へいわ法務司法書士事務所

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上申書ってなに?(住民票、戸籍の附票の保存期間と絡めて)

おはようございます!
司法書士としてお仕事をしていますと
様々な書類を作成し、依頼者の皆さまにご説明することが非常に多いです。

その中でも1つ。
依頼者の皆さまが「?」となってしまう書類として、
「上申書」はその代表ではないかなと思います。

そこで今日は、この「上申書」について、説明させていただこうかと思います。

上申書とは、読んで字のごとく「上」に「申す」書類です。
司法書士として関与する手続において「上」とは、
「法務局」や「裁判所」が多いです。

では、何を「申す」のか?と言いますと、
手続上、要求されている書類が何らかの事情により提出できなかったり、
それらの書類だけでは証明が必要な事項を証明できないようなときに、
その事情であったり、証明が必要な事項について、書面上で説明していくことになります。


実際によくあるケースとしては、
法務局に対して、住所変更登記や相続登記を行う際に、
住所証明書(住民票や戸籍の附票)が提出できないことによって、
「上申書」を作成するケースです。

前提の知識として、
不動産の登記手続においては、
不動産の所有者は、「住所」と「氏名」だけで特定されているため、
引越し等で住所変更をしていたけれども、住所の変更登記手続をしていない場合には、
不動産の登記簿には「過去の住所」と「その人の氏名」が記載されていることになります。

そのため、住所変更登記を行う際には、
間違って、違う人を所有者として登記してしまわないように、
「登記簿に記載されているその人」と「登記申請を行うその人」が同一人かを確認するため、
過去の住所から現在の住所までの住所移転の経緯全てがつながる住所証明書が必要です。

また、相続登記を行う際には、
亡くなってもいない人の不動産の名義を、間違って変更してしまわないように、
「登記簿に記載されているその人」と「戸籍上亡くなったとされるその人」が同一人かを確認するため、
同様の住所証明書が必要になります。

それでは、なぜ、必要な住所証明書が提出できないのか?
と言いますと、
住民票や戸籍の附票は、法令(住民基本台帳法施行令第34条)で、
消除されて除票となってから5年間保存することを各市町村に義務付けていますが、
住民票については、引越しや死亡によって消除されて除票になりますし、
戸籍の附票については、転籍や戸籍に記載されている人が結婚、離婚、死亡等により
結果的に全員が戸籍から消除された場合に除票になります。

そして、除票になって5年後には、保存義務がなくなるので、
各市町村は条例等でさらに保存しておこうとしない限りは、
いわゆる廃棄処分をすることになります。

その結果、
転勤族の人など、過去に数回住所を変更されていたりすると、
公的な証明書では、過去の住所を証明することができなくなります。

そういった場合において、
「上申書」を作成し、その人の過去の住所について説明を行っていくことになります。
しかしながら、上申書のみでは当事者が自ら証明しただけに過ぎませんので、
上申書作成者の印鑑証明書や不動産の権利証、固定資産税都市計画税納税通知書の原本など、
通常、所有者本人でなければ所持していないものの提供を求められることが一般的です。

こうして、なりすまし等による間違った登記のリスクを低減したうえで、
法務局は登記手続を行うことになっています。

ちなみに、
住所証明書については、2019.8.10付「戸籍の附票ってなに?」
上申書の作成者については、2019.8.3付「上申書の作成者は未成年者?親権者?特別代理人?」
で関連記事を掲載していますので、良ければご覧ください。


※補足説明
令和1年5月24日、「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上
並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利
用に関する法律等の一部を改正する法律」(「デジタル手続法」という。)が成立しました。
これにより、住民基本台帳法施行令の一部も改正され、市町村長が、住民票や戸籍の附票
の除票を、これらに係る住民票又は戸籍の附票を消除し、又は改製した日から「150年間」
保存することを定めることになりました。
なお、デジタル手続法のうち住民基本台帳法の一部改正に関する部分の一部については、
デジタル手続法の公布の日から起算して20日を経過した日から施行することとされており、
将来的には住所証明書が提供できないケースも少なくなるものと思われます。
しかしながら、これまでに廃棄処分されたものは対象外ですので、当面は上申書による対応
が続くことになるでしょう。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
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 まずは一度無料相談をご利用ください。

墓参り

おはようございます!

皆さんに夏バテ、熱中症に気を付けてくださいと言っておきながら
若干夏バテ気味でございます。

さて、今日は法律のお話ではなく、
私が友人のお墓参りに行ってきたお話です。

私は、大学時代の4年間、大阪市立大学の法学部に在学していたのですが、
当時、朝から夕方まで勉強や食事をともにし、
時には一緒に遊びに行ったりと、仲良くしている友人がいました。

まさにお人好しという言葉がピッタリで、
いつも私や周囲の人間の心配をして、自分のことは後回しにするような友人でした。

彼は私と同じく、司法書士を目指していていたので
「一緒に司法書士になろう!」と、お互い励まし合いながら、日々試験勉強をしていました。

ところが、大学4年生の夏、
司法書士試験の日を目前に、彼は亡くなってしまいました。
「自宅の火災に巻き込まれた。」と、友人から連絡を受けたときは
真実だと受け止められず、涙も言葉も出ませんでした。

その後、私は試験に合格し、
大阪の司法書士事務所で長く修行を積み、
ようやく、この事務所を上本町の地に開業することができました。

それだけで事務所の立地を選んだわけではありませんが、
この上本町の地は、亡くなった彼が眠るお墓のある場所でもあります。

そこで先日、
私と彼のほかに、いつも行動を共にしていた仲良しメンバーが帰阪する機会にあわせて
皆で彼のお墓参りに行ってきました。

真夏の日差しが、少し髪が薄くなった頭皮には痛いくらいで、
当時からの年月の経過を感じさせられましたが、
彼のお墓をきれいに磨き、各々が彼との久々の再会の時間を過ごすことができました。

私自身は、お人好し過ぎるくらい人のために尽くした彼の姿を思い出しつつ、
改めて「人のために尽くし、このお仕事を通じて人を幸せにしたい。」という
初心を大切にしていくことを彼に誓いました。


これからもこの上本町の地で
司法書士として、彼の思いとともに、依頼者ひとりひとりを幸せにできるよう
精一杯頑張っていきます。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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司法書士 山内勇輝

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戸籍の附票ってなに?

先日、今年2回目のソフトボールの練習会に行ってきました!

前回は結局1週間近く筋肉痛になり、作った傷も3週間近く治らなかったので、
今回は同じ失敗は繰り返すまいと
「飛び込まない」、「滑り込まない」、「無理しない」の
3つの約束を自身に課して参加しました(笑)

高校まで野球をしていて、まだまだ身体が動くものだと頭が勘違いしているので、
気を抜くと、ついつい当時のようなプレーをしてしまうんですよね…。

8割くらいの感覚でプレーをすると
ケガもせず、意外と良いプレーもでき、
むしろ、こっちの方が良いのではないかと思うくらいでした。
何事も少し肩の力を抜いてやるくらいの方が、良いのかもしれませんね!

しかしながら、筋肉痛にはバッチリなってしまいました…。
今回も5日くらい続きまして、まだまだ運動不足ということでしょうか(笑)


さてさて、今回はお客さまから良くご質問をいただく
「戸籍の附票ってなに?」
について書いていこうかと思います。

名古屋市のホームページからですが、
非常にわかりやすい見本がありましたので、こちらをご覧ください。
戸籍の附票、今までに見たことはありましたか?
我々司法書士は良く使う証明書なのですが、
一般のお客さまからすると、あまり馴染みのない証明書かもしれません。

戸籍の附票は、
多くの場合、住所の変更を証明したいときに使う証明書です。

たくさんの会社や公的機関に対して、住所の登録をしているかと思いますが、
引越し等で、登録時の住所と現住所が異なっている場合に、
現住所に登録変更するために使う。といったイメージです。

その中でも司法書士が「戸籍の附票」のご用意をお願いする場面として多いのは
「住所変更登記」と「相続登記」です。

不動産の取得すると、
所有権移転登記(一般の方は、名義を入れると言うと分かりやすいかもしれません。)
を行い、登記簿に所有者の「住所・氏名」が登記(登録のことです。)されます。

そして、その後に名義人の住所に変更があった場合は、
(一部の例外を除いて)住所の変更登記をしないといけませんし、
名義人が亡くなって、相続登記をする場合には、
本当に名義人が亡くなったのか確認するために、(同姓同名の別人ではないかを確認するために、)
名義人の登記簿上の住所から現住所までの住所移転の経緯を証明する必要があります。

