたことで
防ぐことができた争いが生まれてしまっているのです。

今や「終活」という言葉も普及してきたように
自身や家族の死に対して、
元気なうちに備えておくことが普通になってきています。

認知症になった場合の
自宅などの財産の管理や処分について
家族信託を活用して、正式に親族に任せておくことも大切です。

遺産について揉めることのないように
きちんと遺産をたな卸しして
遺言書を書いておいたりすることも大切です。

ですが、備えておくことは、何も遺産のことだけではありません。

自身が認知症になったときの介護はどうして欲しい?
財産の管理はどうして欲しい?
自身の死後、葬儀に呼んで欲しい人は?
最後に感謝の気持ちを伝えたい人は?
死後のパソコンやスマートフォンなどに残された思い出の写真など
デジタルデータの処分は?

ご自身やご家族にもしものことがあってからでは、
もうその想いを聞くことができないかもしれません。

我々専門家は、
それぞれの場面で
トラブルが解決できるようにベストを尽くしますが
実際にトラブルが起こってからでは
取り得る方法がどんどん少なくなっていくのです。

元気なうちであれば、
多くの対策の選択肢があります。

この記事は、そんな当たり前のようでなかなか難しい
生前対策の重要性を改めて訴えかけています。

この記事を読まれた方が
少しでも生前対策に関心を持っていただき、
司法書士をはじめとした専門家にご相談していただけたらと思います。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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住所変更の手続が遅れただけでも100万円の罰金!?

こんにちは!

台風とともに夏が終わったと思ったら一気に肌寒くなってきましたね!
暑がりで寒がり、花粉症持ちの私としては、秋が一番好きな季節なんですが
年々、秋が短くなってきているような気がしています…
うーん、気のせいなんでしょうかね?


さて今日は、
会社の社長さんや、
会社の色々な手続について担当される従業員のみなさんには
是非知っておいていただきたい内容で
「会社の登記手続はきちんとしておかないと罰金があります。」
というお話です。

個人事業ではなく、会社として事業をされている方々の多くは、
「株式会社」に代表される法人形態で事業をされているかと思います。
(他にも合同会社、合資会社、合名会社、一般社団法人など様々な形態があります。)

そして、株式会社として事業をされているからには、
必ず登記手続をする必要があるということになります。

会社法において、
株式会社は、一定の登記事項に変更があったときには変更登記をしなければならない。
と定められているからです。(会社法915条1項)

では、一定の登記事項とは何かというと
具体的には、
会社名(商号)
本店所在地
支店所在地
事業の内容(目的)
資本金
代表取締役の住所・氏名
取締役の氏名
監査役の氏名
などなど、他にも様々な登記事項があります。(会社法911条3項)

そして、
変更登記の手続には期限がありまして
それぞれの登記の内容によって、その期限は若干異なるんですが、
原則としてその登記の事由が発生したときから
「2週間以内」あるいは「3週間以内」とされています。
(会社法915条1項、930条3項など)

「登記の事由が発生したとき」というのは、
例えば、1名取締役を選任したようなケースだと
その取締役が株主総会で選任され、取締役自身がその就任を承諾した日のことを指します。
また、タイトルにもある住所変更の手続、
つまり、代表取締役が引越し等で住所を変更したようなケースだと
その代表取締役が住所を変更したその日
(住民票に変更日として記載されている日)を指します。

では、期限を過ぎてしまうとどうなるのか?
ということが気になるかと思いますが、
期限を経過してしまった場合でも、
期限後に変更登記の手続をすることはできますし、
期限が過ぎていることを理由に登記申請が却下されることはありません。

しかしながら、
登記をすべき期限を過ぎてしまったこと
(専門用語で“登記懈怠(とうきけたい)”といいます。)
に対してはペナルティを課される可能性があります。

そのペナルティというのが、
「過料(かりょう)」とよばれる、罰金・反則金のようなものです。
スピード違反をしたときに支払わないといけないアレ
と同じようなイメージで考えていただくと分かりやすいかもしれません。

