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2019/04/13

住宅ローンを返済したら、抵当権抹消です!その2

司法書士は不動産の登記手続を扱うことが多いため、
不動産に関する業界が忙しい時期は、一緒に忙しくなる傾向があります。

毎年3月末は、不動産業者さんや金融機関さんの決算期の関係もあって、
不動産の取引が多くなり、それに伴い登記手続の依頼も多く大慌てとなります。

そして、法務局で受け付けられた登記手続が1週間から2週間ほどで審査終了し、
お客様へ権利証などの書類をお渡しする時期がまさに今週という状況でした。

大きな山を越えて、ほっと一息ついたら、また気合を入れて頑張っていきたいと思います!


さて今日は、前週から引き続いて、抵当権抹消に関する内容でお話をさせていただきます。

前回は自身で抵当権抹消の登記手続をする場合、
途中で断念して損をしてしまうことのないように、手続に最低限必要となる情報をお知らせさせていただきます。
というところまでお話させていただきました。

あまり詳しくお話しても、専門的な部分もあって分かりにくいかと思いますので、
とりあえず大枠の部分をご理解いただければと思います。

まずは、全体の流れを掴んでみましょう。
1、管轄の法務局を確認
2、ご自宅の不動産全部事項証明書(登記簿、登記情報)を取得
3、不動産全部事項証明書を見て、ご自宅の所有者と抵当権者の住所と氏名を確認
4、登記申請書、添付書類を完成
5、管轄の法務局へ登記申請書を提出(不備があれば、後日、補正作業も)
6、返却書類を受領
7、登記手続完了後の、ご自宅の不動産全部事項証明書(登記簿、登記情報)を取得
8、手続完了

続いて、それぞれの項目について詳しく説明していきます。

「1、管轄の法務局を確認」
法務局には管轄があり、一定の地域を担当しています。
手続のために、最低でも1回、一般の方だと2~3回程度、
平日の8時30分~17時15分にご自宅を管轄する法務局に足を運ぶ必要がありますので、
どこにあるのか確認しておきましょう。

確認方法は以下のページから確認することができます。
(法務局 管轄のご案内)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

例えば、弊所のある「大阪市中央区」を管轄する法務局は、
地図から探してみると、大阪法務局(本局)であることが分かります。


「2、ご自宅の不動産全部事項証明書(登記簿、登記情報)を取得」
次にご自宅の現在の権利関係や、後で説明する登記申請書に記載する情報を確認するため、
法務局で、ご自宅の「不動産全部事項証明書」を取得します。

証明書を発行してくれる法務局はどこでも大丈夫なので、管轄の法務局以外でも対応してくれますが、
管轄法務局の方がその他登記申請に関する相談等にも対応してくれますので、オススメです。

そして、証明書の発行手数料は1通600円で収入印紙で支払うことになります。
法務局内に印紙売場がありますので、そこで購入すればOKです。

また、通常皆さんが見慣れている自宅の住所表記は、いわゆる「住居表示」というもので、
「●●市●●町●●丁目●●番●●号」のような表記となっています。
一方、登記手続上の表記は「地番表記」というもので、
「●●市●●町●●丁目●●番●●」となっていたり、「●●市●●町●●丁目●●番」のような表記となっています。

証明書を請求する際は、この「地番表記」を法務局で確認する作業(地番照会)をしてから、
証明書の請求用紙を記入することになるので、ご注意ください。

ちなみに、タイトルに「登記簿」と書いているのは、不動産全部事項証明書の別の呼び方です。
ここでは詳しい説明を省略しますが、法務局で「登記簿が欲しいです。」と言っていただいても、
ちゃんと「不動産全部事項証明書」を発行してくれます。

また「登記情報」と書いているのは、不動産全部事項証明書と同一内容を記載したデータのことです。
以下のインターネットサイト上で取得することができ、法務局まで足を運ぶ必要がなく、
発行手数料も安いので、便利です。

(登記情報提供サービス-一般財団法人民事法務協会)
https://www1.touki.or.jp/use/00-01.html


「3、不動産全部事項証明書を見て、ご自宅の所有者と抵当権者の住所と氏名を確認」
不動産全部事項証明書の取得ができたら、次はその証明書の記載を見て、
ご自宅の所有者と抵当権者の住所と氏名を確認する必要があります。

例えば、以下のみほん(土地・建物)を例に説明すると、
不動産全部事項証明書みほん-土地
不動産全部事項証明書みほん-建物

所有者は「権利部(甲区)」の記載から、「法務五郎」さんで、その登記上の住所は「特別区南都町一丁目5番5号」、
抵当権者は「権利部(乙区)」の記載から「株式会社南北銀行」で、その登記上の住所は「特別区北都町三丁目3番3号」、
共同担保目録の記載から、土地と建物がセットで、抵当権設定されていることが分かります。