そこで、戸籍の附票によって、住所移転の経緯を証明するわけです。

ところで、住所移転の経緯を証明するものとしては、他にも住民票が有名です。
しかしながら、A市からB市へ、B市からC市へ…のように、
住居を転々と引越しされている方については、
住民票が該当の市区町村における住所しか証明できない関係上、
手間と時間がかかったり、場合によっては証明書が発行できないケースがあります。

戸籍の附票というのは、その名前のとおり
「戸籍」に「附属」した帳票なので、
戸籍に記載されている人の住所を証明してくれます。

つまり、上記のようにA市からB市へ、B市からC市へ…のように、
住居を転々と引越しされている方であっても、
本籍がずっとA市であれば、
A市ですべての住所移転の経緯についての証明書を発行してもらえるわけです。

証明書を発行してくれる役所について、再度確認ですが、
住民票は「住所を置いている役所」で、
戸籍の附票は「本籍を置いている役所」です。

ただ、戸籍の附票にも弱点があります。
戸籍の附票は戸籍に連動して、住所を証明しているので、
転籍(本籍を変えること)や、結婚・離婚等で本籍が変わっている人については、
逆に、住所移転の経緯を証明しづらいことがあります。

住民票と戸籍の附票、どちらが自身の住所を証明しやすいのかを知っておくと
煩雑な住所変更の手続も少し便利になりますね。


いかがでしたでしょうか?
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上申書の作成者は未成年者?親権者?特別代理人?

こんにちは!
今日は司法書士ならではの専門的な話題です。

相続登記の際に、
被相続人の住所沿革がつかず、被相続人の同一性の証明ができないときの上申書ですが、
上申書の作成者の中に未成年者が含まれる場合、
署名・押印のうえ、印鑑証明書を添付すべき者は誰かというお話です。

まず相続関係ですが、
被相続人が甲、その相続人が長男の乙、長女の丙のところ、
長男の乙がその後に死去され、その相続人として、未成年のAとBがいました。
なお、未成年のAとBの親権者は、乙と離婚をしたXです。

遺産分割協議については、
丙、Aの親権者X、Bの特別代理人Yで行い、
遺産分割協議書に署名・押印・印鑑証明書を添付するのも
丙、X、Yの3名となります。

では、被相続人の住所沿革についての上申書についても、
同様に、丙、X、Yの3名となるのでしょうか?

結論からいいますと、
丙、X(未成年のAとBの両方を代理)で差し支えありません。

その理由としては、
特別受益証明書の作成について、
民法826条の利益相反行為に該当せず、親権者のみで作成可能とした
昭23.12.18民甲95号回答があるところ、

上申書の内容も「被相続人の住所の沿革という事実」に関する証明であるため、
利益相反は生じておらず、
遺産分割協議に関する特別代理人が関与する余地はないため。
ということになります。


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相続登記は早くしないと危険?!(相続させる遺言等の効力と対抗要件について)

おはようございます!
いよいよ夏ですね~。
私の自宅のまわりでも蝉の鳴き声が聞こえてきて、夏の訪れを感じさせてくれます。

このブログを見てくださっている皆さまの地域ではいかがでしょうか?
最近は夜でもかなり暑くなってきていますので、
夏バテしないように、体調管理に気をつけてくださいね。

さて、少し相続に関する話題から逸れていたんですが、
もうひとつ、7月1日に改正施行された相続法について、
お伝えさせていただければと思います。

今回は「相続登記は早くしないと危ないですよ。」という話題です。

今回の法改正により、
相続による不動産所有権の承継は
遺産分割、遺贈、相続させる旨の遺言のいずれによるかどうかにかかわらず、
法定相続分を超える部分については、
登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。
ということになりました。

特に今回の法改正で変化があったのが、
「相続させる旨の遺言」です。

いわゆる「相続させる旨の遺言」について、ざっくりと説明すると、
遺言書に「相続させる」という文言が記載がされていて、
相続人に対して、全遺産に関して指定した相続分割合を与えたり(相続分の指定)、
相続人に対して、特定の財産の分け方を指定して与えたり(遺産分割方法の指定)
する内容の遺言のことを言います。

改正前は、
「相続させる旨の遺言」によって権利を取得した場合、
判例は、登記をしなくてもその権利を第三者に対抗できるとしていました。
(最判平5.7.19裁判集民169・243,最判平14.6.10家月55・1・77)

判例では、相続させる旨の遺言の効力が「包括承継」であり、
相続人が相続の発生と同時に即時その権利を取得する点を重視して、
このような判断をしていましたが、
一方、相続債権者(被相続人に貸付などをしていた金融機関など)は、
遺言書の内容であったり、そもそも遺言の存在を知らないことが一般的ですので、
上記判例によって差押えが負けてしまう場面が発生してしまっていました。

上記のような結論が不平等であること、
遺産分割や遺贈によって、相続人が権利を取得した場合との結論のバランスから、
今回、改正により手当てがなされました。

改正後は、
先述のとおり、
「法定相続分を超える部分については、登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。」
となり、
例えば、被相続人の相続人として、長男と次男がいるケースで、
遺産分割や遺贈、あるいは、相続させる旨の遺言によって
被相続人名義の不動産を長男が100%、次男が0%の割合で取得したにもかかわらず、
登記をしないで放置しているうちに
被相続人に金銭を貸し付けた債権者(金融機関など)が、
この不動産を、長男50%、次男50%の法定相続分で取得したと考えて
差し押さえの登記をしたときは、
長男は、自らの法定相続分50%を超えて取得した残りの50%部分については、
第三者である債権者(金融機関など)に対抗できないことになります。

つまり、
法定相続分の割合以外で遺産を取得した相続人は、
急いで登記手続を完了しておかないと、
被相続人や他の相続人の債権者によって差押え等がなされてしまったり、
他の相続人が勝手にその不動産を売却して登記をしてしまったりして、
自らの権利が失われてしまう可能性があるということです。

私個人の印象としては、
相続に伴う登記手続を長く放置されている人が多いように感じています。
相続に伴う登記手続は面倒なことも多いかもしれませんが、
多くの場合、放置することで手続が簡単になることはなく、
相続人が認知症になってしまったり、
相続人が亡くなることで疎遠な相続人が増えてしまったり、
ますます複雑化していく一方です。

せっかく自身が権利を取得したのであれば、
その権利を失ってしまうことのないように、
早めに登記手続を行っておくことをおすすめいたします。


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毎年していますか?資産の総額の変更登記について

おはようございます!

今年は梅雨が遅れてやってきたと思ったら、突然数年に1度レベルの豪雨になったり、
日中の湿度・気温がもの凄く高くなったり、夜はひんやりしたりと…
変な天気が続いていますね。

そのせいもあってか?先日うっかり風邪をひいてしまいました。
鼻水が止まらなくなり、しばらく鼻声になっていましたが、
弊所の近くにはお医者さんがとても多いので、初期症状の段階でお薬をいただき、
すぐに回復しました!!

さて、そんな良くお世話になるお医者さんですが、
個人医院ではなく、医療法人として運営されていることが多いです。

そして、私たち司法書士は医療法人の登記手続も行っているのですが、
その中でも、毎年登記をしないといけない
「資産の総額の変更登記」について書かせていただきます。

「資産の総額」というのは、
医療法人をはじめ、社会福祉法人や学校法人など、
組合等登記令を根拠とする法人において登記することを求められている事項で、
貸借対照表上の資産(プラスの財産)から負債(マイナスの財産)を控除した
純資産の部に計上される金額のことを指しています。
(資産の総額をみると、法人の規模や業績が少し分かってきますね。)

そして、この資産の総額については、
組合等登記令第3条において
「毎事業年度の末日から3カ月以内に登記してください。」とされています。

多くの法人では、この事業年度を
4月1日から翌年3月31日までとしていることから、
多くの法人では、毎年、6月30日までに
資産の総額変更登記が必要ということになっています。

ちなみに、この期間を経過しても登記を怠っていると、
裁判所から法人代表者(理事長など)の住所地宛てに
「過料を支払いなさい。」という内容の書面が送付されることとなります。

ある日突然、裁判所から書類が送られてきたらビックリしますよね。
しかも、法人代表者(理事長など)は過料を払う義務があります。

役員変更の登記手続などをきっかけに
初めて弊所にご依頼いただいた法人様の登記簿を確認すると、
意外と、この資産の総額変更登記を1年分忘れているケースが多いように感じます。

毎年しなければならないことなので、忘れずに登記手続を行うようにしましょう。

なお、手続のために弊所がご用意をお願いしている書類は
「貸借対照表」のみです。

書籍などを見ても、財産目録を別途作成して登記手続を行う記載例が多いようなので、
もっとご負担を小さく、手続を行うことができる貸借対照表の書式サンプルを
今回は掲載させていただきます。


いかがでしたでしょうか?
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老後2000万円問題

おはようございます!