先ほども
ペナルティを課される「可能性があります。」と書いたように
期限を1日でも遅れてしまうと、必ず過料の支払いを求められるかというと
そうではありません。

基準については明らかになっていませんが、
過料の支払決定に関与している法務局や裁判所が
一定の裁量によって決定しているものと推測されます。

このあたりは
スピード違反でも同じようなことが起きますよね。
余談ですが、
私の知人がスピード違反で捕まったときに
警察官から「なんで捕まったか分かるよね?」と聞かれて
「運が悪かったからです。」と答えて、
こっぴどく叱られたことがあるそうです(笑)

さて、話を戻して
もう少し過料についてご説明します。

過料の金額についても
法律の規定がありまして(会社法976条1項1号、22号など)
100万円以下の範囲で裁判所が決定することとされています。

とはいえ、実際に100万円の請求がきたというお客さまには
まだ出会ったことはありませんが、
最大で50万円近くの請求を受けた方がいらっしゃいました。
これまでの経験上、1年遅れるごとに2万円程度加算されている印象です。

それでは、実際にあった過料決定の通知書をご覧ください。
(個人情報はマスキングしてあります。)
ちなみに、この過料決定通知書は
取締役の任期が満了していたけれども
そのことに気付かず、再任の手続を忘れていた会社の
社長さん個人宛に届いたものです。
上記のような書面が届いて、過料が請求されるまでの流れとしては
1、登記の申請が遅れている会社を発見した法務局が、裁判所へ通知をする。
2、その裁判所が会社の代表者個人あてに過料を請求する。
といった流れになっています。
法務局としては
日本全国のすべての会社について
いつ登記事項が変更されたのか?それが遅れているのか?を
把握できないことも多いので、
実際には、期限を過ぎた登記申請がされたことによって発覚する
というのが多いかと思います。
そのため、登記申請をしてから数カ月後に
裁判所から上記のような過料通知書が郵送されてくることが一般的です。

じゃあ、期限を過ぎてしまったらずっと放っておいた方が良いのでは?
と思われる方もいるかもしれませんが、
それは良い方法ではありません。
先ほど書いたように、
過料は1年遅れるごとに2万円程度加算されていきますし、
株式会社の場合、会社役員の任期を伸長することができますが
それも最大で10年までとされている関係上
どれだけ遅くとも10年に1度は登記手続をする必要があることは
法務局も把握しています。
そのため、10年以上登記手続をしていない会社の代表者個人あてに
裁判所から過料請求がされるケースも出てきています。

司法書士に登記手続を依頼することでかかる費用に比べてみても
過料の金額が大きすぎますし、
過料は会社の経費や損金として処理することもできません。
単純にもったいないだけのコストとなってしまいます。

また、過料に関して良くご質問をいただく内容をもうひとつご紹介しますと
過料は行政罰であって、刑事罰ではありません。
つまり、過料が請求されたとしても前科がつくということはありませんので、
ご安心いただければと思います。

ちなみに、10年を超えてもなお放置し続けるとどうなるのでしょうか?

最後の登記から12年を経過している株式会社のことを「休眠会社」と呼び、
全国の法務局では、
毎年、休眠会社の整理作業を行っています。
詳細については、別の記事で書くことにさせていただきますが、
要約すると「強制的に会社を解散させ、その登記を行っています。」
平成26年には約80,000社がこれにより解散していますし、
その後も毎年20,000社近くの会社が解散しています。

最後にタイトルのお話です。
代表取締役の方がお引越しをされて、住民票上の住所が変わったとしても
登記されている代表取締役の住所は自動的に変更されることはありません。
そして、住所変更の登記手続ひとつが遅れただけでも
最大100万円の過料請求される可能性があるのです。
ちなみに、顧問の税理士さんがいる会社さんであっても
税理士さんは登記手続の専門家ではありませんから、
この点、見落としてしまうこともあるようです。

ある日突然
自社に高額の過料請求がされてしまったり、
最悪の場合、会社が解散されてしまったりしないように
きちんと注意をしつつ、すみやかに登記手続を行ってくださいね!


もちろん、自社で管理するのは難しいということであれば
役員の任期管理や役員改選時期の通知サービスをしてくれる司法書士に依頼する
というのも一手かと思います。
その際は、お気軽に弊所までご相談ください。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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土地を共有者の一部だけで売却可能とする法改正へ! (所有者不明土地問題の対策として)

おはようございます!