マンションの場合は、以下のみほんがあります。
ちなみに、マンションのことを法律用語で「区分建物」といいますので、覚えておくと良いかと思います。
不動産全部事項証明書みほん-マンション(区分建物)

この場合、所有者は「甲野一郎」さんで、登記上の住所は「特別区南都町一丁目1番1号」、
抵当権者は「株式会社南北銀行」で、登記上の住所は「特別区北都町三丁目3番3号」ということが分かりますね。

さて、所有者の住所と氏名ですが、不動産全部事項証明書と住民票上の住所・氏名とが
異なっていることが良くあります。
それは、この不動産の購入時に手続を行って以来、
この不動産に関する住所変更や氏名変更の登記手続を法務局で行っていないからです。

もし、住所や名前が異なっている場合は、
「住所変更」や「氏名変更」の登記手続をあわせて行う必要がありますので、ご注意ください。
これらの手続については、また後日記事を書かせていただく予定です。

また、不動産全部事項証明書の所有者が亡くなっている(相続が発生している)ケースもあります。
その場合は、いわゆる「相続登記」が必要となります。
相続登記をイチからご自身でするとなると、不可能ではありませんが、相当大変かと思います。
一度、法務局か司法書士へご相談されることをお勧めします。

一方で、抵当権者の住所や名称が、本店移転や社名変更などで変わっている場合は、
その変更手続を省略することが可能です。
ただし、合併などを理由に住所や社名が変わっている場合は、
「抵当権移転」の登記手続が必要となりますので、注意が必要です。


「4、登記申請書、添付書類を完成」
さて、住所と氏名の確認が終わりましたら、次はいよいよ書類の作成です。
法務省のホームページに書式と記入みほんがありますので、以下にお示しします。
登記申請書ー抵当権抹消・戸建て物件の場合(法務省書式)
登記申請書ー抵当権抹消・マンションの場合(法務省書式)
登記申請書(記入みほん)ー抵当権抹消・戸建て物件の場合(法務省書式)
登記申請書(記入みほん)ー抵当権抹消・マンションの場合(法務省書式)

記入みほんに書かれている注意書きを読みながら作成し、
不明点があれば法務局に相談して完成するという流れになると思います。


「5、管轄の法務局へ登記申請書を提出(不備があれば、後日、補正作業も)」
4で完成させた登記申請書と添付書類を法務局へ提出します。
提出先は、1で確認した管轄の法務局です。
提出するその日は、法務局での受付のみで、5分程度で終了します。
その後、法務局で書類審査を行い、書類に不備がなければ、
法務局の発表している完了予定日までに手続が完了します。
(管轄法務局や時期によりバラつきがありますが、通常は1週間から2週間程度です。)
しかしながら、不備があった場合は法務局から連絡が入り、書類の訂正など(補正)を求められます。
補正が必要となると、平日に法務局へ再度足を運ぶ必要が出てくるので、
事前に法務局で相談をして、不備のない書類を作成しておきたいところですね。


「6、返却書類を受領」
法務局から連絡もなく、完了予定日を経過した場合、無事登記手続は完了しています。
原本の還付を希望した書類や登記完了証などが法務局より返却されます。
返却方法は、登記申請の際に希望した方法となり、「法務局窓口での返却」か「郵送での返却」のどちらかです。
なお、「郵送での返却」を希望する場合は、登記申請の際に、返信用封筒(書留郵便扱いのもの)を提出する必要がありますので、ご注意ください。


「7、登記手続完了後の、ご自宅の不動産全部事項証明書(登記簿、登記情報)を取得」
登記手続が完了したら、不動産全部事項証明書を取得してみましょう。
2で取得したときに記載されていた「抵当権設定」の記載部分に下線が引かれ、さらに「抵当権抹消」の登記がされています。
これで、きちんと手続が完了していることが証明書上も明らかになります。


「8、手続完了」
これで手続完了です。お疲れさまでした!

慣れない手続で大変かもしれませんが、
ご自身でされる場合は、途中で断念して損をしてしまうことのないように、頑張ってくださいね。

平日に時間を取られて、ここまで手間がかかるのであれば、やっぱり司法書士に依頼しようか。
ということでしたら、先週の記事を読んでいただき、ご依頼される司法書士を決めていただくと良いかと思います。

長々と書かせていただきましたが、この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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