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2020/08/15

証券会社の相続手続と証券口座の種類について(一般口座・特定口座・特別口座ってなに?)【その2】

おはようございます!

今日は
前回の記事で解説をしてきました
証券会社で行う相続手続のお話の続きです!

前回の記事では
1、証券会社等での相続手続の必要書類について。
2、相続手続のために証券口座の開設を
  しないといけないことがあること。
3、開設する証券口座は
  基本的に被相続人と同じ会社のものでないといけないこと。
4、証券口座にはいくつかの種類があること。

の4つを解説させていただきました。

なお、
上記の詳細については
2020年8月1日付の記事
“証券会社の相続手続と証券口座の種類について
(一般口座・特定口座・特別口座ってなに?)【その1】”
をご覧ください!


さて、今回は
被相続人から相続した株式や投資信託を
相続人の証券口座へ移管するうえで
関係してくることが多い3種類の証券口座
「一般口座」
「特定口座」
「特別口座」
についての解説からスタートしていきたいと思います。


【証券口座の種類:一般口座ってなに?】

まずは
「一般口座」です。

一般口座を利用するうえでのポイントは
「原則、確定申告が必要になる口座」ということです。

一般口座を利用すると
自身で、
1月1日から12月31日まで1年間に
その口座で保有する株式や投資信託などの取引で発生した
譲渡損失や利益を計算して
翌年の2月16日から3月15日までに
原則、確定申告をしなければいけません。

例外的に
給与収入が一定額以下で
給与を受けているのが1箇所のみ
給与所得・退職所得以外の所得金額が一定額以下の人、
あるいは
公的年金等の収入が一定額以下で
年金以外の所得が一定額以下の人については
所得税の確定申告をする必要はありません。
ただし、住民税は申告が必要です。

また、
1年間を通算して損失となった場合には
確定申告はしなくても構いませんが
「譲渡損失の繰越控除」の適用を受けたい場合には
確定申告をしておく必要があります。

そのため
“確定申告の手間を省きたい。”と思われるのであれば
このあとに解説する「特定口座」を利用されることをおすすめします。


【証券口座の種類:特定口座ってなに?】

さて次は
「特定口座」です。

特定口座を利用するうえでのポイントは
先ほどの一般口座と異なり
「原則、確定申告が不要になる口座」ということです。

そして
特定口座には2種類あって
「源泉徴収あり」もしくは「源泉徴収なし」
のどちらかを選ぶことができます。

どちらを選んだ場合でも
口座名義人に代わって証券会社等が
1月1日から12月31日まで1年間に
その口座で保有する株式や投資信託などの取引で発生した
譲渡損失や利益を計算して
「特定口座年間取引報告書」というものを作成してくれます。

さらに
「源泉徴収あり」を選んだ場合は
証券会社等が口座名義人に代わって納税してくれるので
確定申告をする必要がありません。
なお、
自身で確定申告をしたい場合は、確定申告することもできます。

また
「源泉徴収あり」を選んだ場合は
この口座に配当金などを受け入れることで、
この口座で保有する株式や投資信託などの取引で発生した
譲渡損失や利益に
さらに配当金なども含めて
確定申告をすることなく損益通算することが可能になっています。

一方で
「源泉徴収なし」を選んだ場合は
確定申告が必要になりますが、
先ほどの
証券会社等が作成してくれる
「特定口座年間取引報告書」を参照することで
確定申告書類の作成の負担が大幅に軽減されます。


【証券口座の種類:特別口座ってなに?】

最後に
「特別口座」です。

この特別口座は
相続人の方が自ら開設する口座としての
「一般口座」や「特定口座」とは性質が異なっています。

特別口座のポイントは

“株式の発行会社が
信託銀行などに依頼して
株主(被相続人)が証券会社等に預け入れをしなかった株式を
株主(被相続人)のための保管用として開設した口座”
ということです。

2009年(平成21年)1月5日に
従前は紙ベースで作られていた上場会社の株券を
データで管理することになりました。
これを株券電子化というのですが、

この株券電子化までに
証券保管振替機構(ほふり)に株券が預託されなかった
上場会社の株式について、
株主の権利を守るため
株式の発行会社からの申出によって
株主名簿管理人である信託銀行などに開設された口座のことを
特別口座といいます。

ちなみに、
株券電子化後に上場した会社の株式についても
株主が証券会社等で口座を開設する手続きをしていない場合は
特別口座が開設されます。

そして
特別口座は
あくまでも保管用の口座であって
取引用の口座ではないので、
特別口座で保有する株式を
相続した場合や売却したい場合には、
あらかじめ
証券会社等に
上述の「一般口座」や「特定口座」などの取引口座を開設して、
株式を振り替える必要があります。


【被相続人の口座の種類によっては、相続人の証券口座へ移管できない。】

これまでの解説の中で
証券口座にはそれぞれ特徴があることを
お分かりいただけたかと思います。

では、
その特徴のある口座同士で
自由に移管をすることができるのでしょうか?