今日は、最近とても話題になっている
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この問題が起きてしまう原因には
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ところで、
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(土地、一部所有者で売却可能に 所有者不明地で対策)
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記事の内容は、上記をご覧いただければと思いますが、
記事内容を踏まえつつ、
この「所有者不明土地問題」について、
もう少し説明させていただければと思います。

いわゆる、所有者不明土地は、
相続時に名義変更(いわゆる相続登記)を放置してしまったことなどが原因で、
現在の所有者が誰か分からなくなってしまった土地のことで、
所有者不明土地問題研究会によると、
2016年時点で九州本島の面積に相当するほど拡大してしまっています。

震災復興などの公共事業を行うために
土地買収を行う必要があるにも関わらず
相続の末に約700人の共有となった土地で
一部の所有者の所在が分からなかったために、
公共事業が滞ってしまうといった事例も
各地で発生してしまっています。

また、
民法の定めによって、
土地を売却するには、所有者全員の承諾が必要となっています。

たとえば、
土地の所有者だった父が亡くなり、
母と2人の子どもが相続人である場合、
現状では3人全員が承諾しない限り売却はできないということになっています。
もちろん、
自分の持分だけであれば売却は可能ですが、
土地の持分のみに過ぎず
その利用価値が小さいために
買い手がつかなかったり、
売却金額が大幅に減額されるといったことになってしまうことが一般的です。

そこで、
国は、この所有者不明土地について、
共有者の一部だけでも、売却や賃貸ができるルールを作るべく
法改正に向けて動き始めているようです。

具体的には
国交省と法務省が
共有者の一部だけで、土地の売却や賃貸ができるように
2020年の通常国会に関連法改正案の提出を目指しているようです。

売却の場合は、
不明共有者の持分については金銭を法務局に供託することで、
不明共有者の持分を取得して、
共有関係を解消できるような仕組みが検討されています。
賃貸の場合は、
不明共有者以外の残りの共有者の承諾で
賃貸を行えるようにする仕組みが検討されているようです。

しかしながら、
これらの特例を利用するには
一定の条件が付けられる予定となっています。

登記簿や固定資産課税台帳などの調査、
行政機関・親族らへの聞き取りといった
不明者を見つけ出すための探索をすることが必要だったり、
この手続に反対する他の共有者がいる場合は、
異議を申し立てることができるように
公告をすることも必要とされる予定です。

法改正が実現すれば、
売却や賃貸による土地活用の道は
多少開かれることになることが予想されますが、
相続登記がキチンとされているケースに比べると、
まだまだ手続にかかる期間や費用の面で
ハードルが高いのではないかと思われます。

結局のところ
相続登記が放置されず
スムーズに行えるような支援が必要だろうと
個人的には思うところです。

ところが、
2019年7月27日付のブログ記事
「相続登記は早くしないと危険?!
(相続させる遺言等の効力と対抗要件について)」
でも詳しく書かせていただいていますが、
相続登記の手続を長く放置されている人が多いように感じています。

相続登記の手続を自分一人で行おうとすると
その負担も大きく
現在の法制度では
相続登記の期限も設けられていないために、
ついつい放置してしまい、そのまま忘れてしまうケースが多いようです。

しかしながら、
多くの場合、
相続登記を放置することで手続が簡単になることはなく、
数人いる相続人の1人が認知症になってしまったり、
相続人が亡くなることで疎遠な相続人が増えてしまったり、
口約束で遺産はいらないと言っていた相続人の経済状況が変わり
やはり遺産を欲しいと言ってくるなど…
時間の経過とともに、手続は複雑化していくことが一般的です。

2019年7月1日、
相続に関する法律が改正されたことによって
せっかく自身が権利を取得にもかかわらず、
その権利を失ってしまうケースも出てきていますので、
そのようなことにならないように、
早めに相続登記手続を行っておくことをおすすめいたします。

弊所を含め、
「相続登記」の専門家である司法書士にご相談いただければ、
そのご負担を軽減することも可能です。

ご自身のため
ご自身のお子様のため
所有する不動産のある地域社会
ひいては日本の国のため
ぜひ「相続登記」について考えるきっかけにしていただけたらと思います。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
 明るく穏やかな雰囲気の事務所です。
 まずは一度無料相談をご利用ください。

大阪司法書士会支部対抗ソフトボール大会

おはようございます!

