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2020/09/12

「自筆証書遺言書保管制度」の4大メリットと注意点【その2】

おはようございます!

前回、令和2年8月29日付の記事
“「自筆証書遺言書保管制度」の4大メリットと注意点【その1】” では

令和2年7月10日からスタートした
法務局で自筆の遺言書を保管してくれる制度である
「自筆証書遺言書保管制度」の4大メリット

【メリット1/費用が安い!!】
【メリット2/安全に長期間保管してもらえる。】
【メリット3/検認が不要になる。】
【メリット4/2つの通知制度がある。】

について
お話をしてきました。


今日は
前回の続きとして
「自筆証書遺言書保管制度」の注意点について
お話をしていこうと思います。

今回お伝えしたい注意点は3つです。
1つずつ説明していきますので、
最後までお付き合いいただけますと幸いです。

【注意点1/管轄法務局への事前の予約が必要。】

まず
1つ目の注意点です。

遺言書保管制度の
法務局(遺言書保管所)で行う全ての手続は
「管轄法務局」への
「事前予約が必要」だということです。

遺言書保管制度の手続は
その日のうちに処理をする必要があるため
手続を行うために一定程度の時間を要することになります。

予約をせずに
法務局(遺言書保管所)で手続を行おうとすると
先に手続をしている人の手続が終わるまでの間
かなりの長時間待たされてしまったり
最悪の場合
その日は手続を受け付けてもらえない可能性があるため
最初から
予約を必須としているわけです。

また、
その予約は
「管轄の法務局」へする必要があります。

管轄の法務局については
少々わかりにくいので
簡単にまとめると
以下のとおりとなります。

1、はじめて遺言書の保管の申請をするときは
  →遺言者の「住所地」、「本籍地」、「所有不動産の所在地」
   のいずれかを管轄する法務局(遺言書保管所)

2、(すでに遺言書を法務局へ預けている場合で)
  (1)新たに、遺言書の保管の申請をするとき
  (2)遺言書の原本の閲覧をするとき
  (3)遺言書の保管申請の撤回をするときは
  →すでに遺言書が保管されている法務局(遺言書保管所)

3、(1)モニターでの遺言書の閲覧をするとき
  (2)遺言書保管事実証明書の交付を受けるとき
  (3)遺言書情報証明書の交付を受けるとき
  →どちらの法務局(遺言書保管所)でもOK

より具体的に
大阪府下の法務局(遺言書保管所)について
管轄法務局の連絡先とその管轄地域をまとめたものを
以下に貼り付けますので
良ければご覧ください。

そして
予約をする際は
以下の3つの方法が選べます。

1、法務局手続案内予約サービスの専用ホームページでの予約
  (受付時間:24時間365日可能)
 【専用ホームページはこちら】
  https://www.legal-ab.moj.go.jp/houmu.home-t/

2、法務局(遺言書保管所)への電話予約
  (受付時間:平日8:30~17:15まで)

3、法務局(遺言書保管所)窓口での予約
  (受付時間:平日8:30~17:15まで)


1つ目の注意点をまとめると
遺言書保管制度の手続を利用する場合は
「管轄法務局を確認」のうえ
「事前予約」が必要ということです。

せっかく遺言書も書いて準備万端なのに
うっかり法務局への予約をし忘れて
手続ができなかった。。
なんてことになってしまわないように
ご注意ください。


【注意点2/高齢者にとって本人確認手続が難しいことがある。】

続いて
2つ目の注意点です。

遺言書保管制度を利用する場合は
「遺言者ご本人が」
必ず法務局に出向いて手続をする必要があります。

そのため
遺言書を残される方が
ご高齢で
足が悪かったり
障がいや疾患によって
法務局へ出向くことができないような場合は

この遺言書保管制度を利用するのではなく
公証人が
遺言者ご本人の自宅や入院先へ出張してきてくれる
公正証書遺言制度の利用を検討した方が良いかもしれません。


また
遺言書保管制度を利用する場合は
法務局で
遺言者ご本人が出頭してきているかを確認するため
本人確認書類の提示が必要とされています。

そして
その際に本人確認書類として要求されている書類は
以下のいずれか1点とされています。
・マイナンバーカード
・運転免許証
・運転経歴証明書
・旅券(パスポート)
・乗員手帳
・在留カード
・特別永住者証明書

上記のいずれも顔写真付きの公的証明書となっています。

顔写真付きの公的証明書によって
きちんと本人確認をするので
成りすましによって
勝手に遺言書が預けられてしまうといったことを
防止できるのですが

一方で
ご高齢の方が
これらの証明書を持っていないことが多い。
ということも事実ではないでしょうか?

上記の本人確認書類を持っていない場合は

遺言書保管制度を利用する前に
本人確認書類を作成するところから
スタートする必要があるということになってしまいますので
注意が必要です。


【注意点3/遺言書の内容までは確認してもらえない。】

最後に
3つ目の注意点です。

司法書士の視点から見ると
これが1番重要な注意点だと思います。

遺言者の方が
遺言書を書くからには
「残された人に負担をかけたくない。」であったり
「相続人同士で揉めて欲しくない。」などの理由があるかと思います。

そうすると
1番大切なのは
「遺言書の中身」だと思います。

つまり
遺言書に書かれた内容が
相続トラブルを防ぐために
適切かつ正確に書かれているか。
ということが大切だということです。

遺言書保管制度を利用した場合でも

法務局は
「保管をするうえで必要な範囲で」
「遺言書に形式的な問題がないか」
をチェックするにとどまるため

遺言書の内容については
自身で十分に注意して作成しておかないと

遺言書自体は有効だけれども
書かれている内容が不明確なため
色々な解釈が成り立ってしまったり

あるいは

矛盾する内容が記載されているために
遺言の内容を実現できないなど

かえって相続人間でトラブルになってしまうリスク
が残ることになります。


そうしたことにならないためには

遺言書保管制度を利用する前に
作成した遺言書について
専門家のアドバイスやチェックを受けておくことが
望ましいです。

そうすることで
費用を安く抑えながら
相続トラブルを十分に防ぐことができる遺言書を
安全確実に残すことができるからです。


もちろん
より相続トラブルのリスクを抑えたい場合には
公正証書による遺言を選択した方が良いケースもありますから

どの方法によって
遺言書を作成すべきかについて悩んでいるような場合にも
一度専門家のアドバイスを受けられた方が良いでしょう。


以上
「自筆証書遺言書保管制度」の4大メリットと
その注意点のお話でした。

せっかくできた便利な制度を
上手く使いこなして
残された人が
相続トラブルで困ってしまわないように
しっかりと準備をしておきたいですね。


いかがでしたでしょうか?
この記事をご覧になられた皆さまのお役に立てたのであれば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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