最近よく耳にする話題といえば、「老後2000万円問題」ではないでしょうか?

報道では、これに対して「政治の怠慢だ!」とか、「支払った年金を返せ!」とか、
怒りや不安の声が良く取り上げられていますよね。

そして、来週は参院選挙です。
選挙の論戦でも年金問題は、1つの争点になるんでしょうね。


今、このタイミングを逃して、
自身の年金と老後に必要な資産について、考えるきっかけはないのでしょうか?

ちなみに、「老後に2000万円が不足」というのは、
「夫65歳以上、妻60歳以上の無職の夫婦の世帯」においての、
支出と年金収入の平均値から算出されたものですから、
個々人の老後の不足額を判断するうえで参考になるものではありません。

実際、私のような自営業者の場合、
そもそも年金が国民年金で、その分年金収入が小さくなるため、
「老後5000万円問題」といったところでしょうか?
(モデルケースよりもかなり深刻?ですね…。)


「老後2000万円問題」と言われ始めた当初は、感情的な議論が多かったのですが、
最近は少しずつ、丁寧な解説をした記事も増えてきている様子です。

自身の老後、
いつまで働き、
どんな生活をしたいのか、
それにはどれくらいのお金が必要で、
現状想定される収入額はいくらなのか…。

きちんと考えて、
資産形成の専門家のアドバイスも受けながら、
いわゆる自助努力といわれる対策(貯金、投資、保険、もっと働くなど)
を早めに取りたいところです。


そして、私はもっともっと働かないと!(笑)


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
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相続人でない親族の介護が報われる「特別寄与料」制度の創設について

いつも弊所のブログ記事を読んでいただき、ありがとうございます。

7月1日、大幅に改正された相続法の大部分が施行されることに伴い、
最近は相続に関する記事を重点的に書かせていただいております。

そして、今回も相続に関する話題を書かせていただこうと思います。


長男の配偶者が長男の父母(配偶者からみると義父母)を長年介護していますが、
長女、次男は遠方に暮らしていることもあり、介護には一切関与していません。
このようなケースは非常に良くあります。

このケースにおいて、長男が義父母より先に亡くなってしまい、
その後、義父母の相続が発生したような場合では、
長男の配偶者がどれほどその介護に時間や労力を費やしていたとしても、
義父母の相続に関して、
相続人ではない亡長男の配偶者が、遺産を受け取る権利は認められず、
相続人である長女と次男のみが、相続人として遺産を受け取ることになっていました。

これでは、親族間で不公平ではないかという問題意識から、
このたびの相続法改正で、
亡長男の配偶者をはじめとする親族が、一定の要件のもとで、その貢献に応じて、
被相続人の相続に関して、「特別寄与料」の請求ができることとなりました。
創設された規定は以下のような内容となっています。

被相続人に対して、
(1)無償で、
(2)療養看護その他の労務の提供をしたことにより、
(3)被相続人の財産の維持又は増加について、
(4)特別の寄与をした
(5)被相続人の親族(相続人や相続の放棄をした者等を除く。以下、「特別寄与者」という。)は、
相続の開始後、
(6)相続人に対し、
(7)寄与に応じた額の金銭の支払いを請求することができる。

以下、それぞれの要件について、さらに解説していきます。

(1)「無償で」とは、
特別寄与者が、被相続人から、労務の対価として、又は生前贈与や遺贈等によって、
労務の実質的な対価を受け取っていないことが要件となっています。

(2)「療養看護その他の労務の提供をしたことにより」とは、
特別の寄与の具体的行為は、「療養看護その他の労務の提供」に限定されています。
療養看護は例示なので、介護はもちろん、被相続人の事業の手伝いをすることも含まれます。
一方で、金銭の貸付などの財産上の給付については、本制度の対象外です。
※なお、貸付けた金銭については、被相続人の債務であるため、
 これを相続人に請求することで解決可能であると考えられます。

(3)「被相続人の財産の維持又は増加について」とは、
特別の寄与行為の結果、被相続人の財産を維持できたり、あるいは増加した。
というように、特別の寄与行為と財産の維持・増加の間に因果関係が認められることが必要です。
例えば、長男の配偶者が介護することで、介護サービスに支払う費用が節約できた。
というような事情が必要で、財産上の効果を伴わない精神的な援助等(付き添いなど)は、
特別の寄与に当たらないと考えられます。

(4)「特別の寄与をした」とは、
特別の寄与とは、被相続人との身分関係に基づいて通常期待されるような程度
を超える貢献をしたことを意味すると解釈されています。
本制度において、特別寄与料を請求できる人は、後述する「親族」であることや、
現行の寄与分制度における解釈との関係から、
「身分関係に基づいて通常期待されるような程度」は低いとも考えられますが、
実際どの程度の貢献がなされた場合に、認められるかの基準については、
今後の実務の積み重ねを注視していく必要があるものと思われます。

(5)「特別寄与者となりうる被相続人の親族」とは、
特別寄与者として認められる範囲として、改正法は広く「親族」としました。
「親族」というのは、配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族のことをいい、
子の配偶者もこの中に含まれます。
一方で、内縁関係や事実婚、同性婚のような場合は、この中に含まれないことになります。

(6)「相続人に対し」とは、
特別寄与料を負担するのは、特別の寄与として療養看護その他の労務の提供を受けた
被相続人についての相続における各相続人となります。
特別受益を受けている等によって、具体的相続分のない相続人についても、
法定相続分、あるいは指定相続分に応じて特別寄与料を負担することになります。
なお、特別寄与料は、被相続人の債務(相続債務)ではなく、相続人固有の債務です。

(7)「寄与に応じた額の金銭の支払いを請求」とは、
特別寄与料は、金銭での支払いを求める権利で、
まずは、相続人との間での協議によってその具体的金額を決定していくこととなります。
しかしながら、協議が調わないときや協議ができない場合には、
家庭裁判所に対して、特別寄与料を決定するよう請求することが可能になっています。
家庭裁判所における特別寄与料の算定は、
寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して定めることとされており、
現行の寄与分の算定と同様の基準・方法になると考えられています。
具体的には、
「療養看護を外注した場合の日当分×日数×(親族の相互扶助義務を考慮した減額割合)」
によって計算され、実際には数百万円程度になることが多くなるでしょう。
なお、家庭裁判所へ請求する場合には、期限があることに注意が必要です。
特別寄与者が相続の開始および相続人を知った時から6カ月、
または相続開始の時から1年経過した場合には、権利行使することができなくなります。


本制度によって、
先の亡長男の配偶者のような人の貢献に報いることができるようになりました。
その一方で、特別寄与分を請求される相続人としては、取り分が減ることに対して納得がいかず、
これまでよりも相続争いが複雑化する可能性もあります。


特別寄与分の請求による相続争いを防止するためには、

特別寄与分を請求する人においては、
被相続人とのメール等のやりとりを残しておく、
療養看護を行った記録を正確につけておく、
療養看護のために要した費用の領収書・レシートを残しておく等
の対応をしておく必要があります。

被相続人においては、
特別寄与者に対して、一定額の贈与を行っておく、
遺言書で財産を受け取れるようにしておく等
自らの死後、特別寄与者と相続人とが、争いにならぬように手当をしておく必要があります。

また、相続におけるトラブルは、当事者の人間関係の希薄さも一因です。
相続人においては、
特別寄与者とコミュニケーションを定期的にとり、
感謝の気持ちを伝えたり、費用の一部負担をする等
関係を良好に保っておく努力が必要です。


相続手続を円満かつスムーズに進めるには、
被相続人、相続人、その他親族それぞれの生前の準備・対策が非常に重要です。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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遺産分割前に相続人の1人が預貯金を勝手に引き出した場合はどうなる?

おはようございます!