今日は久しぶりのゆるーい記事です。
最近は真面目な記事が続いていたので
たまには息抜きと言いますか、
そんな記事を書かせてもらおうと思います!

今回は、
以前もブログ記事でお話したことのある
大阪の司法書士が集まって毎年秋に行われるソフトボール大会の話題です。

大阪司法書士会は
地域ごとに12の支部に分かれていまして
弊所は大阪市中央区にあることから
「南支部」に所属しています。

このソフトボール大会は支部対抗ということなので
この支部ごとにチーム編成されることになっています。
ですので、私は南支部チームのメンバーとして戦うことになっています。

そして、
大会では12の支部チームを
3チームごとに1つのブロックとして
ソフトボールの強い順に
A・B・C・Dの4つのブロックに分けて
各ブロック内で試合をすることになっています。

そして
ブロック内での勝利数や得失点差によって
昇格、降格、残留が決まり
来年戦うことになるブロックが決定されることになっています。

南支部チームはBブロックで
今年は、
大阪東部エリアの司法書士さんを中心に編成された河内支部チーム
大阪北部エリアの司法書士さんを中心に編成された豊能支部チーム
と試合をしてきました!

Bブロックに入っているチームだけあって
どちらのチームも野球経験者や運動神経の高い人たちが多くいる
強豪チームです。

かつてはAブロックの常連チームだった
南支部チームとしては
Aブロック昇格は悲願!ということで
今年は6月頃から
大会に向けての練習をしていましたので
そりゃもう勝つ気満々で臨んだ大会でした!

私自身も野球経験者ということでしたので
少しでも貢献できればという思いもありつつ、
むしろ、
貢献をしなかった場合の責任追及も予想されましたので
そのプレッシャーも感じながら
色んな意味で、気合を入れて試合に臨んできました!(笑)

気合を入れ過ぎて
大会前日から体調を崩してしまうという失敗も犯してしまいましたが(汗)
結果的には2戦2勝、得失点差も10点以上、個人成績もまずまずと、
最高の結果で終えることができました!

来年は
念願のAブロックで
大阪司法書士会屈指の最強チームを戦うことになりますが
来年も良い結果が残せるように頑張っていきたいと思います!


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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2019年12月、あなたの会社がみなし解散されないようご注意ください!

こんにちは!

先日、2019年11月2日付のブログ記事
「住所変更の手続が遅れただけでも100万円の罰金!?」の中で
会社が強制的に解散されて、その登記がされてしまうことがある。
といったお話をさせていただきましたが、
今日はこれをテーマに詳しくお話をさせていただこうと思います。
(上記記事もこの記事の理解に役立ちますので、ぜひご覧ください。)

毎年、相当数の会社が対象となってしまっていますので、
このブログ記事を読まれている方の周囲では
そのようなことにないように、ぜひご注意くださいね。


【みなし解散とは?】
平成26年度以降、毎年、
一定期間登記手続を行っていない休眠状態の会社や法人を対象に
官報で法務大臣による公告を行い
管轄法務局からは、対象となる休眠会社等に対して通知文書を送り
それを受けた休眠会社等が一定期間内に対応をしなければ
強制的に解散したものとみなして
その登記をしてしまうという措置をとっています。
これを「みなし解散」といいます。


【対象となる休眠会社等とは?】
一定期間登記手続を行っていない休眠状態の会社や法人のことを
「休眠会社等」といいますが、
具体的には以下のような会社等のことをいいます。
・「最後の登記から12年を経過している株式会社」
・「最後の登記から5年を経過している一般社団法人または一般財団法人」

そのため、
役員は社長1人だけの会社であったり、
家族経営の会社であったり、
事実上、事業を休止している会社であって、
「実際は役員が変わっていない」会社であっても、
法律上は役員の任期が満了する都度、再任の登記手続をする必要があるため、
最初の就任時には登記手続をしたけれども、
その後、一定期間、再任の登記手続をせずに放置している場合には、
この「休眠会社等」に該当してしまうことがあります。

ちなみに、
一定期間、登記手続をする必要が発生しない可能性もある
有限会社や合同会社、合名会社、合資会社などは対象とされていません。


【みなし解散を行っている理由と対象となった休眠会社等の数】
それでは、
なぜ法務局はそのような「みなし解散」をするのでしょうか?

