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2019/12/21

根抵当権の債務者を変更する前提として、債務者の住所変更登記は省略できない?

おはようございます!

今日は少し専門的なお話です!

関西で司法書士事務所をしていると
「もう少し費用まけてくれへん(安くしてくれませんか)?」
というお話をいただくことがあります。

これはおそらく関西の司法書士さんであれば
日常茶飯事ではないでしょうか?

とはいえ、
弊所はもともとの報酬額が安いので
あまりそういったことは言われないかな?と思っていたんですが
やはり今年も数回は「先生、費用もう少し…」のお声をいただきました!
もはやこれは、関西人の口グセ!?かもしれません(笑)


そこで今日は
「この登記省略できるんじゃないの?」
「省略することで手続費用を安くできるんじゃないか?」
という考えから
同業者の方から相談をいただく内容

“根抵当権の債務者変更登記をするときに
債務者の住所に変更が生じている場合
この住所変更の登記は省略できないの?”

について書かせてもらおうかと思います。


まずは相談事例の説明からさせていただきますと、

既に設定登記がされている根抵当権がありまして
根抵当権者がA
根抵当権設定者がB
その債務者がXとなっています。

今回、債務者XをYに変更するんですが
根抵当権の債務者変更契約の1年前に
Xは本店移転をしています。

それでは
今回、根抵当権の債務者変更登記を申請して
債務者をXからYに変更する前提として
債務者Xの本店移転に伴う根抵当権変更登記申請を
する必要があるのか?あるいは省略しても構わないのか?

といった内容です。

実務上
根抵当権の債務者変更契約書には
旧債務者と新債務者の記名押印がされることも多いので
旧債務者の本店移転があったことは
添付書類から明らかになることが多いですよね。

でも、
報告形式の登記原因証明情報を添付書類として提供する場合で
旧債務者の本店移転をわからないように記載するなんてことも
できちゃうんじゃないだろうか…

そもそも
債務者Xの本店移転が明らかなのかそうでないのかを別として
これから債務者から離脱することになる債務者Xの本店移転を
登記記録上、公示する必要があるのだろうか?

省略できるのであれば
必要な登記申請の数が減少する分
お客様の負担する手続費用も安くすることができるし…

などと色々考えるわけですよね。


結論から言ってしまうと
「債務者の本店移転に伴う根抵当権変更登記は省略不可。」
ということになります。

根拠としては
「登記研究の質疑応答」です。
※登記研究というのは、登記実務を行う法務局や司法書士が
 その運用や解釈についての指針としている専門書籍です。

登記研究452号114項
質疑応答6601において
【要旨】
抵当権の債務者変更登記を申請するに当たり、
登記簿上の債務者の住所氏名に変更が生じている場合は、
その表示変更登記を省略する扱いは認められない。
根抵当権の債務者の変更登記を申請する場合も同様である。

と記載されています。


ですので、
このケースにおいては
根抵当権の債務者の住所変更登記を省略することは認められていないので
きちんと登記しないといけないということですね!

司法書士として、
依頼者へ納得のいく説明をするための理論的根拠として、
うっかり不適法な登記手続をしてしまうことを防ぐ備忘録として、
この記事がいつも読んでくださっている
皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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