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2019/11/02

住所変更の手続が遅れただけでも100万円の罰金!?

こんにちは!

台風とともに夏が終わったと思ったら一気に肌寒くなってきましたね!
暑がりで寒がり、花粉症持ちの私としては、秋が一番好きな季節なんですが
年々、秋が短くなってきているような気がしています…
うーん、気のせいなんでしょうかね?


さて今日は、
会社の社長さんや、
会社の色々な手続について担当される従業員のみなさんには
是非知っておいていただきたい内容で
「会社の登記手続はきちんとしておかないと罰金があります。」
というお話です。

個人事業ではなく、会社として事業をされている方々の多くは、
「株式会社」に代表される法人形態で事業をされているかと思います。
(他にも合同会社、合資会社、合名会社、一般社団法人など様々な形態があります。)

そして、株式会社として事業をされているからには、
必ず登記手続をする必要があるということになります。

会社法において、
株式会社は、一定の登記事項に変更があったときには変更登記をしなければならない。
と定められているからです。(会社法915条1項)

では、一定の登記事項とは何かというと
具体的には、
会社名(商号)
本店所在地
支店所在地
事業の内容(目的)
資本金
代表取締役の住所・氏名
取締役の氏名
監査役の氏名
などなど、他にも様々な登記事項があります。(会社法911条3項)

そして、
変更登記の手続には期限がありまして
それぞれの登記の内容によって、その期限は若干異なるんですが、
原則としてその登記の事由が発生したときから
「2週間以内」あるいは「3週間以内」とされています。
(会社法915条1項、930条3項など)

「登記の事由が発生したとき」というのは、
例えば、1名取締役を選任したようなケースだと
その取締役が株主総会で選任され、取締役自身がその就任を承諾した日のことを指します。
また、タイトルにもある住所変更の手続、
つまり、代表取締役が引越し等で住所を変更したようなケースだと
その代表取締役が住所を変更したその日
(住民票に変更日として記載されている日)を指します。

では、期限を過ぎてしまうとどうなるのか?
ということが気になるかと思いますが、
期限を経過してしまった場合でも、
期限後に変更登記の手続をすることはできますし、
期限が過ぎていることを理由に登記申請が却下されることはありません。

しかしながら、
登記をすべき期限を過ぎてしまったこと
(専門用語で“登記懈怠(とうきけたい)”といいます。)
に対してはペナルティを課される可能性があります。

そのペナルティというのが、
「過料(かりょう)」とよばれる、罰金・反則金のようなものです。
スピード違反をしたときに支払わないといけないアレ
と同じようなイメージで考えていただくと分かりやすいかもしれません。

先ほども
ペナルティを課される「可能性があります。」と書いたように
期限を1日でも遅れてしまうと、必ず過料の支払いを求められるかというと
そうではありません。

基準については明らかになっていませんが、
過料の支払決定に関与している法務局や裁判所が
一定の裁量によって決定しているものと推測されます。

このあたりは
スピード違反でも同じようなことが起きますよね。
余談ですが、
私の知人がスピード違反で捕まったときに
警察官から「なんで捕まったか分かるよね?」と聞かれて
「運が悪かったからです。」と答えて、
こっぴどく叱られたことがあるそうです(笑)

さて、話を戻して
もう少し過料についてご説明します。

過料の金額についても
法律の規定がありまして(会社法976条1項1号、22号など)
100万円以下の範囲で裁判所が決定することとされています。

とはいえ、実際に100万円の請求がきたというお客さまには
まだ出会ったことはありませんが、
最大で50万円近くの請求を受けた方がいらっしゃいました。
これまでの経験上、1年遅れるごとに2万円程度加算されている印象です。

それでは、実際にあった過料決定の通知書をご覧ください。
(個人情報はマスキングしてあります。)
ちなみに、この過料決定通知書は
取締役の任期が満了していたけれども
そのことに気付かず、再任の手続を忘れていた会社の
社長さん個人宛に届いたものです。
上記のような書面が届いて、過料が請求されるまでの流れとしては
1、登記の申請が遅れている会社を発見した法務局が、裁判所へ通知をする。
2、その裁判所が会社の代表者個人あてに過料を請求する。
といった流れになっています。
法務局としては
日本全国のすべての会社について
いつ登記事項が変更されたのか?それが遅れているのか?を
把握できないことも多いので、
実際には、期限を過ぎた登記申請がされたことによって発覚する
というのが多いかと思います。
そのため、登記申請をしてから数カ月後に
裁判所から上記のような過料通知書が郵送されてくることが一般的です。

じゃあ、期限を過ぎてしまったらずっと放っておいた方が良いのでは?
と思われる方もいるかもしれませんが、
それは良い方法ではありません。
先ほど書いたように、
過料は1年遅れるごとに2万円程度加算されていきますし、
株式会社の場合、会社役員の任期を伸長することができますが
それも最大で10年までとされている関係上
どれだけ遅くとも10年に1度は登記手続をする必要があることは
法務局も把握しています。
そのため、10年以上登記手続をしていない会社の代表者個人あてに
裁判所から過料請求がされるケースも出てきています。

司法書士に登記手続を依頼することでかかる費用に比べてみても
過料の金額が大きすぎますし、
過料は会社の経費や損金として処理することもできません。
単純にもったいないだけのコストとなってしまいます。

また、過料に関して良くご質問をいただく内容をもうひとつご紹介しますと
過料は行政罰であって、刑事罰ではありません。
つまり、過料が請求されたとしても前科がつくということはありませんので、
ご安心いただければと思います。

ちなみに、10年を超えてもなお放置し続けるとどうなるのでしょうか?

最後の登記から12年を経過している株式会社のことを「休眠会社」と呼び、
全国の法務局では、
毎年、休眠会社の整理作業を行っています。
詳細については、別の記事で書くことにさせていただきますが、
要約すると「強制的に会社を解散させ、その登記を行っています。」
平成26年には約80,000社がこれにより解散していますし、
その後も毎年20,000社近くの会社が解散しています。

最後にタイトルのお話です。
代表取締役の方がお引越しをされて、住民票上の住所が変わったとしても
登記されている代表取締役の住所は自動的に変更されることはありません。
そして、住所変更の登記手続ひとつが遅れただけでも
最大100万円の過料請求される可能性があるのです。
ちなみに、顧問の税理士さんがいる会社さんであっても
税理士さんは登記手続の専門家ではありませんから、
この点、見落としてしまうこともあるようです。

ある日突然
自社に高額の過料請求がされてしまったり、
最悪の場合、会社が解散されてしまったりしないように
きちんと注意をしつつ、すみやかに登記手続を行ってくださいね!


もちろん、自社で管理するのは難しいということであれば
役員の任期管理や役員改選時期の通知サービスをしてくれる司法書士に依頼する
というのも一手かと思います。
その際は、お気軽に弊所までご相談ください。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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