本来、一定期間内に登記手続をすべきである会社等にもかかわらず
長期間登記がされていないということは
既に事業を廃止しているか、実態がない状態となっている可能性が高く
このような休眠状態の会社等の登記をそのままにしておくと
登記制度に対する国民の信頼が損なわれることになってしまうことや
休眠会社等が売買されて犯罪等に利用される可能性があること等
の理由から、このみなし解散を毎年実施しています。

そして、
実際に、毎年相当数の休眠会社等がみなし解散をされています。
平成26年は、株式会社…78,979社、その他…478社
平成27年は、株式会社…15,982社、その他…645社
平成28年は、株式会社…16,223社、その他…734社
平成29年は、株式会社…18,146社、その他…992社
平成30年は、株式会社…24,720社、その他…1,208社
(法務省開示資料より)

平成26年の数字が大きいのは、
その前に行われたのが平成14年だったこともあり
その間に対象会社等の数が増加したからだと思われます。

その後、毎年、対象会社等の数は増加傾向にありますが、
平成18年の会社法により、
役員の任期を最大10年にできるようになってからは
「前回の登記をしてから10年後に登記をしないといけないこと」を
「うっかり忘れてしまった。」ということが原因の会社も
相当数含まれていると思われます。
(10年後にしようと思っていたことを覚えている人の方が少ないですよね。)


【2019年10月10日、法務局より通知文書が送られました】
今年(2019年、令和元年)も
みなし解散の手続を実施するため、
2019年10月10日付で、
官報で法務大臣による公告を行い
管轄法務局からは、対象となる休眠会社等に対して通知文書を発送しました。

今年対象となる会社等は
例えば、以下のような会社等です。
・役員の任期を10年にしている。
・平成19年9月以前に役員の変更登記をしたのが最後となっている。


【どんな通知文書が届くの?】
法務局より届く通知文書は以下のようなものが届くことになっています。
「そういや、こんな書類が届いていたな。」という方は
放置せずにすぐに対応してください!


【通知文書が届かない会社等もあります。】
対象となる会社等であっても、
何らかの理由で通知文書が届かないことがあります。
その理由として考えられるのが次のようなものです。
「社名(商号・名称)を変更しているが、その登記もしていない。」
「本店(主たる事務所)を移転しているが、その登記もしていない。」
このような場合、
通知文書が届くことはありませんが、
みなし解散の対象となる会社等から免れるということはなく、
むしろ、なんの知らせもないまま「ある日突然、会社が解散していた。」
ということになりますので、注意が必要です。


【今年のみなし解散を回避する期限は、2019年12月10日(火)まで】
今年(2019年、令和元年)のみなし解散を回避する期限は、
「2019年(令和元年)12月10日(火)まで」となっています!

期限までに
「まだ事業を廃止していない旨の届出」を法務局に対してするか
「これまでしていなかった登記手続」を法務局で行うかしなければ、
対象となった会社等は
2019年(令和元年)12月11日(水)付で解散したものとみなされ、
法務局が職権で解散登記をすることになります。
つまり、
会社の登記簿(履歴事項全部証明書)にその記載がされてしまい、
誰でもその記載を確認できてしまうということです。


【心当たりのある会社さんは、まずは確認を!】
みなし解散がされてしまうと
事業継続するうえで、
会社の信用にも影響が出てきてしまいますし、
さらにそのまま放置すれば
事業継続が不可能になることもあります。

「法務局から通知書が届いた!」という方はもちろん、
「最近、法務局での登記手続をしていないな。」
「最近、司法書士と連絡していないな。」という方は、
ぜひ、会社の謄本(履歴事項全部証明書)を法務局で取得して
最後に登記をしたのがいつか確認してみてください。

そして、速やかに必要な登記手続を行ってください。


【みなし解散になっても、過料から逃れることはできない】
2019年11月2日付のブログ記事
「住所変更の手続が遅れただけでも100万円の罰金!?」の中でも
お話をしましたが、
一定期間内に必要な登記手続をしなければ
「過料(かりょう)」とよばれる、罰金・反則金のようなものの
支払いを裁判所から求められることがあります。

