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ナビ
2019/03/16
取引自体はスムーズに完了しましたが、関東に行って感じたことがありました。
「共有持分買取業者の広告が増えたこと」です。
最近、関西でも見かけることはありましたが、関東ではその倍以上あったように思います。
では、共有持分買取業者とは何でしょうか?
例えば、親の相続をきっかけにその子であるAさん、Bさん、Cさんとで
それぞれ3分の1ずつ共有している親の自宅不動産について、
Aさんの持分3分の1の権利だけ買い取りますという不動産業者さんのことです。
今まではそういった業者さんは少なかったと思います。
なぜなら、このケースのAさんの権利だけでは、単独で不動産を売ったり、貸したりすることができないからです。
不動産を売ったり、貸したりできなければ、不動産業者さんとしても商売にならないですもんね。
それなのに最近はこれが増えてきています。
つまり、商売になっているんだと思います。
先ほどの例の自宅不動産に3000万円の価値があるとした場合、
Aさんの権利は3分の1ですから1000万と思いそうですが、
持分のみでは制限の多い権利ですので、その買取業者はそれよりかなり値引きをおこなって買い取ります。
その後、Bさん、Cさん、買取業者の共有状態としたうえで、
買取業者は利益を出すためにBさん、Cさんと交渉することが想定されます。
そして、ここからが法律の話になるんですが、それに一役買っていると思われるのが以下の民法の規定です。
第256条(共有物の分割請求)
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。
ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。
ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。
第258条(裁判による共有物の分割)
共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、
又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、
裁判所は、その競売を命ずることができる。
つまり、買取業者がBさんとCさんに対して、その持分を買取るなど提案交渉した結果、
話がまとまらない場合は、裁判所に分割方法を決定してもらうことができる。ということです。
さらに、分割方法としては、民法に定められている方法(現物分割、競売)以外にも、
価格賠償(一部または全部)も認めています。
「現物分割」とは実際に家を3等分する方法です。
家を3等分にするのができないように、実際上は難しいケースが多いかと思います。
「競売」は家を売って、その代金を3等分する方法です。
「価格賠償(一部)」は現物分割をした際の過不足を、多めに取得した人が少なめに取得した人に対して金銭で補填する方法です。
「価格賠償(全部)」は特定の誰かに家を取得させて、取得した人が権利がなくなる人に対して、
金銭で補填する方法です。
不動産業者さんによっては、BさんやCさんに対して、上記の裁判による方法をちらつかせて、
BさんCさんの権利も安く買い取る交渉をしているのではないかなと思われます。
AさんBさんCさんの全員がきちんと話し合うことができていれば、それぞれ1000万円手にしていたかもしれません。
また、第三者の買取業者と交渉したり、裁判をすることは、BさんCさんの望むところなんでしょうか。
もちろん、何が良い悪いかについては、人それぞれの価値観だとは思いますが、
人間関係、家族関係が疎遠になっている時代だからこそ成立するビジネスなのかなと感じさせられました。
今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。
へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝
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