最近はテレビ、新聞、雑誌など各種メディアで、
相続や認知症の問題について取り上げられることが多くなってきました。

その影響なのか、
これまで、これらの問題に実際に直面してからご相談に来られる方が多かった印象ですが、
最近では、問題が発生する前にご相談に来られる方が徐々に増えてきているように感じます。

多くの方々が、これらの問題の深刻さや事前対策の重要性を認識してくれていることは
非常に良いことだと思いますし、
弊所でも引き続き、様々な情報提供をさせていただきます。


さて、今日も前週に続いて、
法改正により、2019年7月1日(月)にスタートする相続に関する新制度のお知らせです。


遺産分割に関して、こんなご質問をよくいただきます。

「親の死後、同居していた相続人が、
親のキャッシュカードと暗証番号を利用して、親名義の預貯金を勝手に引き出していますが、
これから遺産分割を行う際、当然にその相続人の取り分は少なくなるんですよね?」


法改正前の家庭裁判所の実務では、
遺産分割の対象となる財産とは、
「相続開始時に存在し」かつ「遺産分割時に存在する」財産とされていたため、
上記の質問のケースのように、
相続開始から遺産分割までに処分された財産は、相続人全員の合意がない限り、
遺産分割の対象ではないとされていました。
そのため、相続人は、処分した相続人に対して、
遺産分割とは別個に、不法行為又は不当利得に基づく取得財産の返還請求を行う必要がありましたが、
必ずしもこれらの請求が可能とは限らず、
結果的に、勝手に預金を引き出した相続人が得をしてしまう。ということがありました。

例えば、
被相続人Aの相続人は、その子であるB、Cのみ、
遺産は、預貯金1000万円(X銀行に500万円、Y銀行に500万円)であるケース。
Aの死後、同居していたBは勝手にX銀行から500万円を引き出しました。
この場合、Bが同意しない限り、
遺産分割協議の対象財産は、Y銀行の500万円のみとなり、
遺産分割協議においては、Bが250万円、Cが250万円取得することとなります。
Cは別途、Bに対して、Bが取得したX銀行の500万円のうち、
250万円を返還するよう請求することとなりますが、
Bが既に返還すべき250万円を持っていないような場合には、
Cは結果的に損をしてしまうということになってしまいます。

また、先週の記事にも書かせていただいた「遺産分割前の相続預金の一部払戻し制度」では、
相続人がこの制度を利用して払戻しを受けた預貯金は、
遺産の一部の分割によって取得したものとみなされることとなりましたので、
上記の質問のケースのように正規の手続を経ずに払戻しを受けた場合であっても、
同様に取り扱うことが公平であるという考え方もありました。

そうした経緯から今回の法改正がされ、今後は次のような取り扱いとなります。

相続開始時に被相続人の遺産に属する財産が、遺産の分割前に処分されており、
相続人全員の同意がある場合、
(なお、相続人の一人又は数人が財産を処分した場合は、同人の同意を得ることを要しない。)
遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合についても、
公平の理念から、遺産分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
こととなりました。

つまり、勝手に引き出された預貯金(遺産から漏れ出した財産)については、
引き出した相続人が同意しなくても、
一旦遺産とみなして(遺産に含めて)、
改めて、引き出した相続人がその預貯金を取得したという遺産分割を行うことで、
合理的かつ公平な解決ができる可能性が高まりました。

ただし、注意すべき点があります。
勝手に処分をした相続人が明らかに特定されているときは、その相続人の同意は不要ですが、
その相続人がその事実を否定していて、証拠等もなく明らかに特定ができない場合は、
この取り扱いはできないこととなります。

実際の相続の現場では、こういったことも起こりえます。

できる限り相続人間で公平な遺産分割ができるように、今回の法改正があったわけですが、
実際に公平な遺産分割を実現するためには、
不正行為が行われたり、また、その疑いをかけられないように予防することが大切です。

相続が発生したら、速やかに預貯金口座は凍結して、不正な出金を防いだり、
遺産分割前に立て替えた費用がある場合は、領収書を残しておくなど、
適切な対応が必要です。

さらに、相続は法律や税金だけの問題ではありません。
親族間の感情の問題も絡み合います。
あらぬ不正を疑われ、争いに発展することのないよう十分に気を付けたいものです。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
 明るく穏やかな雰囲気の事務所です。
 まずは一度無料相談をご利用ください。

相続した預金を1人で一部引き出す方法が法改正で認められました(遺産分割前の相続預金の一部払戻し制度)

今日は、法改正により、2019年7月1日(月)にスタートする便利な新制度のお知らせです。

新制度の内容ですが、
亡くなった人(被相続人)の預貯金について、
遺産分割協議が成立していなくても、
家庭裁判所の判断を得なくても、
相続人の1人がその一部の払戻しを受けられるようになりました。
これまで、預金の名義人が亡くなった後は、
相続人間で遺産分割協議が成立したり、
家庭裁判所の判断を得るまでは、
預金の払戻しができませんでした。

そのため、葬儀費用、被相続人の債務の支払いや生活費など、
被相続人の死後まもなく支払う必要のある費用を、
相続人は立替払いせざるを得ない事態が多く発生していました。

これは、次の2つが大きな原因でした。

1つ目は、
相続人間の遺産分割争いに金融機関が巻き込まれて
預金の払戻しを二重にしなければならなくなる事態を回避するため、
遺産分割協議が成立したり、家庭裁判所の判断を得るまでは、
金融機関としては預金の払戻しに応じないという金融機関の実務上の取扱いです。

2つ目は、
「被相続人の預貯金は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割承継されることはなく、
遺産分割の対象となると解釈することが相当である。」という内容の
最高裁判例(平成28年12月19日最高裁大法廷決定)です。

金融機関としても、相続人間の争いに巻き込まれて損失を被るわけにはいきませんし、
最高裁の判断も「預金も他の遺産と合わせて、相続人同士で話し合って公平に分けれるようにしましょう。」という内容で、
これ自体、不当な判断というわけではありませんが、
一方で、相続人全員の話し合いがまとまるまで、上記のような不便が生じていたことも事実です。

それが、今回の法改正によって、これが改善します。
法改正によってできた新制度の内容ですが、
各相続人は、相続預金を、口座ごと(定期預金の場合は明細ごと)に
以下の計算式で求められる金額については、
遺産分割協議が成立していなくても、
家庭裁判所の判断を得なくても、
金融機関から単独で払戻しを受けることができるようになりました。

ただし、払戻し金額には上限がありまして、
同一の金融機関(同一の金融機関の複数の支店に相続預金の口座がある場合は、その全支店)からの払戻しは、
150万円が上限になります。

(単独で払戻しができる金額の計算式)
相続開始時の預金額(口座・明細ごとの金額)×1/3×払戻しを求める相続人の法定相続分

具体例を1つ挙げて計算してみます。
相続人が、被相続人の妻とその間の子2名(長男、長女)で、
相続開始の預金額が1口座の普通預金2400万円であった場合。
長女が単独で払戻しを受けることができる金額は、以下のとおりです。
2400万円×1/3×1/4=200万円(上限金額150万円超)
→したがって、150万円が払い戻されます。

払戻しを受けた資金の使途については、制限はありませんが、
一般的には、葬儀費用、被相続人の債務の支払いや生活費など、
被相続人の死後まもなく支払う必要のある費用に充てられることが多くなるのではないでしょうか。

また、この払戻し手続には、以下の書類が必要です。
①被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの全て)
②相続人全員の戸籍謄本
③払戻しを求める相続人の印鑑証明書
④その他、該当の金融機関が求める書類


なお、この一部支払いを受けた相続預金については、
「当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす」とされ、
後日行われる遺産分割協議で話し合った結果、
その相続人が、一部支払いを受けた相続預金を取得することに決めた
ものと同じ効果(みなす)にします。とされています。

しかしながら、「最終的に」、「公平に」遺産を分けるには、
結局、遺産分割協議を行う必要があることは今後も変わりません。

立て替えた葬儀費用、被相続人の債務の支払いのために使った金銭や、
相続財産を管理するのにかかった費用を誰が負担するのか、
預金以外の財産を誰が取得するのかについての話し合い(遺産分割協議)は、
相続発生から時間が経てば経つほど、
費用の領収書などの資料を紛失したり、当事者の意欲が失われたり、
当事者が認知症になってしまったり、亡くなってしまったり等、
困難になっていくことが一般的です。

相続が起こると、様々な手続をする必要があり、相当慌ただしくなりますが、
弊所などの専門家を利用しながら、速やかに、そして円満に手続を行うことが重要です。


弊所では、本制度に関するご質問、その他相続手続全般に関するご相談も無料で承っております。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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上申書ってなに?(住民票、戸籍の附票の保存期間と絡めて)