これは、
ずっと登記手続を放置し続けて
みなし解散となった場合であっても逃れることはできないことになっています。
むしろ、
みなし解散となる会社等は
そのこと自体で、登記手続を怠っていたことが明らかになるわけですから
みなし解散にあわせて、過料の支払いを求められることもあるようです。

そして、
放置した期間が長くなればなるほど
過料の金額は大きくなる傾向がありますので、注意が必要です。


【放置し続けても、会社が消滅することはありません】
会社等は、解散した後は
資産を売却等して金銭に変えて、負債を返済し
残りがあれば株主に分配する。
いわゆる「清算事務」を行う必要があります。
この清算事務を完了することを「清算結了」といって、
清算結了すると、会社の法人格が消滅し、その登記をすることが可能になります。

そして、この清算事務は
みなし解散がされた後も
国等が代わって行ってくれることはありません。
各種法令上、
いわゆる「みなし清算結了」という制度も用意されていません。

そのため
みなし解散がされた場合であっても、
自身で清算事務を行わない限りは
会社等は消滅しないということになります。
【みなし解散されてしまった場合はどうしたらいいの?】
それでも
「みなし解散をされてしまった!」というご相談をいただくことがあります。
その場合、
その会社を「継続させて、事業を行いたいか?」
それとも「このまま清算結了させて、事業を閉じたいか?」
によって、行うべき手続が変わってきます。

もし、
「会社を継続させたい!」とお考えの場合は、
早めに対応をする必要があります。
みなし解散がされてしまった会社等の場合、
会社を継続するためには期限があって、
「解散したとみなされた日から3年以内」が期限とされているからです。

記事が長くなってしまいましたので、
詳しい手続については、
また別の記事でご説明させていただこうと思いますので
ぜひご覧ください。


【最後に】
最後に、もう一度お伝えさせていただきます。
今年のみなし解散を回避する期限は、
「2019年12月10日(火)まで」です。

改めて、自社の会社の謄本(履歴事項全部証明書)を法務局で取得して
最後に登記をしたのがいつか確認してみてください。

そして、速やかに必要な登記手続を行ってください。

もし、分からないことがあるようであれば、
ぜひ司法書士にご相談してくださいね。

ある日突然、会社がみなし解散されていた…。
そんなことにならないよう、この記事がお役に立ったのであれば幸いです。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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空き家問題を防ぐには?勝負の決め手は「家族信託や遺言などの相続対策」

おはようございます!

先日、多くの司法書士が参加するゴルフ大会に参加してきました!
実力不足はもちろんですが
ものすごく久しぶりにコースを回ったこともあり
結果は散々でした!
おかげさま?で、ブービー賞をいただくことができました(笑)

しかしながら、
同じグループで回った
先輩司法書士の皆さんの優しさと
キレイな景色に癒されながらプレーができ
日頃の疲れが吹き飛びました!

初心者ですが、
すっかりゴルフの楽しさに魅了されている
司法書士の山内です。


さて、今日のテーマは「空き家問題」です!

先日、日本経済新聞に気になる記事が掲載されました。

日本経済新聞電子版記事(10月31日付)
(家族信託や遺言、相続こそ空き家予防の要 空き家と向き合う(4))
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51656350R31C19A0EA1000/


「おやじは俺に任せると言っていた」
「そんなはずはない。長男面するな」
「毎週通って面倒みていたのは私よ」――。
ひとり暮らしの父親が亡くなって約1年。
30~40代の3きょうだいは、
空き家状態になった東京都内の実家を巡ってぎくしゃくしている。
父から「家は好きにしろ」と言われていたが、
売るか建て替えるか、
実家を出て家庭を持つ3人の意見はまとまらない。
固定資産税、管理の手間、近所からの苦情。
悩みもあるが、関係を修復する大変さを思うと、
腰を上げる気にはならない。

こんなケースを挙げて記事は展開されていますが、
対立の深さの差こそあれ、
こういったケースは、ごく普通のご家庭でも起こっていることだと感じています。

自身や家族の死後のことを考えることは
楽しいことではないかもしれませんが、
「いつか必ずやってくるそのとき」に備えて
正面から向き合って対策することを避け続けてきたことで
防ぐことができた争いが生まれてしまっているのです。

