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2019/08/24

上申書ってなに?(住民票、戸籍の附票の保存期間と絡めて)

おはようございます!
司法書士としてお仕事をしていますと
様々な書類を作成し、依頼者の皆さまにご説明することが非常に多いです。

その中でも1つ。
依頼者の皆さまが「?」となってしまう書類として、
「上申書」はその代表ではないかなと思います。

そこで今日は、この「上申書」について、説明させていただこうかと思います。

上申書とは、読んで字のごとく「上」に「申す」書類です。
司法書士として関与する手続において「上」とは、
「法務局」や「裁判所」が多いです。

では、何を「申す」のか?と言いますと、
手続上、要求されている書類が何らかの事情により提出できなかったり、
それらの書類だけでは証明が必要な事項を証明できないようなときに、
その事情であったり、証明が必要な事項について、書面上で説明していくことになります。


実際によくあるケースとしては、
法務局に対して、住所変更登記や相続登記を行う際に、
住所証明書(住民票や戸籍の附票)が提出できないことによって、
「上申書」を作成するケースです。

前提の知識として、
不動産の登記手続においては、
不動産の所有者は、「住所」と「氏名」だけで特定されているため、
引越し等で住所変更をしていたけれども、住所の変更登記手続をしていない場合には、
不動産の登記簿には「過去の住所」と「その人の氏名」が記載されていることになります。

そのため、住所変更登記を行う際には、
間違って、違う人を所有者として登記してしまわないように、
「登記簿に記載されているその人」と「登記申請を行うその人」が同一人かを確認するため、
過去の住所から現在の住所までの住所移転の経緯全てがつながる住所証明書が必要です。

また、相続登記を行う際には、
亡くなってもいない人の不動産の名義を、間違って変更してしまわないように、
「登記簿に記載されているその人」と「戸籍上亡くなったとされるその人」が同一人かを確認するため、
同様の住所証明書が必要になります。

それでは、なぜ、必要な住所証明書が提出できないのか?
と言いますと、
住民票や戸籍の附票は、法令(住民基本台帳法施行令第34条)で、
消除されて除票となってから5年間保存することを各市町村に義務付けていますが、
住民票については、引越しや死亡によって消除されて除票になりますし、
戸籍の附票については、転籍や戸籍に記載されている人が結婚、離婚、死亡等により
結果的に全員が戸籍から消除された場合に除票になります。

そして、除票になって5年後には、保存義務がなくなるので、
各市町村は条例等でさらに保存しておこうとしない限りは、
いわゆる廃棄処分をすることになります。

その結果、
転勤族の人など、過去に数回住所を変更されていたりすると、
公的な証明書では、過去の住所を証明することができなくなります。

そういった場合において、
「上申書」を作成し、その人の過去の住所について説明を行っていくことになります。
しかしながら、上申書のみでは当事者が自ら証明しただけに過ぎませんので、
上申書作成者の印鑑証明書や不動産の権利証、固定資産税都市計画税納税通知書の原本など、
通常、所有者本人でなければ所持していないものの提供を求められることが一般的です。

こうして、なりすまし等による間違った登記のリスクを低減したうえで、
法務局は登記手続を行うことになっています。

ちなみに、
住所証明書については、2019.8.10付「戸籍の附票ってなに?」
上申書の作成者については、2019.8.3付「上申書の作成者は未成年者?親権者?特別代理人?」
で関連記事を掲載していますので、良ければご覧ください。


※補足説明
令和1年5月24日、「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上
並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利
用に関する法律等の一部を改正する法律」(「デジタル手続法」という。)が成立しました。
これにより、住民基本台帳法施行令の一部も改正され、市町村長が、住民票や戸籍の附票
の除票を、これらに係る住民票又は戸籍の附票を消除し、又は改製した日から「150年間」
保存することを定めることになりました。
なお、デジタル手続法のうち住民基本台帳法の一部改正に関する部分の一部については、
デジタル手続法の公布の日から起算して20日を経過した日から施行することとされており、
将来的には住所証明書が提供できないケースも少なくなるものと思われます。
しかしながら、これまでに廃棄処分されたものは対象外ですので、当面は上申書による対応
が続くことになるでしょう。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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司法書士 山内勇輝

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