おはようございます!
司法書士としてお仕事をしていますと
様々な書類を作成し、依頼者の皆さまにご説明することが非常に多いです。

その中でも1つ。
依頼者の皆さまが「?」となってしまう書類として、
「上申書」はその代表ではないかなと思います。

そこで今日は、この「上申書」について、説明させていただこうかと思います。

上申書とは、読んで字のごとく「上」に「申す」書類です。
司法書士として関与する手続において「上」とは、
「法務局」や「裁判所」が多いです。

では、何を「申す」のか?と言いますと、
手続上、要求されている書類が何らかの事情により提出できなかったり、
それらの書類だけでは証明が必要な事項を証明できないようなときに、
その事情であったり、証明が必要な事項について、書面上で説明していくことになります。


実際によくあるケースとしては、
法務局に対して、住所変更登記や相続登記を行う際に、
住所証明書(住民票や戸籍の附票)が提出できないことによって、
「上申書」を作成するケースです。

前提の知識として、
不動産の登記手続においては、
不動産の所有者は、「住所」と「氏名」だけで特定されているため、
引越し等で住所変更をしていたけれども、住所の変更登記手続をしていない場合には、
不動産の登記簿には「過去の住所」と「その人の氏名」が記載されていることになります。

そのため、住所変更登記を行う際には、
間違って、違う人を所有者として登記してしまわないように、
「登記簿に記載されているその人」と「登記申請を行うその人」が同一人かを確認するため、
過去の住所から現在の住所までの住所移転の経緯全てがつながる住所証明書が必要です。

また、相続登記を行う際には、
亡くなってもいない人の不動産の名義を、間違って変更してしまわないように、
「登記簿に記載されているその人」と「戸籍上亡くなったとされるその人」が同一人かを確認するため、
同様の住所証明書が必要になります。

それでは、なぜ、必要な住所証明書が提出できないのか?
と言いますと、
住民票や戸籍の附票は、法令(住民基本台帳法施行令第34条)で、
消除されて除票となってから5年間保存することを各市町村に義務付けていますが、
住民票については、引越しや死亡によって消除されて除票になりますし、
戸籍の附票については、転籍や戸籍に記載されている人が結婚、離婚、死亡等により
結果的に全員が戸籍から消除された場合に除票になります。

そして、除票になって5年後には、保存義務がなくなるので、
各市町村は条例等でさらに保存しておこうとしない限りは、
いわゆる廃棄処分をすることになります。

その結果、
転勤族の人など、過去に数回住所を変更されていたりすると、
公的な証明書では、過去の住所を証明することができなくなります。

そういった場合において、
「上申書」を作成し、その人の過去の住所について説明を行っていくことになります。
しかしながら、上申書のみでは当事者が自ら証明しただけに過ぎませんので、
上申書作成者の印鑑証明書や不動産の権利証、固定資産税都市計画税納税通知書の原本など、
通常、所有者本人でなければ所持していないものの提供を求められることが一般的です。

こうして、なりすまし等による間違った登記のリスクを低減したうえで、
法務局は登記手続を行うことになっています。

ちなみに、
住所証明書については、2019.8.10付「戸籍の附票ってなに?」
上申書の作成者については、2019.8.3付「上申書の作成者は未成年者?親権者?特別代理人?」
で関連記事を掲載していますので、良ければご覧ください。


※補足説明
令和1年5月24日、「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上
並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利
用に関する法律等の一部を改正する法律」(「デジタル手続法」という。)が成立しました。
これにより、住民基本台帳法施行令の一部も改正され、市町村長が、住民票や戸籍の附票
の除票を、これらに係る住民票又は戸籍の附票を消除し、又は改製した日から「150年間」
保存することを定めることになりました。
なお、デジタル手続法のうち住民基本台帳法の一部改正に関する部分の一部については、
デジタル手続法の公布の日から起算して20日を経過した日から施行することとされており、
将来的には住所証明書が提供できないケースも少なくなるものと思われます。
しかしながら、これまでに廃棄処分されたものは対象外ですので、当面は上申書による対応
が続くことになるでしょう。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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司法書士 山内勇輝

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墓参り

おはようございます!

皆さんに夏バテ、熱中症に気を付けてくださいと言っておきながら
若干夏バテ気味でございます。

さて、今日は法律のお話ではなく、
私が友人のお墓参りに行ってきたお話です。

私は、大学時代の4年間、大阪市立大学の法学部に在学していたのですが、
当時、朝から夕方まで勉強や食事をともにし、
時には一緒に遊びに行ったりと、仲良くしている友人がいました。

まさにお人好しという言葉がピッタリで、
いつも私や周囲の人間の心配をして、自分のことは後回しにするような友人でした。

彼は私と同じく、司法書士を目指していていたので
「一緒に司法書士になろう!」と、お互い励まし合いながら、日々試験勉強をしていました。

ところが、大学4年生の夏、
司法書士試験の日を目前に、彼は亡くなってしまいました。
「自宅の火災に巻き込まれた。」と、友人から連絡を受けたときは
真実だと受け止められず、涙も言葉も出ませんでした。

その後、私は試験に合格し、
大阪の司法書士事務所で長く修行を積み、
ようやく、この事務所を上本町の地に開業することができました。

それだけで事務所の立地を選んだわけではありませんが、
この上本町の地は、亡くなった彼が眠るお墓のある場所でもあります。

そこで先日、
私と彼のほかに、いつも行動を共にしていた仲良しメンバーが帰阪する機会にあわせて
皆で彼のお墓参りに行ってきました。

真夏の日差しが、少し髪が薄くなった頭皮には痛いくらいで、
当時からの年月の経過を感じさせられましたが、
彼のお墓をきれいに磨き、各々が彼との久々の再会の時間を過ごすことができました。

私自身は、お人好し過ぎるくらい人のために尽くした彼の姿を思い出しつつ、
改めて「人のために尽くし、このお仕事を通じて人を幸せにしたい。」という
初心を大切にしていくことを彼に誓いました。


これからもこの上本町の地で
司法書士として、彼の思いとともに、依頼者ひとりひとりを幸せにできるよう
精一杯頑張っていきます。


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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戸籍の附票ってなに?

先日、今年2回目のソフトボールの練習会に行ってきました!

前回は結局1週間近く筋肉痛になり、作った傷も3週間近く治らなかったので、
今回は同じ失敗は繰り返すまいと
「飛び込まない」、「滑り込まない」、「無理しない」の
3つの約束を自身に課して参加しました(笑)

高校まで野球をしていて、まだまだ身体が動くものだと頭が勘違いしているので、
気を抜くと、ついつい当時のようなプレーをしてしまうんですよね…。

8割くらいの感覚でプレーをすると
ケガもせず、意外と良いプレーもでき、
むしろ、こっちの方が良いのではないかと思うくらいでした。
何事も少し肩の力を抜いてやるくらいの方が、良いのかもしれませんね!

しかしながら、筋肉痛にはバッチリなってしまいました…。
今回も5日くらい続きまして、まだまだ運動不足ということでしょうか(笑)


さてさて、今回はお客さまから良くご質問をいただく
「戸籍の附票ってなに?」
について書いていこうかと思います。

名古屋市のホームページからですが、
非常にわかりやすい見本がありましたので、こちらをご覧ください。
戸籍の附票、今までに見たことはありましたか?
我々司法書士は良く使う証明書なのですが、
一般のお客さまからすると、あまり馴染みのない証明書かもしれません。

戸籍の附票は、
多くの場合、住所の変更を証明したいときに使う証明書です。

たくさんの会社や公的機関に対して、住所の登録をしているかと思いますが、
引越し等で、登録時の住所と現住所が異なっている場合に、
現住所に登録変更するために使う。といったイメージです。

その中でも司法書士が「戸籍の附票」のご用意をお願いする場面として多いのは
「住所変更登記」と「相続登記」です。

不動産の取得すると、
所有権移転登記(一般の方は、名義を入れると言うと分かりやすいかもしれません。)
を行い、登記簿に所有者の「住所・氏名」が登記(登録のことです。)されます。

そして、その後に名義人の住所に変更があった場合は、
(一部の例外を除いて)住所の変更登記をしないといけませんし、
名義人が亡くなって、相続登記をする場合には、
本当に名義人が亡くなったのか確認するために、(同姓同名の別人ではないかを確認するために、)
名義人の登記簿上の住所から現住所までの住所移転の経緯を証明する必要があります。

そこで、戸籍の附票によって、住所移転の経緯を証明するわけです。

ところで、住所移転の経緯を証明するものとしては、他にも住民票が有名です。
しかしながら、A市からB市へ、B市からC市へ…のように、
住居を転々と引越しされている方については、
住民票が該当の市区町村における住所しか証明できない関係上、
手間と時間がかかったり、場合によっては証明書が発行できないケースがあります。

戸籍の附票というのは、その名前のとおり
「戸籍」に「附属」した帳票なので、
戸籍に記載されている人の住所を証明してくれます。

つまり、上記のようにA市からB市へ、B市からC市へ…のように、
住居を転々と引越しされている方であっても、
本籍がずっとA市であれば、
A市ですべての住所移転の経緯についての証明書を発行してもらえるわけです。

証明書を発行してくれる役所について、再度確認ですが、
住民票は「住所を置いている役所」で、
戸籍の附票は「本籍を置いている役所」です。

ただ、戸籍の附票にも弱点があります。
戸籍の附票は戸籍に連動して、住所を証明しているので、
転籍(本籍を変えること)や、結婚・離婚等で本籍が変わっている人については、
逆に、住所移転の経緯を証明しづらいことがあります。

住民票と戸籍の附票、どちらが自身の住所を証明しやすいのかを知っておくと
煩雑な住所変更の手続も少し便利になりますね。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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上申書の作成者は未成年者?親権者?特別代理人?