今や「終活」という言葉も普及してきたように
自身や家族の死に対して、
元気なうちに備えておくことが普通になってきています。

認知症になった場合の
自宅などの財産の管理や処分について
家族信託を活用して、正式に親族に任せておくことも大切です。

遺産について揉めることのないように
きちんと遺産をたな卸しして
遺言書を書いておいたりすることも大切です。

ですが、備えておくことは、何も遺産のことだけではありません。

自身が認知症になったときの介護はどうして欲しい?
財産の管理はどうして欲しい?
自身の死後、葬儀に呼んで欲しい人は?
最後に感謝の気持ちを伝えたい人は?
死後のパソコンやスマートフォンなどに残された思い出の写真など
デジタルデータの処分は?

ご自身やご家族にもしものことがあってからでは、
もうその想いを聞くことができないかもしれません。

我々専門家は、
それぞれの場面で
トラブルが解決できるようにベストを尽くしますが
実際にトラブルが起こってからでは
取り得る方法がどんどん少なくなっていくのです。

元気なうちであれば、
多くの対策の選択肢があります。

この記事は、そんな当たり前のようでなかなか難しい
生前対策の重要性を改めて訴えかけています。

この記事を読まれた方が
少しでも生前対策に関心を持っていただき、
司法書士をはじめとした専門家にご相談していただけたらと思います。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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住所変更の手続が遅れただけでも100万円の罰金!?

こんにちは!

台風とともに夏が終わったと思ったら一気に肌寒くなってきましたね!
暑がりで寒がり、花粉症持ちの私としては、秋が一番好きな季節なんですが
年々、秋が短くなってきているような気がしています…
うーん、気のせいなんでしょうかね?


さて今日は、
会社の社長さんや、
会社の色々な手続について担当される従業員のみなさんには
是非知っておいていただきたい内容で
「会社の登記手続はきちんとしておかないと罰金があります。」
というお話です。

個人事業ではなく、会社として事業をされている方々の多くは、
「株式会社」に代表される法人形態で事業をされているかと思います。
(他にも合同会社、合資会社、合名会社、一般社団法人など様々な形態があります。)

そして、株式会社として事業をされているからには、
必ず登記手続をする必要があるということになります。

会社法において、
株式会社は、一定の登記事項に変更があったときには変更登記をしなければならない。
と定められているからです。(会社法915条1項)

では、一定の登記事項とは何かというと
具体的には、
会社名(商号)
本店所在地
支店所在地
事業の内容(目的)
資本金
代表取締役の住所・氏名
取締役の氏名
監査役の氏名
などなど、他にも様々な登記事項があります。(会社法911条3項)

そして、
変更登記の手続には期限がありまして
それぞれの登記の内容によって、その期限は若干異なるんですが、
原則としてその登記の事由が発生したときから
「2週間以内」あるいは「3週間以内」とされています。
(会社法915条1項、930条3項など)

「登記の事由が発生したとき」というのは、
例えば、1名取締役を選任したようなケースだと
その取締役が株主総会で選任され、取締役自身がその就任を承諾した日のことを指します。
また、タイトルにもある住所変更の手続、
つまり、代表取締役が引越し等で住所を変更したようなケースだと
その代表取締役が住所を変更したその日
(住民票に変更日として記載されている日)を指します。

では、期限を過ぎてしまうとどうなるのか?
ということが気になるかと思いますが、
期限を経過してしまった場合でも、
期限後に変更登記の手続をすることはできますし、
期限が過ぎていることを理由に登記申請が却下されることはありません。

しかしながら、
登記をすべき期限を過ぎてしまったこと
(専門用語で“登記懈怠(とうきけたい)”といいます。)
に対してはペナルティを課される可能性があります。

そのペナルティというのが、
「過料(かりょう)」とよばれる、罰金・反則金のようなものです。
スピード違反をしたときに支払わないといけないアレ
と同じようなイメージで考えていただくと分かりやすいかもしれません。