結論から言いますと

被相続人の証券口座の種類と
相続人の証券口座の種類によっては
移管できないことがあります。

つまり、
被相続人の証券口座にあわせて
きちんと移管することができる証券口座を
相続人は開設する必要があるということです。

具体例を挙げて解説すると


1、被相続人が「一般口座」のとき

このときは、
相続人の証券口座も
「一般口座」である必要があります。

被相続人が自身で
譲渡損失や利益を計算して
確定申告をする一般口座で
株式等を保有していたのですから
相続のタイミングで
その株式等を
確定申告不要の特定口座へ
移管することはできないということです。

あくまで
被相続人が一般口座で
株式等を保有していたのであれば
相続人も一般口座で移管を受けて
その株式等を売却した際には
きちんと譲渡損失や利益を計算して
確定申告をしてください。
ということになります。

ちなみに
「特別口座」は
相続人の意思によって開設するような口座ではないですし、
取引用の口座でもないため、
相続人の特別口座へ移管を受けることはないかと思われます。


2、被相続人が「特定口座」のとき

このとき、
相続人の証券口座は
「特定口座」でも「一般口座」でも
どちらでも大丈夫です。

被相続人が
確定申告不要の特定口座を開設している場合は
相続人も
特定口座へ移管を受けて
確定申告不要の恩恵を受けることが可能になるということです。

もちろん
特定口座へ移管を受けたうえで
確定申告をすることが可能であることについては
先述のとおりです。

一方
相続人が希望するのであれば
被相続人が特定口座で保有していた株式等を
相続人の一般口座へ移管を受けて
確定申告をすることも可能になっています。

なお、
相続人の特別口座へ移管を受けることがないことについては
先述のとおりです。


3、被相続人が「特別口座」のとき

このとき
相続人の証券口座は
「一般口座」である必要があります。

特別口座というのは
あくまでも保管用の口座であって
取引用の口座ではないので、
「特定口座」のように
確定申告不要の特別扱いがされる口座ではありません。

そのため
被相続人の口座が「特別口座」であるときは
相続人の証券口座へ移管する際も
被相続人の口座が「一般口座」であったときと同様に
「一般口座」への移管をしないといけない。
ということになります。

なお、
これまでと同様に
相続人の特別口座へ移管を受けることがないことについては
先述のとおりです。


【最後に】

余談ですが、
以前、無料相談のために
弊所にお越しになられたお客さまが

“銀行の相続手続だけでも
分からないことが多くて大変なのに
証券会社の相続手続は
さらに分からないことが多くて
正直、自力で行うのがしんどくなってしまった。。
もし、費用が安いのであれば、お任せしたいと思って来ました。”

と仰っておられたことを覚えています。

証券会社等の視点から見ると
どうしても必要な手続きであることも分かりますし

我々のような相続の専門家からすると
慣れた手続ではありますが、

一生のうちに
何度も相続手続を経験することのない
お客さまからすると
非常に難しく、
ストレスのかかる手続であることは間違いないかと思います。

相続の専門家としては

この難しい手続を
いかに分かりやすくご説明して
あるいは、
その一部や全部をサポートして
お客さまのご不安やストレスを取り除き
スムーズに、かつ、大きなご負担なくして
相続手続ができると安心していただくこと。

こうした当たり前のことが実は重要なんだと
あらためて感じさせられた出来事だったと思います。


弊所では
相続に伴ってしないといけない
不動産の相続登記手続はもちろん
銀行や信用金庫、信用組合などでの預貯金の相続手続
そして
今回のテーマである
証券会社や信託銀行などでの株式・投資信託などの相続手続について、
多くのお客さまよりご依頼をいただき、
その手続をまるごとサポートしております。

また、
弊所では
初回のご相談やお見積も
無料にて対応していますし

できるだけ費用負担を抑えたい方向けの
低価格のサービスもご用意しております。


もし、
相続手続全般について
お悩みごとがございましたら、
いつでもお気軽に弊所までご連絡いただけますと幸いです。

きっとお役に立てるかと思います。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分。
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能。
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