こんにちは!
今日は司法書士ならではの専門的な話題です。

相続登記の際に、
被相続人の住所沿革がつかず、被相続人の同一性の証明ができないときの上申書ですが、
上申書の作成者の中に未成年者が含まれる場合、
署名・押印のうえ、印鑑証明書を添付すべき者は誰かというお話です。

まず相続関係ですが、
被相続人が甲、その相続人が長男の乙、長女の丙のところ、
長男の乙がその後に死去され、その相続人として、未成年のAとBがいました。
なお、未成年のAとBの親権者は、乙と離婚をしたXです。

遺産分割協議については、
丙、Aの親権者X、Bの特別代理人Yで行い、
遺産分割協議書に署名・押印・印鑑証明書を添付するのも
丙、X、Yの3名となります。

では、被相続人の住所沿革についての上申書についても、
同様に、丙、X、Yの3名となるのでしょうか?

結論からいいますと、
丙、X(未成年のAとBの両方を代理)で差し支えありません。

その理由としては、
特別受益証明書の作成について、
民法826条の利益相反行為に該当せず、親権者のみで作成可能とした
昭23.12.18民甲95号回答があるところ、

上申書の内容も「被相続人の住所の沿革という事実」に関する証明であるため、
利益相反は生じておらず、
遺産分割協議に関する特別代理人が関与する余地はないため。
ということになります。


いかがでしたでしょうか?
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相続登記は早くしないと危険?!(相続させる遺言等の効力と対抗要件について)

おはようございます!
いよいよ夏ですね~。
私の自宅のまわりでも蝉の鳴き声が聞こえてきて、夏の訪れを感じさせてくれます。

このブログを見てくださっている皆さまの地域ではいかがでしょうか?
最近は夜でもかなり暑くなってきていますので、
夏バテしないように、体調管理に気をつけてくださいね。

さて、少し相続に関する話題から逸れていたんですが、
もうひとつ、7月1日に改正施行された相続法について、
お伝えさせていただければと思います。

今回は「相続登記は早くしないと危ないですよ。」という話題です。

今回の法改正により、
相続による不動産所有権の承継は
遺産分割、遺贈、相続させる旨の遺言のいずれによるかどうかにかかわらず、
法定相続分を超える部分については、
登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。
ということになりました。

特に今回の法改正で変化があったのが、
「相続させる旨の遺言」です。

いわゆる「相続させる旨の遺言」について、ざっくりと説明すると、
遺言書に「相続させる」という文言が記載がされていて、
相続人に対して、全遺産に関して指定した相続分割合を与えたり(相続分の指定)、
相続人に対して、特定の財産の分け方を指定して与えたり(遺産分割方法の指定)
する内容の遺言のことを言います。

改正前は、
「相続させる旨の遺言」によって権利を取得した場合、
判例は、登記をしなくてもその権利を第三者に対抗できるとしていました。
(最判平5.7.19裁判集民169・243,最判平14.6.10家月55・1・77)

判例では、相続させる旨の遺言の効力が「包括承継」であり、
相続人が相続の発生と同時に即時その権利を取得する点を重視して、
このような判断をしていましたが、
一方、相続債権者(被相続人に貸付などをしていた金融機関など)は、
遺言書の内容であったり、そもそも遺言の存在を知らないことが一般的ですので、
上記判例によって差押えが負けてしまう場面が発生してしまっていました。

上記のような結論が不平等であること、
遺産分割や遺贈によって、相続人が権利を取得した場合との結論のバランスから、
今回、改正により手当てがなされました。

改正後は、
先述のとおり、
「法定相続分を超える部分については、登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。」
となり、
例えば、被相続人の相続人として、長男と次男がいるケースで、
遺産分割や遺贈、あるいは、相続させる旨の遺言によって
被相続人名義の不動産を長男が100%、次男が0%の割合で取得したにもかかわらず、
登記をしないで放置しているうちに
被相続人に金銭を貸し付けた債権者(金融機関など)が、
この不動産を、長男50%、次男50%の法定相続分で取得したと考えて
差し押さえの登記をしたときは、
長男は、自らの法定相続分50%を超えて取得した残りの50%部分については、
第三者である債権者(金融機関など)に対抗できないことになります。

つまり、
法定相続分の割合以外で遺産を取得した相続人は、
急いで登記手続を完了しておかないと、
被相続人や他の相続人の債権者によって差押え等がなされてしまったり、
他の相続人が勝手にその不動産を売却して登記をしてしまったりして、
自らの権利が失われてしまう可能性があるということです。

私個人の印象としては、
相続に伴う登記手続を長く放置されている人が多いように感じています。
相続に伴う登記手続は面倒なことも多いかもしれませんが、
多くの場合、放置することで手続が簡単になることはなく、
相続人が認知症になってしまったり、
相続人が亡くなることで疎遠な相続人が増えてしまったり、
ますます複雑化していく一方です。

せっかく自身が権利を取得したのであれば、
その権利を失ってしまうことのないように、
早めに登記手続を行っておくことをおすすめいたします。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

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毎年していますか?資産の総額の変更登記について

おはようございます!

今年は梅雨が遅れてやってきたと思ったら、突然数年に1度レベルの豪雨になったり、
日中の湿度・気温がもの凄く高くなったり、夜はひんやりしたりと…
変な天気が続いていますね。

そのせいもあってか?先日うっかり風邪をひいてしまいました。
鼻水が止まらなくなり、しばらく鼻声になっていましたが、
弊所の近くにはお医者さんがとても多いので、初期症状の段階でお薬をいただき、
すぐに回復しました!!

さて、そんな良くお世話になるお医者さんですが、
個人医院ではなく、医療法人として運営されていることが多いです。

そして、私たち司法書士は医療法人の登記手続も行っているのですが、
その中でも、毎年登記をしないといけない
「資産の総額の変更登記」について書かせていただきます。

「資産の総額」というのは、
医療法人をはじめ、社会福祉法人や学校法人など、
組合等登記令を根拠とする法人において登記することを求められている事項で、
貸借対照表上の資産(プラスの財産)から負債(マイナスの財産)を控除した
純資産の部に計上される金額のことを指しています。
(資産の総額をみると、法人の規模や業績が少し分かってきますね。)

そして、この資産の総額については、
組合等登記令第3条において
「毎事業年度の末日から3カ月以内に登記してください。」とされています。

多くの法人では、この事業年度を
4月1日から翌年3月31日までとしていることから、
多くの法人では、毎年、6月30日までに
資産の総額変更登記が必要ということになっています。

ちなみに、この期間を経過しても登記を怠っていると、
裁判所から法人代表者(理事長など)の住所地宛てに
「過料を支払いなさい。」という内容の書面が送付されることとなります。

ある日突然、裁判所から書類が送られてきたらビックリしますよね。
しかも、法人代表者(理事長など)は過料を払う義務があります。

役員変更の登記手続などをきっかけに
初めて弊所にご依頼いただいた法人様の登記簿を確認すると、
意外と、この資産の総額変更登記を1年分忘れているケースが多いように感じます。

毎年しなければならないことなので、忘れずに登記手続を行うようにしましょう。

なお、手続のために弊所がご用意をお願いしている書類は
「貸借対照表」のみです。

書籍などを見ても、財産目録を別途作成して登記手続を行う記載例が多いようなので、
もっとご負担を小さく、手続を行うことができる貸借対照表の書式サンプルを
今回は掲載させていただきます。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


へいわ法務司法書士事務所
司法書士 山内勇輝

※へいわ法務司法書士事務所は、大阪上本町駅・谷町九丁目駅から徒歩1分
 平日だけでなく、土曜日や日曜日も朝8時30分から夜9時までご相談可能
 明るく穏やかな雰囲気の事務所です。
 まずは一度無料相談をご利用ください。

老後2000万円問題

おはようございます!