先ほども
ペナルティを課される「可能性があります。」と書いたように
期限を1日でも遅れてしまうと、必ず過料の支払いを求められるかというと
そうではありません。

基準については明らかになっていませんが、
過料の支払決定に関与している法務局や裁判所が
一定の裁量によって決定しているものと推測されます。

このあたりは
スピード違反でも同じようなことが起きますよね。
余談ですが、
私の知人がスピード違反で捕まったときに
警察官から「なんで捕まったか分かるよね?」と聞かれて
「運が悪かったからです。」と答えて、
こっぴどく叱られたことがあるそうです(笑)

さて、話を戻して
もう少し過料についてご説明します。

過料の金額についても
法律の規定がありまして(会社法976条1項1号、22号など)
100万円以下の範囲で裁判所が決定することとされています。

とはいえ、実際に100万円の請求がきたというお客さまには
まだ出会ったことはありませんが、
最大で50万円近くの請求を受けた方がいらっしゃいました。
これまでの経験上、1年遅れるごとに2万円程度加算されている印象です。

それでは、実際にあった過料決定の通知書をご覧ください。
(個人情報はマスキングしてあります。)
ちなみに、この過料決定通知書は
取締役の任期が満了していたけれども
そのことに気付かず、再任の手続を忘れていた会社の
社長さん個人宛に届いたものです。
上記のような書面が届いて、過料が請求されるまでの流れとしては
1、登記の申請が遅れている会社を発見した法務局が、裁判所へ通知をする。
2、その裁判所が会社の代表者個人あてに過料を請求する。
といった流れになっています。
法務局としては
日本全国のすべての会社について
いつ登記事項が変更されたのか?それが遅れているのか?を
把握できないことも多いので、
実際には、期限を過ぎた登記申請がされたことによって発覚する
というのが多いかと思います。
そのため、登記申請をしてから数カ月後に
裁判所から上記のような過料通知書が郵送されてくることが一般的です。

じゃあ、期限を過ぎてしまったらずっと放っておいた方が良いのでは?
と思われる方もいるかもしれませんが、
それは良い方法ではありません。
先ほど書いたように、
過料は1年遅れるごとに2万円程度加算されていきますし、
株式会社の場合、会社役員の任期を伸長することができますが
それも最大で10年までとされている関係上
どれだけ遅くとも10年に1度は登記手続をする必要があることは
法務局も把握しています。
そのため、10年以上登記手続をしていない会社の代表者個人あてに
裁判所から過料請求がされるケースも出てきています。

司法書士に登記手続を依頼することでかかる費用に比べてみても
過料の金額が大きすぎますし、
過料は会社の経費や損金として処理することもできません。
単純にもったいないだけのコストとなってしまいます。

また、過料に関して良くご質問をいただく内容をもうひとつご紹介しますと
過料は行政罰であって、刑事罰ではありません。
つまり、過料が請求されたとしても前科がつくということはありませんので、
ご安心いただければと思います。

ちなみに、10年を超えてもなお放置し続けるとどうなるのでしょうか?

最後の登記から12年を経過している株式会社のことを「休眠会社」と呼び、
全国の法務局では、
毎年、休眠会社の整理作業を行っています。
詳細については、別の記事で書くことにさせていただきますが、
要約すると「強制的に会社を解散させ、その登記を行っています。」
平成26年には約80,000社がこれにより解散していますし、
その後も毎年20,000社近くの会社が解散しています。

最後にタイトルのお話です。
代表取締役の方がお引越しをされて、住民票上の住所が変わったとしても
登記されている代表取締役の住所は自動的に変更されることはありません。
そして、住所変更の登記手続ひとつが遅れただけでも
最大100万円の過料請求される可能性があるのです。
ちなみに、顧問の税理士さんがいる会社さんであっても
税理士さんは登記手続の専門家ではありませんから、
この点、見落としてしまうこともあるようです。

ある日突然
自社に高額の過料請求がされてしまったり、
最悪の場合、会社が解散されてしまったりしないように
きちんと注意をしつつ、すみやかに登記手続を行ってくださいね!


もちろん、自社で管理するのは難しいということであれば
役員の任期管理や役員改選時期の通知サービスをしてくれる司法書士に依頼する
というのも一手かと思います。
その際は、お気軽に弊所までご相談ください。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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