最近よく耳にする話題といえば、「老後2000万円問題」ではないでしょうか?

報道では、これに対して「政治の怠慢だ!」とか、「支払った年金を返せ!」とか、
怒りや不安の声が良く取り上げられていますよね。

そして、来週は参院選挙です。
選挙の論戦でも年金問題は、1つの争点になるんでしょうね。


今、このタイミングを逃して、
自身の年金と老後に必要な資産について、考えるきっかけはないのでしょうか?

ちなみに、「老後に2000万円が不足」というのは、
「夫65歳以上、妻60歳以上の無職の夫婦の世帯」においての、
支出と年金収入の平均値から算出されたものですから、
個々人の老後の不足額を判断するうえで参考になるものではありません。

実際、私のような自営業者の場合、
そもそも年金が国民年金で、その分年金収入が小さくなるため、
「老後5000万円問題」といったところでしょうか?
(モデルケースよりもかなり深刻?ですね…。)


「老後2000万円問題」と言われ始めた当初は、感情的な議論が多かったのですが、
最近は少しずつ、丁寧な解説をした記事も増えてきている様子です。

自身の老後、
いつまで働き、
どんな生活をしたいのか、
それにはどれくらいのお金が必要で、
現状想定される収入額はいくらなのか…。

きちんと考えて、
資産形成の専門家のアドバイスも受けながら、
いわゆる自助努力といわれる対策(貯金、投資、保険、もっと働くなど)
を早めに取りたいところです。


そして、私はもっともっと働かないと!(笑)


今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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相続人でない親族の介護が報われる「特別寄与料」制度の創設について

いつも弊所のブログ記事を読んでいただき、ありがとうございます。

7月1日、大幅に改正された相続法の大部分が施行されることに伴い、
最近は相続に関する記事を重点的に書かせていただいております。

そして、今回も相続に関する話題を書かせていただこうと思います。


長男の配偶者が長男の父母(配偶者からみると義父母)を長年介護していますが、
長女、次男は遠方に暮らしていることもあり、介護には一切関与していません。
このようなケースは非常に良くあります。

このケースにおいて、長男が義父母より先に亡くなってしまい、
その後、義父母の相続が発生したような場合では、
長男の配偶者がどれほどその介護に時間や労力を費やしていたとしても、
義父母の相続に関して、
相続人ではない亡長男の配偶者が、遺産を受け取る権利は認められず、
相続人である長女と次男のみが、相続人として遺産を受け取ることになっていました。

これでは、親族間で不公平ではないかという問題意識から、
このたびの相続法改正で、
亡長男の配偶者をはじめとする親族が、一定の要件のもとで、その貢献に応じて、
被相続人の相続に関して、「特別寄与料」の請求ができることとなりました。
創設された規定は以下のような内容となっています。

被相続人に対して、
(1)無償で、
(2)療養看護その他の労務の提供をしたことにより、
(3)被相続人の財産の維持又は増加について、
(4)特別の寄与をした
(5)被相続人の親族(相続人や相続の放棄をした者等を除く。以下、「特別寄与者」という。)は、
相続の開始後、
(6)相続人に対し、
(7)寄与に応じた額の金銭の支払いを請求することができる。

以下、それぞれの要件について、さらに解説していきます。

(1)「無償で」とは、
特別寄与者が、被相続人から、労務の対価として、又は生前贈与や遺贈等によって、
労務の実質的な対価を受け取っていないことが要件となっています。

(2)「療養看護その他の労務の提供をしたことにより」とは、
特別の寄与の具体的行為は、「療養看護その他の労務の提供」に限定されています。
療養看護は例示なので、介護はもちろん、被相続人の事業の手伝いをすることも含まれます。
一方で、金銭の貸付などの財産上の給付については、本制度の対象外です。
※なお、貸付けた金銭については、被相続人の債務であるため、
 これを相続人に請求することで解決可能であると考えられます。

(3)「被相続人の財産の維持又は増加について」とは、
特別の寄与行為の結果、被相続人の財産を維持できたり、あるいは増加した。
というように、特別の寄与行為と財産の維持・増加の間に因果関係が認められることが必要です。
例えば、長男の配偶者が介護することで、介護サービスに支払う費用が節約できた。
というような事情が必要で、財産上の効果を伴わない精神的な援助等(付き添いなど)は、
特別の寄与に当たらないと考えられます。

(4)「特別の寄与をした」とは、
特別の寄与とは、被相続人との身分関係に基づいて通常期待されるような程度
を超える貢献をしたことを意味すると解釈されています。
本制度において、特別寄与料を請求できる人は、後述する「親族」であることや、
現行の寄与分制度における解釈との関係から、
「身分関係に基づいて通常期待されるような程度」は低いとも考えられますが、
実際どの程度の貢献がなされた場合に、認められるかの基準については、
今後の実務の積み重ねを注視していく必要があるものと思われます。

(5)「特別寄与者となりうる被相続人の親族」とは、
特別寄与者として認められる範囲として、改正法は広く「親族」としました。
「親族」というのは、配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族のことをいい、
子の配偶者もこの中に含まれます。
一方で、内縁関係や事実婚、同性婚のような場合は、この中に含まれないことになります。

(6)「相続人に対し」とは、
特別寄与料を負担するのは、特別の寄与として療養看護その他の労務の提供を受けた
被相続人についての相続における各相続人となります。
特別受益を受けている等によって、具体的相続分のない相続人についても、
法定相続分、あるいは指定相続分に応じて特別寄与料を負担することになります。
なお、特別寄与料は、被相続人の債務(相続債務)ではなく、相続人固有の債務です。

(7)「寄与に応じた額の金銭の支払いを請求」とは、
特別寄与料は、金銭での支払いを求める権利で、
まずは、相続人との間での協議によってその具体的金額を決定していくこととなります。
しかしながら、協議が調わないときや協議ができない場合には、
家庭裁判所に対して、特別寄与料を決定するよう請求することが可能になっています。
家庭裁判所における特別寄与料の算定は、
寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して定めることとされており、
現行の寄与分の算定と同様の基準・方法になると考えられています。
具体的には、
「療養看護を外注した場合の日当分×日数×(親族の相互扶助義務を考慮した減額割合)」
によって計算され、実際には数百万円程度になることが多くなるでしょう。
なお、家庭裁判所へ請求する場合には、期限があることに注意が必要です。
特別寄与者が相続の開始および相続人を知った時から6カ月、
または相続開始の時から1年経過した場合には、権利行使することができなくなります。


本制度によって、
先の亡長男の配偶者のような人の貢献に報いることができるようになりました。
その一方で、特別寄与分を請求される相続人としては、取り分が減ることに対して納得がいかず、
これまでよりも相続争いが複雑化する可能性もあります。


特別寄与分の請求による相続争いを防止するためには、

特別寄与分を請求する人においては、
被相続人とのメール等のやりとりを残しておく、
療養看護を行った記録を正確につけておく、
療養看護のために要した費用の領収書・レシートを残しておく等
の対応をしておく必要があります。

被相続人においては、
特別寄与者に対して、一定額の贈与を行っておく、
遺言書で財産を受け取れるようにしておく等
自らの死後、特別寄与者と相続人とが、争いにならぬように手当をしておく必要があります。

また、相続におけるトラブルは、当事者の人間関係の希薄さも一因です。
相続人においては、
特別寄与者とコミュニケーションを定期的にとり、
感謝の気持ちを伝えたり、費用の一部負担をする等
関係を良好に保っておく努力が必要です。


相続手続を円満かつスムーズに進めるには、
被相続人、相続人、その他親族それぞれの生前の準備・対策が非常に重要です。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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司法書士 山内勇輝

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遺産分割前に相続人の1人が預貯金を勝手に引き出した場合はどうなる?

おはようございます!

最近はテレビ、新聞、雑誌など各種メディアで、
相続や認知症の問題について取り上げられることが多くなってきました。

その影響なのか、
これまで、これらの問題に実際に直面してからご相談に来られる方が多かった印象ですが、
最近では、問題が発生する前にご相談に来られる方が徐々に増えてきているように感じます。

多くの方々が、これらの問題の深刻さや事前対策の重要性を認識してくれていることは
非常に良いことだと思いますし、
弊所でも引き続き、様々な情報提供をさせていただきます。


さて、今日も前週に続いて、
法改正により、2019年7月1日(月)にスタートする相続に関する新制度のお知らせです。


遺産分割に関して、こんなご質問をよくいただきます。

「親の死後、同居していた相続人が、
親のキャッシュカードと暗証番号を利用して、親名義の預貯金を勝手に引き出していますが、
これから遺産分割を行う際、当然にその相続人の取り分は少なくなるんですよね?」


法改正前の家庭裁判所の実務では、
遺産分割の対象となる財産とは、
「相続開始時に存在し」かつ「遺産分割時に存在する」財産とされていたため、
上記の質問のケースのように、
相続開始から遺産分割までに処分された財産は、相続人全員の合意がない限り、
遺産分割の対象ではないとされていました。
そのため、相続人は、処分した相続人に対して、
遺産分割とは別個に、不法行為又は不当利得に基づく取得財産の返還請求を行う必要がありましたが、
必ずしもこれらの請求が可能とは限らず、
結果的に、勝手に預金を引き出した相続人が得をしてしまう。ということがありました。

例えば、
被相続人Aの相続人は、その子であるB、Cのみ、
遺産は、預貯金1000万円(X銀行に500万円、Y銀行に500万円)であるケース。
Aの死後、同居していたBは勝手にX銀行から500万円を引き出しました。
この場合、Bが同意しない限り、
遺産分割協議の対象財産は、Y銀行の500万円のみとなり、
遺産分割協議においては、Bが250万円、Cが250万円取得することとなります。
Cは別途、Bに対して、Bが取得したX銀行の500万円のうち、
250万円を返還するよう請求することとなりますが、
Bが既に返還すべき250万円を持っていないような場合には、
Cは結果的に損をしてしまうということになってしまいます。

また、先週の記事にも書かせていただいた「遺産分割前の相続預金の一部払戻し制度」では、
相続人がこの制度を利用して払戻しを受けた預貯金は、
遺産の一部の分割によって取得したものとみなされることとなりましたので、
上記の質問のケースのように正規の手続を経ずに払戻しを受けた場合であっても、
同様に取り扱うことが公平であるという考え方もありました。

そうした経緯から今回の法改正がされ、今後は次のような取り扱いとなります。

相続開始時に被相続人の遺産に属する財産が、遺産の分割前に処分されており、
相続人全員の同意がある場合、
(なお、相続人の一人又は数人が財産を処分した場合は、同人の同意を得ることを要しない。)
遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合についても、
公平の理念から、遺産分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
こととなりました。

つまり、勝手に引き出された預貯金(遺産から漏れ出した財産)については、
引き出した相続人が同意しなくても、
一旦遺産とみなして(遺産に含めて)、
改めて、引き出した相続人がその預貯金を取得したという遺産分割を行うことで、
合理的かつ公平な解決ができる可能性が高まりました。

ただし、注意すべき点があります。
勝手に処分をした相続人が明らかに特定されているときは、その相続人の同意は不要ですが、
その相続人がその事実を否定していて、証拠等もなく明らかに特定ができない場合は、
この取り扱いはできないこととなります。

実際の相続の現場では、こういったことも起こりえます。

できる限り相続人間で公平な遺産分割ができるように、今回の法改正があったわけですが、
実際に公平な遺産分割を実現するためには、
不正行為が行われたり、また、その疑いをかけられないように予防することが大切です。

相続が発生したら、速やかに預貯金口座は凍結して、不正な出金を防いだり、
遺産分割前に立て替えた費用がある場合は、領収書を残しておくなど、
適切な対応が必要です。

さらに、相続は法律や税金だけの問題ではありません。
親族間の感情の問題も絡み合います。
あらぬ不正を疑われ、争いに発展することのないよう十分に気を付けたいものです。


いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでくださる皆様のお役に立てたならば幸いです。

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。


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司法書士 山内勇輝

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相続した預金を1人で一部引き出す方法が法改正で認められました(遺産分割前の相続預金の一部払戻し制度)

今日は、法改正により、2019年7月1日(月)にスタートする便利な新制度のお知らせです。

新制度の内容ですが、
亡くなった人(被相続人)の預貯金について、
遺産分割協議が成立していなくても、
家庭裁判所の判断を得なくても、
相続人の1人がその一部の払戻しを受けられるようになりました。
これまで、預金の名義人が亡くなった後は、
相続人間で遺産分割協議が成立したり、
家庭裁判所の判断を得るまでは、
預金の払戻しができませんでした。

そのため、葬儀費用、被相続人の債務の支払いや生活費など、
被相続人の死後まもなく支払う必要のある費用を、
相続人は立替払いせざるを得ない事態が多く発生していました。

これは、次の2つが大きな原因でした。

1つ目は、
相続人間の遺産分割争いに金融機関が巻き込まれて
預金の払戻しを二重にしなければならなくなる事態を回避するため、
遺産分割協議が成立したり、家庭裁判所の判断を得るまでは、
金融機関としては預金の払戻しに応じないという金融機関の実務上の取扱いです。

2つ目は、
「被相続人の預貯金は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割承継されることはなく、
遺産分割の対象となると解釈することが相当である。」という内容の
最高裁判例(平成28年12月19日最高裁大法廷決定)です。

金融機関としても、相続人間の争いに巻き込まれて損失を被るわけにはいきませんし、
最高裁の判断も「預金も他の遺産と合わせて、相続人同士で話し合って公平に分けれるようにしましょう。」という内容で、
これ自体、不当な判断というわけではありませんが、
一方で、相続人全員の話し合いがまとまるまで、上記のような不便が生じていたことも事実です。

それが、今回の法改正によって、これが改善します。
法改正によってできた新制度の内容ですが、
各相続人は、相続預金を、口座ごと(定期預金の場合は明細ごと)に
以下の計算式で求められる金額については、
遺産分割協議が成立していなくても、
家庭裁判所の判断を得なくても、
金融機関から単独で払戻しを受けることができるようになりました。

ただし、払戻し金額には上限がありまして、
同一の金融機関(同一の金融機関の複数の支店に相続預金の口座がある場合は、その全支店)からの払戻しは、
150万円が上限になります。

(単独で払戻しができる金額の計算式)
相続開始時の預金額(口座・明細ごとの金額)×1/3×払戻しを求める相続人の法定相続分

具体例を1つ挙げて計算してみます。
相続人が、被相続人の妻とその間の子2名(長男、長女)で、
相続開始の預金額が1口座の普通預金2400万円であった場合。
長女が単独で払戻しを受けることができる金額は、以下のとおりです。
2400万円×1/3×1/4=200万円(上限金額150万円超)
→したがって、150万円が払い戻されます。

払戻しを受けた資金の使途については、制限はありませんが、
一般的には、葬儀費用、被相続人の債務の支払いや生活費など、
被相続人の死後まもなく支払う必要のある費用に充てられることが多くなるのではないでしょうか。

また、この払戻し手続には、以下の書類が必要です。
①被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの全て)
②相続人全員の戸籍謄本
③払戻しを求める相続人の印鑑証明書
④その他、該当の金融機関が求める書類


なお、この一部支払いを受けた相続預金については、
「当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす」とされ、
後日行われる遺産分割協議で話し合った結果、
その相続人が、一部支払いを受けた相続預金を取得することに決めた
ものと同じ効果(みなす)にします。とされています。

しかしながら、「最終的に」、「公平に」遺産を分けるには、
結局、遺産分割協議を行う必要があることは今後も変わりません。

立て替えた葬儀費用、被相続人の債務の支払いのために使った金銭や、
相続財産を管理するのにかかった費用を誰が負担するのか、
預金以外の財産を誰が取得するのかについての話し合い(遺産分割協議)は、
相続発生から時間が経てば経つほど、
費用の領収書などの資料を紛失したり、当事者の意欲が失われたり、
当事者が認知症になってしまったり、亡くなってしまったり等、
困難になっていくことが一般的です。

相続が起こると、様々な手続をする必要があり、相当慌ただしくなりますが、
弊所などの専門家を利用しながら、速やかに、そして円満に手続を行うことが重要です。


弊所では、本制度に関するご質問、その他相続手続全般に関するご相談も無料で承っております。


いかがでしたでしょうか?
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